将棋大会にも二つの国が、

2004-10-12 16:36:17 | しょうぎ
ba60fe30.jpg10月10日、第87回将棋職域団体戦。全国から400近いチームが日本武道館での大会に参加する。1チーム5名でAからFまでのクラス別だ。私はBクラスのとあるチームに参加。以前所属していたある会社に頼まれたのだが、規定はあいまいだ。OBならいいということだが、転職してもOBだ。また職域の定義もあいまいだ。それぞれのチームが勝手に拡大解釈している。その結果、われわれのチームのメンバーは下は22歳から上は61歳までのいい加減なチームになる。半分の人は初対面だ。もう民間会社の就業形態と職域団体という概念が不一致なのである。ネットで日記を検索すると、いろいろなチームから頼まれて出場する「助っ人選手」も多い。将棋連盟もとやかく言うと、参加者がピーク時の6割に激減しているのにさらに減ってしまうから見て見ぬふり。お互い様ということばが蔓延している。

実は、大会前日の夕方に関東を巨大台風が通過、交通機関が寸断されたのだが、前もって発表になっているトーナメント1回戦の相手は、「東北地方の某県庁チーム」。調べたところ、前日に上京しなければ朝9時には間に合わないはずだ。ということは全員欠席の不戦勝の確率が高いと踏んでいた。しかし、こういう勝手な連想による期待は、仮説が崩れると弱気に転じるものだ。

果たして、指定の席に向かうと、すでに相手の5人は着席済みである。「甘かった」。しかも当方の一人はなかなか来ない。と、おもむろに携帯が鳴り、「出張先の九州からきのう飛行機で帰れなかった、ゴメン、まだ、飛行機に乗っていない」ということ。なんと、不戦敗はこちらの方の一人だった。民間企業はつらい。5人中3勝しなければならないが、戦わずしてまず1敗だ。こうなればと、対局前の心理戦をしかけることにする。
お お た:「台風で、よく昨日こられましたねぇ」
県庁職員A:「おととい来たから」
お お た:「金曜日って休みじゃないでしょ」
県庁職員B:「mmmmmmmmm」
お お た:「公務出張ですかねぇ」
県庁職員C:「ggggggggg」
お お た:「地元で台風の被害はないのかな」
県庁職員D:「uuuuuuuuu」
お お た:(小声で)「出張扱いで、いいなあ」
県庁職員E:「いつもと!!!同じ!!!なんだ!!!」
それで、心理作戦の効果はというと、まったく逆効果になってしまった。東北人の怒りが炸裂し、「5人全敗」に追い込まれてしまった。

実は敗者同士の2回戦は降級決定戦なのだが、こちらの相手は、中部地方のある市役所チーム。地方公務員続きだ。こちらも全員大きなバッグを持っている。2泊3日コースか。公務員は苦手だ。こちらが怒りに燃えてしまい、冷静な頭脳のままではいられないのが原因だ。連続で大敗してしまいCクラス陥落が決定的だ。

ところで、「日本には二つの国がある。役人の国と民間人の国だ」といったのは、竹中平蔵で、2000年の7月の講演会だ。正確には「山の国と海の国」と言った後で、「山は役人で、海は民間企業」と説明している。
役人と話しても発想がまるで逆だから、意味が通じないことがある。とある事業が赤字の場合、料金を下げて需要増を求め、均衡点を探すのが普通だが、赤字になると料金単価を値上げしさらに需要減をまねき泥沼にはまる。ソ連型だ。
また「最少政府の最大サービス」が理想だが、実態は「最大政府のサービスゼロ」をめざしている。

数年前の省庁統合の際も、民間で合併があればすぐに人的リストラが始まるので、社員は青ざめるのであるが、役所が人的リストラを行った話は聞いていない。せいぜい、新人採用人員をしぼるくらいだが効果がでるまでは30年かかる。逆に役人は手間のかかる仕事は大好きだ。規制と権益が発生するからだ。

高校や大学を卒業し、公務員になるものと民間企業に就職するものでは、数年で考え方が変わるようになる。かたや利益の追求であり、かたや私益の追求だ。発想が逆になり、かつ、自分の行為を正当化する。また、そのうち同窓会などにも出なくなる。

二つの国理論の創始者はマルティン・ルターのようだ。苦しい「現世」と楽園の「天国」という二つの国。彼は宗教改革へと向かっていく。アメリカへ渡ると、二つの国理論は、「白人の国」と「黒人の国」というように変化し、南北戦争へむかう。それなら日本の「役人の国」と「民間の国」は、激しい戦いを起こすのだろうか。それは不明だが、このままでは財政赤字が増大を続けることは間違いないだろう。役人が税金を使うことが、民間企業(民間人)にとってプラスのリターンになっていないため、単に浪費になってしまう。経済が循環しないで、財政赤字という逆スパイラルとなるだけだ。税収が50兆円しかないのに30兆円も売れない新規国債を発行して80兆も予算を使う構造がおかしすぎる。冗談ではなく金融庁は、国債発行して集めたおカネでトヨタの社債でも買った方がいい。ざっと調べたところ(近日中にしっかり調べる予定)トヨタ関連で1兆円くらい税金納めている。そういう会社が増えればすぐに財政は好転するが、実際やっているのは倒れかけた会社に税金をつぎ込むことで、やっと生き残った会社をがっかりさせて、いつまでも、会社は儲けられない。法人税も払えない。

このままの役人天国が続いた場合、もう一つ確実なのは、役人の将棋がますます強くなるだろう、ということだ。