11城目:丸岡城、辿り着くのが難業

2005-10-17 22:14:08 | The 城
942269cb.jpg現存天守閣12城の攻略の第11城目は、「丸岡城」。場所は福井県丸岡市。福井といえば柴田勝家がお市の方と城を枕にした「北の庄」が有名なのだが、この丸岡城はその勝家の甥柴田勝豊が1576年に築城。現存12城の中で、もっとも古いとされている。ただし、これには異議が存在する。実は昭和23年に福井を襲った「福井大地震」で、この天守閣は倒壊。以後、雨ざらしだったのだが、7年後の昭和30年に元の建材の80%を再活用することで、再構築されたわけだ。この行為が、「修理」なのか「再建築」なのかということでケチがついているのだが、個人的にはセーフだと思っている。つまり、建材の大部分が再利用されているとか、構造を変えていないとかだ。松本城なども、倒壊の危機に際し、いったん分解してから組みなおしている。(ただし、再度福井を地震が襲った場合はまた崩れる可能性もあるのだろうか)

そして、この城へはJR福井駅から向かったのだが、この福井駅というのは、きわめて観光客には不親切だ。駅はピカピカの新品で、早くも新幹線対応になっている。金沢方面から福井へ新幹線が延びることになっているようだが、まだ金沢にも新幹線は通っていない。そして駅前には観光案内センターもない。巨大なタクシー乗り場があるだけ。事前の情報収集だと、バスに乗って、「本丸岡」行きに乗り、「本丸岡」か「丸岡城入口」で降りることになっている。が、地方都市でバスを利用するのは不安だ。だいたい乗り方だってそれぞれ違う。それに、どこで乗ればいいのだろう。と、しばしウロウロすると、駅前広場のはじの方にライオンズクラブ寄贈の観光案内図と並んでバス路線図がある。そして、やっと10番バス乗り場を発見し、1時間に2本のバスに乗る。

実は、バスは、私が今までに乗ったことのある内外のいかなる乗り物より最悪のものであった。ボロバス。人間用ではない。ゴミ収集車だ。前向き座席に座り、足を踏ん張り、前の席にしがみつく。道の左側を傾きながらふっ飛ばす。そしてドライバーは話好きのようで、タクシーのように最前席の乗客と雑談をしている。しかも、誰も文句をつけない。骨がはずれそうになるが、30分3,000円のマッサージが1回分無料になったとものと前向きに考える。そして、細い道を右や左に折れ曲がりながら、「本丸岡バスターミナル」に到着。40分640円。高い。そして、バスを降りて、城を探すが見当がつかない。どこにも観光客用の案内はない。近くの蕎麦屋に入り、道を聞く(が、ソバは食べない)。

地元の方は、親切と思って、近道を教えてくれるのだが、本当は30秒ほどの近道のために複雑な道を聞くと不安になる。聞いた内容を二回ほど反復確認し、歩き始める。約5分ほどで城が見えてくる。やっと安心。ただし、普通は、ここから堀とか石垣とかで難儀をするのだが、ここはあっさりと天守閣の下まで登れる。というのも石垣や水堀は明治の時代にすっかりとりこわされ、このあたり一帯の住宅地に替わってしまったからだ。天守閣以外は残っていない。何か、地元から愛されていないように感じるし、観光地にする強い意志は感じられない。

942269cb.jpg天守閣のことを書こう。一風変わった感じがするのは、石瓦が使われていることと、板壁が用いられていることだ。これが何かのんびりした感じを与える。つまり、平安鎌倉時代の櫓風の味を出している。そして極め付きは、3層仕立ての天守閣内部の階段だ。今までみたどの城よりも急階段だ。ほぼ梯子の角度に踏み板がついているため、昇降は文字通り命懸け。ロープが垂れ下がっているのだが、階段の上から下を見ると、これから絞首刑を受けるようなめまいがする。

二階には、どこの城にもある、全国の名城の写真が並んでいるが、その中で和歌山城の築城者のことを「藤堂高虎」と記載してあった。私も高虎だと思っているのだが、通説は「城主・豊臣秀長」となっている。歴史の解釈には色々あるものだ。

942269cb.jpgそして、城を後にし、反対側にある丸岡市の博物館に入ると、面白いものがあった。時間があれば寄ろうと思った朝倉資料館にあるとされる「中将棋」。駒が100枚位ある(日本将棋は40枚)将棋の前身なのだ。今までの知識では、この中将棋は、とった駒は使えないので駒台は存在しないとされていたが、駒の形をした駒台があった。(ただし、駒の多さから言うと、この台には乗り切らないような気もするので後世の作かもしれない)

駒の話でいうと、この丸岡城の堀の構造は五角形の駒形だったため、それを埋め立てた道割りも不定形になっている。そして、今度は道に迷って元に戻るのにくたびれてしまった。なにしろ、表示が皆無である。そして、まさか元のボロバスがくるのではないかと怖れていたら、新しいバスが来た。そして来た道とはまったく違うルートで広い国道に出て、郊外のショッピングモールや福井新聞の前を通り、50分かけて福井駅に帰着した。


こうして、現存12城攻略シリーズは11城目まで辿りつき、残るは全く方向の違う、青森「弘前城」のみとなった。あちら方面に仕事で行く可能性はないので、単独で行くしかないのだが、なかなか困ったなあ、という感じだ。3城目とか4城目の時は、まさかここまでやるとは思ってなかったのだが・・

もしも、弘前市関係者の方で本ブログの読者がいたら、「ご招待」のほどよろしく!と書いておこう。「城を中核としたリアル観光誘致」というような講演OK、ということにして、来年の花見の頃にでも行こうかなと思っている。何しろ、来る11月23日になると、この弘前城は降り積もる雪の中に静かに姿を沈め、弘前公園全体が来年の4月1日まで、閉園ということになってしまうのである。
<追記PP:コメント欄で指摘されたように、弘前公園は冬は無料というだけで、闖入者はこばまないそうです。