公務員の給料は国債で払えって?

2004-10-28 15:05:11 | 市民A
8f88e468.jpg新宿のタイムズスクエアの一角にある紀伊国屋ホールで、木村剛氏の講演を聴く。
10月21日に創刊した月刊誌、フィナンシャルジャパンの創刊記念講演である。演題は、「新しいお札の登場とおカネの発想法 財産形成はこうする!」。

一つの目的は、プライベートの集まりで、この手の話しをすることがあるので、自分の説明方法とどう違うのかというテクニカルな興味。そしてもう一つの目的は、講演の場合、いろいろな余談とか挟み込むのだが、どんな話しが出てくるかという興味である。

一説に、新円登場と同時に旧札の使用禁止を断行して、タンス預金を流通させようという噂があるのだが、木村氏は「カネ自体は日本にあふれていて、通貨供給量的にいえばバブル期よりもずっと余っている」という指摘をし、また物理的にも旧札使用禁止は不可能とのこと。つまり演題の一つ「新札登場」は一言で終わりである。
本題の「おカネもうけの秘訣」の方は、「資本主義を信じる以上、株式投資が有効で、かつ短期ではなく長期がよく、分散投資に限る。65歳までに1億円貯めないと老後の生活は計算できない。住宅購入は慎重にとか、1,000万円持っていない人は投資の前に貯蓄である。」というような内容で、一般的にあっさりさらっと公式的という感じである。具体的には雑誌に書いてあるということか。

会場は前の方の招待席がほぼ満席で、後ろの方の自由席が7割の入りのようだ。
日本人の一人一人の富裕度を身なりやしぐさで想像することは難しいのだが、靴と手帳から判断すると招待席に座っている人たちより、自由席にいる人たちの方が富裕度が上のように見える。あとは、もっとずっと若い新入社員のようなタイプ。
もちろん、月刊誌の創刊記念なので、競合する他の月刊誌を軽く一蹴し、元有名大学教授で手鏡で経済の深層を覗いたエコノミストを揶揄することも忘れなかった。

最後は、よく聞く話であるが、個人金融資産1400兆円の話しをして、日米の財政赤字、貿易収支、為替レートと続いた後、個人向け国債についての「おばあさんの意見」として、「国が直接、国民に国債を売るようになったらおしまいだ」という話しで締めたのだが、藤原紀香のポスターにあるキャッチコピー「国債って、いいかも」の最後の「かも」って「かも」のこと?って思えてしまうそうである。
そして、公務員こそ国債を買うべきであり、公務員には給料のかわりに国債で支給せよという意見があることまで紹介されたのである。
(おおた意見:郵政民営化反対論の中には、国債を郵便局が買っている実態から、国債が売れ残るという意見があるようだが、とんでもない逆説である。第二次大戦の時は、戦時国債を乱発したわけだが、それは郵便貯金を財源として郵便局が買い込んだわけである。戦争費用は投資ではなく消費であるわけだから、たとえ戦争で勝っていたとしても、郵便貯金は破綻していたはずだ。郵便貯金が国債にスリ変わる比率が高くなると、国債と郵便貯金が同時に破綻する危険が増大する)

そして気になる余談部門であるが、霞ヶ関関係では「小泉-竹中-木村」というラインのはずなのだが、なぜか小泉批判が多いように聞こえた。年金の破綻、道路公団民営化の失敗を断言した上、最近の小泉首相は「政策に興味がない」と証言していた。
(おおた意見:「チーム小泉」という形で政策丸投げという方法はアメリカでも見られるので、あまり批判はできないが、キャプテンの気力が落ちてくると沈没する。あるいはクルーが逃げ出す。)

木村氏は、覚えておいてほしいこととして「霞ヶ関の人間が考えることは霞ヶ関のことだけ」ということをあげたのだが、まあそういうことなのだろう。「役人による役人のための役人の国家」なのか・・

ところで、講演とは無関係の話だが、原宿駅前のコクド本社を夜間撮影してから、新宿南口のホールまで明治通りを歩いてみたのだが、折りからの雨もあり、ひどい道だった。都営地下鉄13号線の工事で車道は仮設路面だし、舗道のアスファルトは波打ち、水溜りだらけで細く、傘を差したままではすれ違いや追い抜きも大変だ。自転車もやってくる。13号線は東横線の渋谷から乗り入れ山手線に並行に池袋の方までいって東武の方へ乗り入れる予定と記憶するが、山手線と並行して、もっと高く、もっと不便な地下鉄を作っても利用者は少ないのではないだろうか、と心配してしまう。