新聞没落(週刊ダイヤモンド)の浅さは?

2007-09-28 00:00:44 | 市民A
週刊ダイヤモンド9月22日号は新聞社の没落(低迷)をテーマにしているのだが、ほとんど良く知られていることばかりで、それらの既知の事実を法令や数値で表現しているということ以外に驚きはなかった。むしろ、本当は切り込んでフォーカスしてもらいたかったことの数々について、「わざと書いていないのかな?」といううっすらとした疑念も湧いている。



特集は、約30ページで、
 
 序 章 業界襲う構造不況
 第一章 新聞経営の瀬戸際
 第二章 宅配モデルの崩壊
 第三章 ネット戦略の懊悩
 第四章 新聞記者の生態
 第五章 米新聞業界の窮地

ということで、朝日新聞が2010年度に赤字の可能性がある、ということから始まるのだが、それは大阪中之島プロジェクト(大阪本社の高層ビル化→貸しビル業)で建設費を定率法で減価償却するからなのだろう。当初から、利益圧縮による法人税額圧縮効果も事業計画に組み込まれているのではないだろうか。むしろ、同様のことをして大失敗したサッポロビール(恵比寿地区再開発)のようなことがあると本業以外で命取りになる。

もともと、新聞社は本社で記事をまとめ、活字を組み輪転機で新聞を印刷するという工程だったので、都心に印刷工場をもち、配送基地に機能も保持していた。しかし、道路が混む都心ではなく郊外に印刷機能を置くようになったため、都心のビルは再開発されることになる。(他の業種にも同様例あり)

そして、この特集では新聞社が販売店に「押し紙」として、読者のいない新聞を売りつける行為を書いているが、その部数ごまかしはその新聞販売店が広告を受託する際に販売店の収益源になるのだが、ある特定の方面の方から強請られる事件があったらしい。

そして押し紙も問題ではあるが、もっと問題は「押し売り」である。景品やおどしで販売部数を相当数、確保しているのだろうが、そういう読者を相手にしているのだから「新聞の質」とかの議論もむなしいのではないだろうか。

宅配モデルの崩壊と言っても、零細な販売店に対して、カネを貸したり、販売店の建物の所有権も大新聞社だったりするのだから・・・

ネット戦略について、朝日、読売、日経が合同で新ニュースサイトを立ち上げることを検討しているようだが、それこそ野合というしかない。

新聞記者の生態として、長時間労働が当たり前になっている記者の実態から、多少給料が多くてもかまわないということが言いたいのだろうが、それよりも記者のコストダウンのため、カメラマンに記事を無理に書かせたりしている。また昭和40年代に新左翼系の学生を数多く採用しているのだが、それらの記者がそろそろ定年となる。

そして、新聞のページ数が毎日同一であるのは、規制限度上限(約50%)まで紙面上の広告面積を増やしているためであることがわかったのである(書いてはいないけれど)。広告の分量が決まっているため、日によって紙面のページ数がかわると、広告比率が変わるわけだ。ページ数が減る日は、広告ばかりの新聞になってしまうわけだ。
PS1:企業が新聞社に広告料を払うのは、本来の広告の目的の他に、自社不祥事の際の手加減を考えているのだろう。広告料N千万円がなくなると、さらに押し売りや押し紙を増やさなければならないという構造なのかもしれない。
PS2:新聞社は報道の独立性の目的のために、法的優遇措置があるようだが、日本に1種類しか新聞がないわけでもなく、新聞社を乗っ取って、ウソばかり流して国民をコントロールしようなどというのは、とても無理だと思えるわけだ。