椅子の価値は?

2005-10-24 22:11:07 | 美術館・博物館・工芸品
635e9b93.jpgこのエントリがアップされるのは10月24日00時00分なので、23日の参院選神奈川補選の結果が出ているかどうかわからない。外出しているので戻れるかどうかわからないので、前日にエントリを予約している。そして期日前投票も済ませているが、書いているときにはまだ当選者はわからない。3人の女性候補のうちの一人が、参院に席を確保する。

その議院の席は実際はどういうものかを展示してあるのが、国会議事堂の向かいにある「憲政記念館」である。入場は無料だ。記念館の一角に体験ゾーンとして、擬似議員席が並んでいる。撮影は自由だし、もちろん座ってもいい。下品な野次を飛ばしてもいいはずだが、総理大臣のフィギュアは置いていないのでむなしくなるだけだ。

実際に椅子に座ってみると、少し問題がある。やはり設計が古い。まず椅子の横幅縦幅だが、新幹線の普通車程度。そして、リクライニングなし。よく居眠りする議員がいるが、器用なものだ。プロレスや相撲からの転向議員も多いが、両隣に座られたら大変なことになる。新幹線普通席「B」をイメージしたらどうだろう(実際にはB席は若干横が広い)。座席の前のゆとりは新幹線以下。若手の体格のいい議員が増えてきたら、作り直さなければならないかもしれないが、全体の容積は一定なので、議員数を減らさなければならないかもしれない。

635e9b93.jpgそして、テーブルは狭い。ないに等しい。資料持込は困難だ。もちろん本会議場ではなく、模擬展示なので、IT対応にはなっていない。投票ボタンの代わりに投票用紙のいわゆる青票と白票がおいてある。どちらが賛成か覚えておかないと新人議員は大失敗する。何か二枚重ねて投票できそうだが、違法行為に対する罪は重そうだ。

ところで、この憲政記念館には数々の展示品があって見切れないのだが時々展示替えが行われているようだ(あるいはこちらの興味が変化しているので印象に残るのかもしれないのだが)。時節柄のテーマとして、昭和27年3月17日に京都大学教授、佐々木惣一氏が国会に提出した「憲法第九条の解釈に関する意見」書の現物があった。説明書きによれば、元々、国会の場で内容の詳細の解説を行う予定だったのだが、「体調不良」により本人が国会に立つことはなかった、とのこと。憲法にはいろいろな事実があるものだ。

その意見書の数メートル右には社会党浅沼稲次郎委員長が日比谷公会堂で暗殺された時の演説に使われていた原稿の束がある。大きな文字で書かれた原稿だ。刺殺された時に黒ぶちのメガネが外れていく写真が有名だが、近眼鏡のように見える。遠くはメガネの上から見て、手元の原稿は近眼鏡で見ていたのだろう。その視界が狭められていた状況が、暗殺者(当時少年Y)の接近に一瞬気づくのが遅れた理由かもしれない。


憲政会館の建物の一角は、ホールになっていて貸し出されているようなのだが、奇妙なことに憲政とは逆行するはずの地域エゴ団体のフォーラムという名の決起集会が行われていたのだ。