「恵方巻き」が山積みに・・

2007-02-05 00:00:37 | マーケティング
節分の日に、太巻きを丸かじりする習慣は、関西にあったらしい。「あるある納豆事件」の反対で、関西の習慣が全国に広まっている。もっとも、「健康に良い」などと人心を惑わす定冠詞がついていたわけではない。「縁起が良い」というだけだから、「非科学的」と非難されることもない。「縁起」は「経済学」や「教育効果」と同様に、計測困難だからだ。

実は、2月3日の節分の日に、この恵方巻を購入すべく、デパ地下へ行ったのだが、仰天するしかなかった。近くのデパ地下は、有名食品店が専門店街として出店している。全国版で有名なのは○樽、とか○文とか。さらに神奈川や横浜ベースで有名な惣菜店などかなりの数のチェーン店が店を並べるのだが、そのすべての店頭の70%から80%の商品が「太巻き」なのだ。クリスマスのケーキどころではない。店頭真っ黒状態だ。

しばし、呆然としたあと、店内を徘徊して見ると、「恵方巻」というのと「節分巻」というのにわかれるようだが、たぶん商標とか関係あるのだろうか。まったく同類のように見える。面白いことに価格は1本500円程度から1200円超まである。太さもまちまち。巻いてある具もさまざま。何がお買い得なのか、さっぱりわからない。たしか、七種の具が入っているのを「正統恵方巻」と呼ぶような気もしたが、そんなこと守ってもしょうがない。私のドタ勘では、50%は売れ残るのではないだろうか。閉店近くになって、デパ地下という閉塞されたスペースで壮絶な価格競争が始まるのだろうか。「近づく閉店時間と山積みの恵方巻」。店員の方々が社販価格でお持ち帰りになるのだろう。不二家の例もあるので、くれぐれも在庫品を輪切りにして、翌日、「普通の太巻き」として再販しないことを推奨しておく。

さて、最高級1本1,280円の10種以上巻(カニ身を含む)を買ってみたのだが、今年の恵方は北北西とのことだ。よく考えると、そちらの方角には、気難しい「大将軍」が住んでいるわけだ。もしかして、「核弾頭が飛んできませんように」と祈らなければならないとしたら、大変な皮肉になるのだが、もう少し「強気な祈り」をぶつけておく。

ところで、1280円の太巻きは、直径が9センチもあるので、丸かじりすることはできない。北北西に向かって「強気な祈り」をお願いした後、端をかじっただけで、形式的儀式は終了。いつもの向きに戻り食事を続ける。こういった、本当は大作業だが、形式的に一部だけ実行して、きちんと全部の作業工程をやったことにする、というものの一つに「切腹」がある(その他、航空機や原子炉の整備などの現場でも起こっているかもしれないが、立証できないので書かない)。

きちんと、作法通りに腹を切ると大惨事になり、後の始末も大変だということで、介錯人制度が生まれた。通常は、下腹に短刀が触れ、皮が切れたあたりで、着手済みと認定し、バッサリやるのだが、中にはもっと早い段階で、目前の短刀に手を延ばしただけで、着手完了と認定し斬ってしまうこともあったようだ。何が言いたいかと言うと、大臣の首と介錯人の首相のことである。