連休前の大混乱;ドクターシーラボ株主総会

2006-05-09 07:30:31 | MBAの意見
d6e27e7d.jpg妙なところへ行ってしまった。場所は六本木ヒルズの中にあるアカデミーヒルズ40階。「知の創造」をテーマとして「会員制ライブラリー」や「アーク都市塾」などの会場を提供している大きな空間である。実際は、空間があるだけでは「知の創造」はできないわけであるが、つまり多目的ホール(というか会議室というか宴会場というか・・・)。

昨年の株主総会もこの場所で、短い総会のあと、ランチパーティがあったので、同様パターンだろうと、会場へ向かう。エレベーターホールには、社員風の若手ダークスーツがたむろ。そして40階のエレベーターを降りると、これが大会場である。去年とずいぶん違う。早くもパーティの料理の配分に不安が募る。そして定刻になるとその大会場が概ね満席となる。さらに隣のホールも第二会場ということになるが、こちらはスクリーンで実況中継を見るだけで、株主の発言とかはできない。

質問した人の出席番号に1,900番台の方がいたことを考えると、第一会場には2,000人ほどいたのだろう。第二会場は不明。一体、何がこの巨大株主総会の原因なのかといえば、株主数の増加だそうだ。1年前は12,000人の株主数だったものが、今年(1月末決算時)は43,000人になったそうだ。3.6倍。会場が大きいはずだ。しかし、ということは前の株主が株を売り払い、それを個人が小ロットで買い直したということになるのだろう。浮動株比率がそう高いわけではなく、時価総額から計算すると、1株とか2株の株主が大勢いることになる。会場の男女比率は男6割、女4割か。

そして今期(2006年1月期)の決算は、増収減益(売上高152億→170億。当期利益16億→13億)。やや、悪いパターンだ。全体で言えば、利益率が悪化している。この関連の質問は数多く、さらに的を得ているのだが、「その件は企業秘密」とか「見込み違い」とか「競争激化」とかだらだらと国会答弁が続く。気になるのは、今まで先行していた「メディカルコスメ」という分野に大手の化粧品メーカーが参入してきたことらしい。

実は、この会社の社長は石原智美さんという女性。実質的なオーナーは城野クリニックを経営している城野一家であり、女性社長というのが、カンパニーキャラクターになっているようにも思える。議長の彼女をいくらつついても何も出ない。

そして、決算以外の質問は、多種多岐に及ぶ。「総会会場の設定への不満」、「ナースのようなユニフォームへの批判」、「株式を持たずにストックオプションで予約権を溜め込む資生堂出身役員への疑問」、「海外事業での不手際」や「社員販売品のネットでの流出問題」。また「社員の過重労働」や「勤務年数の短さ」など。これも延々と続く。すべて減益に対する株主のいらつきだろう。

私も個人的には質問したいこともあったのだが、「昨年の総会の時に比べ、石原社長が若返ったように見えるのですが、それは自社製品を使用した効果なのでしょうか?あるいはご自身は、もっと高額な他社製品を使われているのでしょうか。あるいは手術でも・・」。と、発言すると、セクハラで現行犯逮捕されそうなので、口をつぐんでおく。

そして、おそらく予定時間を少し過ぎたあたりで、一株1,400円の配当が決定し、総会は終了。同じ40階にある別会場でパーティ開始。これがすさまじい。中国大陸でのオリンピック会場の工事現場の昼食時間のようなもので、3つのランチテーブルは狂乱カーニバルになっている。女性9割、男性1割。まあ、突入はあきらめ、桃の葉ティーを飲んで終わりにする。

それに、テーブルに並んだ料理は、すべて健康食品のように見えた。タダメシは不健康食品に限る。

d6e27e7d.jpgところが、会場内の誰も取り囲む者のいないテーブルに、株主優待の内容が展示されていてビックリ。さらに、この多数の株主数の理由が少しわかった。何しろ、1株につき、10,000円相当の自社商品(アクアコラーゲンなど)が贈られるそうである。配当が1,400円(税引前)しかないのにである。3株以上の株主は30,000円相当である。総会での質問の中に、株主優待準備金が必要ではないかとの質問があったが、意味がわかった。43,000人に10,000円を配ると、4億3000万円になる。

しかし、後で株価の推移をみると権利確定直前に220,000円まで上昇した株価は、権利確定後170,000円付近まで急降下。そして、下落したということは権利確定後、売り飛ばした人が大勢いるということを意味しているし、きっとテーブルに群がる女性達は、きょうの総会の日には、既に株主ではないのかもしれないのだ。

d6e27e7d.jpgそして、40階の会場から、昼食をあきらめ、地上の世界に下りようとしても、エレベーターホールには長蛇の列。そして3回待ちの結果、やっと乗り込んだエレベーターの中では列に割り込んだ人相の悪い二人組の男が取り囲まれ、容赦なく罵声が浴びせられたのである。

知の創造も大変である。