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そして、この渋谷駅とNHKの中間にある「たばこと塩の博物館」は、入場料100円、と大安売りだ。自分でタバコを吸わないのに低入場料は申し訳ないような気もするが、多少なりともあちこちで煙害被害を受けているので、気に留めないことにする。(最大の煙害被害は、会社での喫煙者が特設喫煙室で過ごす「3分×20本=1時間」のサボタージュ時間の仕事のつけが非喫煙者にまわってくることだ。)この博物館で「川柳と浮世絵で楽しむ江戸散歩」展が開かれている。
そして、会期終了(2月4日まで)直前に滑り込む。実は、どういう展覧会なのか、正確にはつかんでいなかった。川柳と浮世絵に関するということはわかるが、その二つの文化の関係は不明だ。一方、別の資料で、今年が川柳250年のメモリアルイヤーということは知っていて、川柳についてあらかじめ少しは調べていた。
会場は、博物館の4階で、最初はよく理解できなかったのだが、一句の川柳と対になって、浮世絵が展示されている。例えば「降る雪の白きを見せぬ日本橋」という句では、雪の中、多くの人が行きかう雪のない木造の日本橋の浮世絵がセットになっている。「鶴という字も舞っているのどやかさ」では「鶴」と書かれた凧が空を舞う図だ。要するに、少し無理っぽいが、好川柳にマッチする浮世絵を探してきて、一緒に並べているわけだ。
そして、川柳は全部で187句もある。もちろん、川柳は江戸時代の作であるのだから、簡単には解読できない。時間がかかる。しかし、こちらも忙しい。そういう人が多いのだろうと、立派な冊子が配られている。ざっと100ページほどのもの。これも入場料100円のうちだ。ということで、その冊子の句を後でゆっくり読むことにする。ただし、カラー版の浮世絵のコピーはついていないので、単に川柳を読むだけ。
ところで、川柳というのは柄井川柳(からいせんりゅう)に起源があるのだが、実は、彼は作者ではなく、選者なのだ。もともと、芭蕉を中心とした俳諧のブームが庶民に広がっていき、1700年代になって、あちらでも、こちらでも俳句教室が生まれたわけなのだ。そして、その初心者用のトレーニング法として、「前句付け」という手法があった。後の「七七」の前に付ける「五七五」を作るわけだ。もちろん語呂合わせでいいなら、いくらでもできるが、自ずと巧拙がある。
そのうち数十年経つと、この前句だけが独立することになる。さらに、あちらこちらでコンテスト会が開かれたり、出版物が発行されるようになる。その選者の一人が気鋭の柄井川柳氏だった。その歴史的コンテストは1757年8月25日に開催され、優秀作品集が発刊される。「誹風柳多留拾遺(はいふう・やなぎだる)」。歴史の常として、光り輝くダイヤモンドも最初は目立たない。第一回の入選句は僅か13作。そのうちの一つが、先ほど登場した「降る雪の白きを見せぬ日本橋」である。その後、柄井川柳は、1790年、73歳でグッバイするのだが、「誹風柳多留」は版を重ね、1840年、幕末直前の第167号まで頑張ってグッバイになる。
実は、現代の川柳師、尾藤三柳氏によれば、柄井川柳が自ら選んだ作品のみを「古川柳」と別格で呼ぶそうだ。俳句における芭蕉のような存在である。
そして、川柳のツボについてだが、尾藤氏によれば、川柳は、「『真実の描写』が重要で、説明ではダメ」。「笑いと哀しみが背中合わせ(ユーモア&ペーソス)でなければダメ」。「コトバで笑わせてはダメで、結果で笑わせること」。といったことだそうである。
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「讃岐から虎ノ門まで鼻を出し」
この句は1679年に、丸亀城主の京極家の江戸虎ノ門藩邸内にできた金毘羅宮(こんぴらぐう)についてのもの。丸亀城は現存12天守閣の一つで、石垣と水堀のコントラストが美しく、駅の近くのうどん屋も美味い。丸亀では象頭山に金毘羅宮があることから「鼻」の連想である。が、琴平にある本家の金毘羅様と、句に読まれた丸亀出張所としての虎ノ門の金毘羅様の関係は微妙だ。
本家の琴平の東京分社は、東京の水道橋にある。野球の殿堂である東京ドームの近くにある天才少女の殿堂である桜陰学院のとなりに琴平金毘羅宮の東京分社がある。そちらは本筋だ。虎ノ門の金毘羅は、琴平から分かれた丸亀金毘羅の東京支店ようなものである。そして、最近、敷地を再開発し、高層ビルに変身。
「おっ立つように愛宕の男坂」
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たまたま、階段の下から撮影しようとしたら、もうすぐ上り切りそうな女性がいた。視界から見えなくなってから階段を写そうと思ったら、上り切ったと思った瞬間にUターンして、直ぐに降りてきた。上を狙っている女性なのだろう。ヒラリー女史ではなかった。