モアイ、視線を合わさず(何か?)

2007-09-16 00:00:47 | 美術館・博物館・工芸品
bb912457.jpg世界の七不思議と言えば、必ず登場するのが、太平洋上の孤島、イースター島に林立するモアイ像。もちろん、イースター島に人が住んでいること自体が不思議ともいえる。そして、違う種類の不思議は、その島を領有しているのが、遥か遠くのチリであり、また、そのチリの国土の形も奇妙である。

もっとも、イースター島に人が住んでいるのは、ハワイに人が住んでいるのと同じ程度の不思議さと言えるし、チリがイースター島を領有しているのは、デンマークがグリーンランドを領有したり、日本が小笠原諸島を領有しているのと、同程度の不思議さなのかもしれない。

そして、もともとここに到達したポリネシアン達にとって、このモアイは、「権力の象徴」だったそうだ。島内でもそれなりに、闘争があったらしく、権力者はモアイを作り、自らの権力の安定をはかった。ピラミッドみたいだ。もちろん公式的には、島民の安全のための守り神だった。

bb912457.jpgところが、問題は南米大陸で発生する。スペイン人の侵入と謀略により、南米大陸に元からあったインカ帝国やその他の政治的集合体はすべて壊滅し、葬られる。大量の財宝がマドリードに運ばれ、逆にそれによりスペイン経済の崩壊が始まるのだが、イースター島も略奪の嵐から逃れることはできず、住民の多くが、強制連行され、島の歴史は断絶する。


そして、500年後の現代。イースター島は観光の地になり、チリ本土は銅鉱石とワインの国になる。縦長の国家は南北4300キロもあり(日本は斜め方向に3000キロ)、北の砂漠地帯から南にはパタゴニアという寒冷地帯があり、さらにツンドラに繋がる。そして、大きな声を出しているわけではないが、現在のところ世界で唯一、南極大陸の領有権を主張している国だ。先史時代には南極にチリ人が住んでいた証拠があるらしい。個人的にはノーコメント。在日チリ大使館のHPを読むと、チリ概観というページで、チリの面積についての記述があり、南米大陸での面積が756,096平方キロで、島嶼部で180平方キロと書かれていて、さらに南極大陸を加えると2,006,096平方キロとなっている。

もちろん、南極の所有権を主張するのは勝手だが、一つ忠告をするなら、仮に南極の所有権がチリに認められたとして、そこに貴重な資源が発見された場合。その資源を奪い取ろうと企てる横暴国家は、南極大陸に特注の砕氷艦隊を送る必要はなく、サンチアゴ沖に数隻の黒船を浮かべればいいだけだ。


bb912457.jpg物騒な話は止めにする。突如、フランス、米国などのツアーを始めたのが新作物のモアイ。東京駅前、丸ビル内に登場。9月17日までだ。ようする岩石を掘りぬいて、地面に仰向けのモアイを寝かせる、そっと引っ張り出して立たせ、今度は背中に装飾的な彫り物を入れるのだろう。古来のモアイ像は太平洋を吹き抜ける季節風で風化し、体や顔の輪郭がぼけてしまって、逆にそれが味になっているのだが、新作には目玉がついている。現代風に目が動けばいいのだが、視線は、まっすぐ遠くに向いている。鉄人28号の風貌に似ていると感じるのは私だけだろうか。私から視線をはずしているのには、何か隠し事でもあるのだろうか。

今回は、地球環境の保護のための象徴として来日したことになっているのだが、モアイが痛い目にあったのは地球環境の変化のせいだったのだろうか?ただのチリワインのセールスマンの一人と思ってみればいいのかもしれない。


さて、先進国巡業が終わった後、果たして、このモアイに安住の地はあるのだろうか。もちろん、愛・地球博の冷凍マンモスとは違って、どこにおいても電気代はかからないだろうが・・・


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