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実際、サッポロは壊滅寸前であって、ビールは売れない、老朽工場はそのまま、そして、最大の問題は、恵比寿の再開発事業。恵比寿工場を閉鎖し、船橋に最新工場を建てたときは、てっきり恵比寿の工場跡地は売却して、船橋工場の新設費用に充当したものと思っていたら、土地を売らずに恵比寿ガーデンプレイスとウェスティンホテルを建てていた。そして、それでは資金が足りないわけで、巨額の借金。社債や長短借入金を中心に未だに1000億円以上が残っている。ビルの償還年数は元々数十年かかるのに社債は短期で発行したため、すぐに金策に行き詰る。八方塞とはこのこと。
そして、結局、ホールディング会社にして、ビール事業と不動産事業と二分割してホールディング会社の下にぶら下げてみたものの、実態は変わっていない。1年前の決算書を見ると、借金は若干減少しているが、平成19年と21年にそれぞれ200億円の社債償還が控える。さらに、各工場には今後、設備投資が必要と書かれている。老朽化といっても、工場を閉鎖すると、全国供給体制がとれなくなるだろう。
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しかし、アサヒは借入金が既に大きいのが欠点であるのだから、不動産部門はお断りだろう。キリンもビル経営には興味がないだろう。国内ビール会社が、サッポロを吸収して得られるメリットは「競争緩和による小売価格の値崩れ防止」だろうが、これは計算しにくいメリットである。では、この900円超につりあがった株価はどうなるのだろう。
多くの意見は、スティール・パートナーズが「いずれ現れる白馬の騎士」に高値で売りぬくのだろう、と報じている。しかし、案外、バックには本物のビール会社がいるのではないか、という推測もできるのだ。今、世界では、ビール会社のM&Aがかなり活発に行われている。世界のビールシェアでいうと、トップ企業が15%内外で3社が争っている。ベルギー+ブラジルのインベブ、南ア+米国のサブ・ミラー、米系アンハイザー・ブッシュ。世界でM&Aを繰り広げていて、この3社の順番はよく変わる。
そして、3年前だが、私が持っていた中国のハルビン・ビール株が、突然、株価急上昇したことがある。もともと、ハルビン・ビールの筆頭株主だった中企基金という会社からサブ・ミラーが株式譲渡を受ける。ところが、対抗してアンハイザー・ブッシュがTOBを開始。株価はあっという間に上昇し、90%以上を取得したところで、上場廃止となる。ミラー対バドワイザーはバドワイザーの勝利となる。結果、清算後、私の手元には不労利益が転がってきたが、始めたばかりの中国株で、あれこれ別のダメ銘柄の損切り資金に消えた。
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