名人戦中継は有料?無料?

2007-02-10 00:00:31 | しょうぎ
先週、2月1日に行われたA級順位戦第8回戦の結果は2007年2月3日号「吉報と悲報」に書いたのだが、最終9回戦を待たずして、郷田九段が森内名人戦への挑戦権を獲得した。さらに食道がんで闘病中だった父親が死す、というドラマが重ねる。となると、人情としてあまり言いたくはないのだが、関係者の心に淀んでいるのが、第6回戦の対久保八段戦終盤の「時間切れ負け疑惑」(時間切れ寸前に慌てて指した手で、桂馬が横立ちになってしまい、成ったか成らなかったわからない状態で、再度、置き直した)なのだが、その話題はビッグネームに任せることにし、その8回戦・最終9回戦・そしてこれから行われる名人戦の棋譜の開示についての話題に触れてみる。

まず、いつもの年ならば、最終9回戦はNHK衛星放送の特集番組で見る。勝負がつくのは深夜なので、自宅テレビで生や録画機能を使い、じっくりと観戦する。そして8回戦は、千駄ヶ谷の将棋連盟道場に設置される特別会場での解説会(2500円)に行く。実際に、解説会に最後までいると(午前1時とか2時とか)電車がなくなり、家に帰れなくなるので、まあ10時頃で失礼する。同時進行の場のリアルな雰囲気が楽しいわけだ。ところが、今年は、その告知が連盟ホームページで読んだのが対局前日といううかつさ(うかつなのは私の方ではない)のため、行かずじまい。

しかし、現代はネット社会。この名人戦を除く各棋戦はそれぞれの主催新聞社が、タイトル戦をリアルタイムにネット上で無料で動画配信している。ところが、名人戦主催の毎日新聞だけは、基本的に月額500円の会員制をとっていて、加入しないと、棋譜が見えない。名人戦7番勝負はNHKが解説付きで同日放映するので、棋譜を隠しても、見たい人には隠すことができないのにだ。

この問題は、「ネット配信すると、新聞を買う意味がないから」という貧乏新聞のケチな発想からだと思っていたのだが、どうも違うような感じがある。流れてくる話から考えると、「配信にはコストがかかるが、今は、それを超える収入(500円/月×会員数)があるので収支プラスになっている」ということらしい。要は、”現状が問題”とはまったく考えていないようなのだ。

思考の角度が違う人のことを考えるのは難しいのだが、冷静に見てみると、新聞各社の中で、毎日以外の各社はネット環境を自前で構築しているように見える。毎日はMSNに委託している。おそらく、自前の会社にとっては、ネット環境自体は「全体固定費」という考え方に立っていて、毎日は「変動コスト」と考えているのではないだろうか。地面と建物を所有するNHKと、建物は自前でも地面代を地主である東京都に毎月払っているフジテレビの差みたいなものだ。

ということになると、問題となるのは、新年度の名人戦や順位戦のネット中継である。何しろ、無料配信方式の朝日と有料配信方式の毎日の共催である。二社ともに有料になるか無料になるかのどちらかだろうが、結論とその結論に至る過程には、興味がある。共催にかかわる多くの問題のうちの一つなのだろうが・・


7972e427.jpgさて、前々週出題の詰将棋の解答だが、

▲1二飛 △3三玉 ▲4三角成 △2四玉 ▲1三角 △1五玉 ▲3五角成 △1四合 ▲2五馬引(寄)まで9手詰

初手の▲1二飛が盲点の手かもしれない。△同玉は▲3一桂成とソッポ成りで詰むが、何しろ、上部に追い出す。「玉は下に落とせ」という格言の逆(まあ、逆だから作品になるのだが)。さらに△3三玉に▲4三角成と上部脱出にまったくのノーケアのように見えるが、▲1三角とかろうじてミサイル防衛網にひっかけて、▲3五角成と日本海に撃ち落す。


さて、今週の問題は、大仕掛けだ。実戦で私を打ち破った方から、「この最後の詰みの形を詰将棋に・・」という野望を打ち砕くために、先に作ってしまった(もちろん、実戦とは大幅に異なる実戦捏造作品だ)。

7972e427.jpgが、どうも、芸術点ゼロ点の、ただ長いだけの愚作のような気もする(30手以上もあるということではないが)。何しろ、最初は「打ち歩詰め回避」をめぐる攻防があり、次に「合駒選択」があるところまでは常識的だが、後半は実戦のように激しい攻防戦になる。攻め方が駒を取る回数は5回。玉方が駒を取る回数も5回だ。なぜか、初形に金銀がない無借金経営だが、途中で、借り入れをして、短期間で返済することになる。たんたんとあつらえ済みの逃走ルートを追いかけ、王様自らをコルク栓にしてしまう。。

ちょっとだけでも陽の目を当ててやろうという親心で、ここだけに掲示。できたと思った根気強い方は、コメント欄に最終手と手数と酷評を記入していただけば、正誤判断。