二つの災害(二人の首相)

2004-10-25 15:14:43 | 市民A
93c11000.jpg二つの災害があった。一つは中越地震である。小千谷市を中心として最大M6.8、震度6強という地震が数回発生し、いまだに大きな余震が続いている。そしてもう一つは東京ディズニーシーの停電である。この二つの事故は、もちろん因果関係はない。(もしかすると、原因と結果の関係ではなく、結果と結果という関係の可能性は若干あるかもしれない)まず、東京ディズニーシーの停電を考えてみる。

東京地方は10月20日夜から21日未明にかけて戦後最大という台風23号の被害を受けている。今年は台風の当たり年で日本全国にわたり、複数回の上陸や通過の洗礼を受けている。
実は、人的被害が出ていないため、報道の表側に現れていないのだが、度重なる台風で、各地の工場で水害被害が発生している。工場内に、大雨が流れ込んだり、高潮で海水が浸入したり、あるいは工場用水としてとりいれている河川からの溢水で、各設備や装置の電圧を調整したりする工場内の変電所が水没したりしている。その結果、ショートし、工場内が停電し生産活動に影響が出ている。損害保険会社の支店や営業所でも、現場へ向ける社員が不足してしまい、各社とも本社の管理部門で査定経験のある社員を事故現場へ臨時動員しているようだ。また、その結果、今年は高額な保険金支払いが予想され利益の大幅な圧縮がささやかれている。

東京ディズニーシーの事故原因はまだ公表されていない(あるいは、地震のため、もう報道されなかったのかもしれないが)のだが、台風による何らかの浸水が変電室にあったのか、あるいはネズミ被害ではないかと憶測している。アトラクションでも停電したり、正常だったりということは、複数系統で電力を供給していたのだろう。

さて、原因はともあれ、停電した直後、ゆっくりとアトラクションが停止したと報道されているのをみると、設備を止めるためのプログラムが作動し、機械停止させるまでの少量の電気を自家発電ではなく、バッテリーのような形で持っているのではないかと思うが、企業秘密だろう。そして、ただちに社員が誘導して場外に避難させたところを見ると、日頃、相当訓練しているのだろうということがわかる。また、入場券の扱いにしても、払い戻し、再来園券、隣のディズニーランドへの入場振替券の発行というような三択が即座に発表されることなど、リスクマネジメントに力を入れていることがわかる。よくディズニーのサービスを研究し、一席ぶつ学者がいるが、こういう普段見えないところの力を見抜かなければならない。

本家のアメリカでは経営陣のゴタゴタ続きであるが、こういうしっかりしたサービスが維持されているなら、ブランドに問題はない。逆に、本家から遠く離れた日本でブランドを汚したのはシティバンクだ。

一方、中越地震は、ヘリからの映像で惨状が映されているが、被害の大部分は地面の液状化と地滑りによっておきているように見える。まさに台風による大雨の影響である。直接の倒壊家屋は、従来工法の木造家屋で老朽化したものに発生しているように見える。新幹線の脱線は、よく転覆しなかったものと思うが、秒単位のブレーキの速さが幸いしたのと、後は幸運があったというほかない。ブレーキは車輪を止めるだけであり、車輪の脱輪が初期に始まっていれば危なかった。もちろん対向車両やトンネルといった問題もなかった。しかし今回の地震はM6.8であるが、来るべき東海地震はM8.0からM8.5と想定されている。しかも東海道は運行間隔が短い。

夜になると、気温も下がるし、実際安全なところがどこにあるかも難しい。神戸の時は、自動車の中でエンジンをかけ続け、暖をとったりしたのだが、あと2、3日はなんとかサバイバルすることを現場レベルで考えるしかない。災害の時の優先順序があり、3日間から4日間は、行方不明者の捜索に全力をあげることが何よりも優先だ。あとは、最低線のライフラインの確保であり、復旧はその後だ。そして、液状化現象で崩れた土地は、修復までには相当長期間が必要だ。

首相が、東京映画祭にいて、1時間のロスタイムがあったことは、まったくけしからない話だ。自分が総理大臣になったのも、森首相がハワイ沖の高校生研修船遭難の際、ゴルフを数ホール続けたことが発端であったことを忘れてしまっている。今度は、「途中で退席するのが失礼だから」と言っているようだし、森首相も似たような言い訳をしていたが、日本の総理大臣が、緊急事態の際「失礼なこと」をしたからって咎める人など誰もいないことがわからないなんて、何と自信のない公務員なのだろうか。

本人が事故現場に行って陣頭指揮を振るうべきという意見の方も大勢いらっしゃるようだが、「その任に当たる才はない」と思うので、やめたほうがいいだろう。

不謹慎な話で大変心苦しいのだが、被害が些少だった9月初の紀伊半島沖地震の際も、地震後数日は、不動産投資証券(J-REIT)が連想売りで下落してしまったのだが、なぜか今回の地震の前日の22日に、手持ちのREITを全部売却していたのだ。もちろん西武鉄道株と違い、インサイダー取引の疑いはまったくない。