かんもちに足を取られたかな?

2007-02-06 00:00:15 | 市民A
f5849059.jpg「かんもち」は富山県の風物誌ということになっているが、伝統的食材ということではない。1980年代に創作された現代的食材らしい。狙いはコメの消費拡大だ。主原料となる餅米に、富山湾特産のシロエビや昆布など各種のタンパク源を粉にして混ぜ込む。暖冬とは言え雪国の室内で、一定の期間(30日ほど)晒しておくと、米と具材のアミノ酸の味がなごみ、さらにサクサクとしたほどよい食感を得る。赤カブやくちなしといった天然色素によって、赤、黄、緑と、色とりどりの「かんもち」がすだれのように舞う風景の先には、国際化が迫る閉塞的な農業から、付加価値農業へと脱却できるかどうか、日本農業が模索している姿が見えてくるのだ。

という程度の記事を書くべきだった朝日新聞の記者というかカメラマンというか46歳男性は、よりによって敵対新聞の読売新聞記者の記事を盗用してしまう。発見したのは、J-CASTであるが、現在でも「かんもち」と検索すると両社のネット配信記事がヒットするのだし、99%発覚すると思うのだが、どうなっているのだろうと呆れるばかりだ。記者の命は「オリジナリティ」。厳しいお仕置きが目に見えそうで、やや怖い。

まずは、参考までに両社の記事。

(朝日、1月31日掲載)
「赤、黄、緑など色とりどりのもちを北アルプス・立山連峰から吹き下ろす寒風にさらす「かんもち」作りが、富山県立山町で最盛期を迎えている。富山湾特産のシロエビや昆布を練り込んだり、赤カブやクチナシなどで染めたりしたもちを短冊状に切り、ひもでつないで室内につるす。1カ月ほどさらすと豊かな風味が引き出されるという」

(読売、1月27日掲載)
「黄、赤、緑など色とりどりのもちのカーテンを北アルプス・立山連峰からの寒風にさらす「かんもち」作りが、立山町で最盛期を迎えている。富山湾特産のシロエビや昆布を練り込み、クチナシや赤カブなどで黄や赤に染めたもちを、長さ10センチ、幅4・5センチほどの短冊状に切り、ひもでつないで窓を開けた室内につるす。1か月ほど寒風で乾燥させると、もちの豊かな風味と色が引き出され、サクサクとした食感が生まれるという」

言うまでもなく、そっくり。「黄、赤、緑」が「赤、黄、緑」に変り、「立山町」が「富山県立山町」に、「クチナシや赤カブ」が「赤カブやクチナシ」になったのがいかにも情けない。それに肝心な点の一つである「サクサクとした食感」は盗み忘れた。

しかし、よく考えると、この程度の記事が書けないとはどういうことか、と思ってあれこれ探してみると、どうもこの方がカメラマンなのか記者なのかよくわからなくなる。何しろ、所属は東京本社編集局写真センター員で新潟総局駐在という。記事を書き始めたのが2006年4月からということで、今までに書いた記事は10本ということだ(こういう時には少なめに言うものかもしれない)。現在、この10本の記事について調査中とのこと。

なんとなく、記者の不足をカメラマンで補っているように感じてしまうのだが、カメラマンの不足を記者が補うというのと同じように無理があるようにも思える。もちろん入社した時から、「新聞の基本は、記事と写真」という二刀流ポリシーで教育しているのならいいのだが、付け焼刃がこぼれた。

ところで、確かに記者とカメラマンの二刀流は、経営的には合理的と言えるのだが、間違っても朝日新聞社が何機も抱えている飛行機やヘリを操縦する「航空部」のパイロットには、”記事を書け”とか”写真を写せ”とかの二刀流を求めるのはやめてもらいたいところだ。事件現場で撮影に夢中になり過ぎて墜落した場合、巻き添えになる市民の中には朝日新聞の購読者以外の人たちもいるはずだ。

もっとも、富山で記者不足になった理由が、「APAホテルの重点取材」であったとしたなら、許してあげたい気にもなるのだが・・