読売ウィークリー5月21号。

2006-05-11 00:00:17 | 書評
bfa02008.jpg5月8日発売。思わず、買ってしまったのは、出身学校のことや、いくつかの関心事が、中吊り広告にあったからだ。が、評判通り、つまらない記事が並んでいた。新聞社系であれば、「AERA」、「サンデー毎日」よりもつまらなく、「週刊朝日」と同レベルのようだ。

まず、一応評価できるのは、平塚の5人殺人事件が書かれていないこと。良識か。と思うが、案外、読売新聞完全子会社が発刊する月刊誌、「中央公論」あたりで大特集が組まれるかもしれないので油断がならない。

最初に触れるのが、「中高一貫校」の記事。中高一貫教育といえば、私立進学校と決まっていたようなものだが、公立学校にも広がってきた、という内容の記事で、この記事に出身学校の名前が登場したのだが、実は本文に事実が数行書かれているだけだった。「350円返せ!」。

実は、私立の中高一貫校には、安普請の住宅建設費くらいつぎこんだ経験はあるが、教育経済学の常として「効果は測定不能」ということになった。行った場合と行かなかった場合を、比較検討することができないからだ。

そして、高校から入学する3年コースと中高連続の6年コースを並存させた場合、多くの悩ましい問題が発生するのだが、下手な妥協による両立狙いは中途半端に終わるリスクもある。さらに、口には出さないだろうが、「優秀な生徒を育てるより優秀な生徒を集める」というのが本音だろうが、それに見合う優秀な中学教師を県立中学という妙な職業枠として確保することも大きな課題だろう。

出身学校について批評すべき雑誌の記事がなかったので、出身学校の話題を提供する。進学の話ではなくスポーツの話。

まわりくどくて恐縮だが、4月30日の東京ドーム、巨人中日戦で巨人の二岡選手が2打席連続満塁ホームラン(新)、1試合2満塁ホームラン(タイ)、10打点(セリーグタイ)。という派手な記録を作ったのだが、その記事の一部に登場した名前がある。男の名は「飯島滋弥(大映スターズ)」。

1951年10月5日、33歳の彼は、対阪急戦の1回と7回に満塁ホームランを打ち、試合最多満塁ホームラン(2)の記録を作る。さらに、7回に再び回ってきた打席で3ランを放ち、1イニング最多打点(7)、イニング最多本塁打(2)、最多塁打(7)、1試合最多打点(11)の記録を追加する。よく考えると、二岡選手の大活躍があっても、破られた記録は一つもないようだ。これがすべてたった1日数時間の仕事である。

飯島はその4年後の1955年に退団し、1967年から69年まで短いコーチ(監督代行)人生を送る。その間、東映で大杉勝男選手に「月に向かって打て!」とアドバイスし、大杉を一流選手に仕立て上げる。しかし、飯島は1970年に51歳で胃ガンで早世。現在、生きていれば88歳になるはず。そして、彼の遺作である大杉勝男も1992年47歳で肝臓ガンにより早世。こちらは生きていれば61歳である。


次の話題は、将棋界の名人戦の開催権争奪戦の話。実は、この件は、「守る毎日と攻める朝日」という構図。一見、読売は無関係のようだが、そうではない。争奪戦の結果、将棋名人戦の契約金が上がると、読売が主催している竜王戦の契約料も引き上げ交渉が必至である。したがって、どちらかと言うと攻める朝日側をうっすらと批判する記事となっている。1974年に、読売が主催していた囲碁の名人戦を朝日が強奪した手口とそっくりとし、「今度は失敗するだろう」と冷ややかだ。

「米長・中原という往年の名棋士にしては一手先も読めない」と辛口に批判し、「谷川・羽生」の人気棋士が事態解決の中心になるべきだ、と一見正論でまとめている。確かに、この二人が、「来年は、名人戦には出場しない」とストライキを張ったら、みんな困るだろうとは思う。

ところで、読売の美しい提案にもかかわらず、事態はさらに混乱の極みに嵌り、両新聞社の板ばさみになった日本将棋連盟は「毎日・朝日共催案」など言い出したようだ。超難解な長編詰将棋のような一手なのだろうか、と思う反面、一手バッタリの大悪手のようにも見えるのである。


最後の話題は、「役に立たない帰宅支援マップ」。本ブログでも以前紹介したのだが、「帰宅支援マップ」は都内で勤務中に大地震があった場合、都下、神奈川、埼玉、千葉から都心に通勤しているサラリーマン(ウーマン)が、どの道を通って自宅に帰ればいいかという趣旨の地図。本誌は、「帰宅困難!」と結論付けている。つまり幹線道路の面積と都内の昼間人口から、道路は満員の通勤電車並みの混雑になるはずと算定。その状態で20キロも歩けるわけない、と断言。特に渋谷駅周辺はサラリーマンだけではなく、買物や無目的にブラブラしている人も多く、人間で町が破裂するかの書き方である。そして、丁寧なご忠告として、帰るのではなく、震災ボランティアでもやっていればどうか、などと書いているのだが、満員電車並みの混雑の中で、どうやってボランティアができるのか想像もできない。

実は、以前も書いたのだが、東京の周囲にある大規模ニュータウンといえば、多摩・港北・千葉なのだが、多摩ニュータウンへは都心から直行する道はなく、国道246号線で二子玉川までは行かねばならないだろう。そして港北ニュータウンへもこの246号が最も近い道だ。途中、渋谷駅で道が破裂するのも十分考えられる可能性である。さらに、千葉ニュータウンにはどうやって帰ればいいのか、帰宅支援マップには、適切なルートが書かれていないのが現実である。

となれば、まずは近くのコンビニで長期戦に備えての食糧調達が最初の一手なのではないだろうか(日頃から体内に皮下脂肪として備蓄しておく方法もある)。

しかし、買物のついでにポケットに小銭が残ったとしても、コンビニで買ってはいけないものがある。

「読売ウィークリー」だ。役に立ちそうもない。