一次予選突破

2004-10-15 15:37:41 | スポーツ
bedde9e1.jpgオマーン戦が終わり、ワールドカップ一次予選の通過が決まった。日本人の特徴は、苦労して得た成果をすぐ忘れてしまうことなので、忘れない前に振り返ると、実際にはここまで非常に厳しい道のりであって、1回戦ホームでの1-0(あやうく0-0)という辛勝からすべての困難が始まっていた。結果は、後半開始直後の1点を生かし、1-0で予選通過。負ければ今後3年位のサッカーの楽しみがなくなってしまうところだった。おカネの話は卑しいが1兆円位の損害になりかねないところだろう。もし負けていたら、前回大会のオランダのように、出場チームの直前のスパーリング用に予約が殺到するところだったのだろう。

ゲームは、絶対に得点が必要なオマーンが攻め、日本が守るという公式通りの流れの中で動かず、後半に入り、展開が動きはじめて、日本の中盤が押し上げたわずかな時間帯に、中村俊輔の個人技でゴールをこじ開けたようなものだ。その後は、2点が必要になったオマーンに対し、イタリア式でゴールに鍵をかけてしまった。ジーコ監督の通訳が退場になるというオマケがついた。

感心したのは俊輔がアシストした左サイドからゴール前への左足のラストパスは、ディフェンダーを完全に抜いてからではなく、立ち足の右足より後ろの位置から一旦前方(プラス方向)へ向かったあと、ブーメラン型にマイナス側に曲がってきて鈴木のヘッドに合っている。ボールが一旦前方に向かうため、ディフェンダーが足を伸ばしても50センチくらい足りない。彼以外にその手のパスを見たことはなく、このパスだけで何点もとれるだろう。あとは故障しないことだ。だんだん重要な試合がふえていく。マーフィーの法則にもある。「一番必要なものは、一番必要な時には存在しない。」

ゲームを応援する意味で、夜、森アーツギャラリーで開かれている「FIFA100周年公式写真展」に入場料を寄付しに行った。同様の趣旨の方が多いようで結構混雑していた。特に感想はないのだが、妙なことに気がついたのは、ペレやマラドーナのような119人の有名選手のポートレート写真の下に、所属していたチームの記録が表示されているのだが、有名な時期にいた有名チームのあとに、有名でないチームを転々としてからやめている選手が多いことがわかる。考えるところである。
ところでオマーンは産油国である。日本とのタフなゲームで、サッカーに関して言えばさらに強くなってしまっただろうが、このところの原油高でどれくらい潤っているのだろう。実はオマーンはOPECに加盟していない。さらに、他の産油国がメジャーや輸入国の会社と長期契約をするのが一般的なのだが、オマーンは産出量の多くをスポットマーケットで販売している。そのため、オマーン原油とドバイ(UAE)原油の平均値という形で中東の原油価格の指標に採用されている。米国のWTIのようなものだ。そして実際の産出量は日量でちょうど100万バレル位である。原油価格はバレル15ドル上昇しているので、1日あたり15,000,000ドル(16億5千万円)の収入増だ。年間通して高価格が推移すると6,000億円の収入増である。実は、他の湾岸産油国と異なり、オマーンは借金会計ではないので、おカネは残ってしまう。

世界的な原油急騰の問題は、一方に先進工業国の成長阻害要因と懸念されるが、もう一つの問題は、オイルダラーがどこに向かうであり、中期的にはこちらの問題は大きい。世界の産出量は日量7,000万バレルだが、米国、ロシア、北海など地域内の需要を引くと4,000万バレル位が輸出入されている。15ドルを掛けると、日額6億ドル(660億円)が移動していることになる。この資金の還流先が問題だ。まだ見えてこない。

儲かっている側にはロシアも入るので、以前のように予算が不足すると秘蔵している金塊をマーケットに放出して、金保有者をがっかりさせたようなことは当面ないだろう。

OB集団引退試合に”待った”

2004-10-15 15:36:36 | スポーツ
オマーン戦が終わり、最終戦のシンガポール戦は事実上、「消化試合」なのかもしれないが、ジーコは奇妙なことを言い始めた。正確には、まだ言っていないが、「日本代表OBの集団引退試合構想」らしい。

個人的意見としては、「やめてほしい」ということ。公式戦で引退試合をするなど、アジア的感覚でいうと「失礼」。ましてシンガポール人の60パーセント以上は中国系である。日本人は多数、シンガポールで活躍している。サッカーだって、Sリーグとしたれっきとしたプロリーグがあり、日本人選手もいる。知人の息子さんは、港区の有名私立大学サッカー部を1年休学して、現地でプレーしている。場合によれば1年たったあと、そのまま、シンガポーラーになっていく道を選ぶかもしれない。ラモスだってロペスだってアレックスだってそういうパターンで別の国に貢献してきたわけだ。

日本だって、強くなったのは、ちょっと前からに過ぎないし、大きな顔などすれば、単なる笑いものではすまされない。日本が弱かった時に強豪国と対戦するときに、相手がOBチームだったことなどないはずだ。

それに、サッカーが強くても、S&Pのソブリンの格付けでは、シンガポールはAAA、日本はAA-と2段階も違う。