ピストンエンジンは永遠か!な?

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エンジンの寿命?

2005年10月27日 | consideration
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一昨日の「なんでも鑑定団」に1910年代のトライアンフ モデルHが出品されました。作り酒屋であった出品者のお祖父さんが当時に400万円(換算すると)もの大金で買ったそうですが、コンディションがあまり良くなかったのと3万台も生産されて希少性が薄いとのことで、レストアされた様子もないエンジンは調子良さそうでしたが75万円という意外と低い評価でした。
続いて見た「ガイアの夜明け」ではワタシ達に関連の深い原油問題でしたね。石油製品は原油の値上がりにより高騰していますが、油田の開発競争も激化しておりリビアの開発入札には日本の企業も参加してなんと7.5%という低い取り分で落札をしていました。取り分が低いほど落札の可能性が高いのですが、掘り当てる可能性も100%ではありませんから、実際に結果がでるのは6年後と言いますから大きなリスクを抱えながらも原油を探さなければなりません。
探し当てても取り分が少ないため埋蔵量が予想より少なければ採算割れになってしまうのです。
それでも「石油に浮かぶ現代文明」を存続させるには、いよいよ直面する石油の枯渇に対処するために自前の油田を確保しなければならないようです。

東京モーターショー
モーターショーを総括すると、やはりエコロジーということになるのでしょうか?
ワタシ的に特に目立ったのは可変バルブタイミング機構、ハイブリッド用モーター、軽量バルブでした。
トラック・バス等にもメーカーに対する罰則規定まで在る燃費規制が設けられるのは、京都議定書による国別の炭酸ガスの総量規制を達成するために、佐藤琢磨がテレビCMで言うように石油燃料の消費量を抑えなければならないので燃費をよくすることが急務なのです。
以前は高出力を求めるために開発されたアイディアも、効率を向上して燃費をよくするために使われています。少しの燃料しか使えず失ったパワーをかき集めるためには、可変バルブタイミング機構は最大限の充填効率を得ることが可能であるし、バルブなどをできるだけの軽量化すれば機械損失を最小限にできます。
エンジンとトランスミッションの間に配置できる薄型高出力モーターは簡易型のハイブリッドを可能にするでしょう。プリウスのような本格的なハイブリッドは基本設計から始めなければ作れませんけれど、既存の設計を大幅に変更しなくても済みそうな薄型モーターは、1~2年後には新型車の半分がハイブリッドになってしまう予感をさせてしまいます。
それと同時に特別なセレブ?のための高価格車の勢いも感じましたね。ロールスのファントム、メルセデスのマイバッハ、ブガッティ、フェラーリ、マセラッティ、アストンマーチンなどはガソリンエンジンの行き着くとこまで行ってしまった感がありました。

モーターショーには古いクルマやバイクも展示してありましたが、スカイラインGC110GTRもありコンディションがよければ1000万円もするって本当ですか?200台しか作られなかったので希少価値はあるのでしょうね。
古いバイクの価値といえば、古いハーレーではアメリカ国内でもショベル以降とパン以前は取り扱われ方が違っていて、ショベルなどは現地でも金が無い奴がもっていると修理もぞんざいでスワップミートで買ってきたタダ同然の年式違いの部品が付いている事はよくあることですね。最近はガラクタを集めて日本向けにカタチだけ仕上げる奴もいるので、安いと思って買うとろくな事がないですよ。さすがにオリジナルのローラーダーやFLは少なくなってきているのか高騰しています。
しかし、過去に生産されたハーレーの半分は現存しているのじゃないかと思うぐらい、スクラップにされたのは少ないのじゃないでしょうか。
日本製のバイクは悲しいかなスクラップ&ビルドの繰り返しで、せいぜいセカンドユーザーかサードユーザーまでで、人気がなくなると解体されてしまうかそのまま輸出されてしまい、日本国内には古いバイクは残っていません。保存環境も違いますが、乗らなくなってしまったバイクは邪魔者扱いでしたからね。
持っていた人がいない間にチリ紙に交換されてしまったことも聞いた例がありますもの。
その辺りは欧米人は執念深いというか、保存環境が良いというか、ワタシが一度会ったことがあるドイツ人はモンキー狂いでボアアップピストンを1個もらいましたが、それはベンツのピストンを作っている工場に作らせたと自慢していました。イギリスに行ったときに見たヒストリックバイクレースには50年以上前のバイクに、新車から持っていたのじゃないかと思うくらい年代の合った老ライダーが出場していたのです。それも1人や2人じゃなくほとんどがそうなんですね。アメリカでもVツインのカタログに載っている商品はビジネスだけでは理解できないほどの品揃えだと思います。デイテックというフレームメーカーは鉄が錆びないという理由で砂漠のなかの町に工場がありますが、そんなところは日本にはないですものね。

実はこの記事は「今のバイクは昔のハーレーのように長年乗り続けられるか?」「空冷、水冷、油冷では寿命が違うのか」というターミー君からのリクエストによるものです。機械的なコンポーネントはモってもコンピューターはダメなのではという疑問も添えられていました。
寿命を判断する基準を考えると非常に難しいものがありますが、交通事故での保険会社の判断では修理見積もりが時価を上回ると全損ということになります。
これを当て嵌めると人気のない時価が安いバイクはすぐ寿命が来てしまいますね。
水冷エンジンでは
常用回転数域にもよるが、エンジン本体の寿命はやはり一番長いかな?
250cc4気筒などの高回転エンジンを常に目一杯ブン回して乗っているとカムチェーンが伸びきってしまい、2~3万キロでオーバーホールする必要がある。
ラジエターやホース、Oリングなどの直接冷却水に接している部品はメンテナンスを怠ると劣化が早く、それらの修復費用は車両本体の時価を上回ってしまう。
冷却水の定期交換を怠ると、水路の堆積物による悪影響が大きいと思われる。
空冷、油冷エンジンでは
冷却がオイルによる依存度が高いので、やはり寿命はメンテナンスの如何によるでしょうね。
鉱物油は一般的に120℃くらいまで、合成油は150℃くらいまでしか潤滑能力はないので、オイルが劣化してオーバーヒート状態で運転がおこなわれると磨耗は急激に進んでしまう。
エステル系の合成油では以前はオイル洩れの弊害が危惧されていましたが、随分改良されたので厳しい条件では合成油が良いでしょうね。
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きっとオイル交換をサボったアメリカ人のせいで表面剥離してしまったカム山と軸部、カム山の表面は硬化してありますが、過大な荷重が掛かったり潤滑が充分に行われないと、このように表面が剥がれてしまいます。
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ショベルのロッカーアームのバルブを押す先端です。ここの磨耗はよく見ることが出来ます。大きなバルブを強いスプリングに抗って押すため痛みが早い部分です。
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ローラータペットのローラー部分がガタガタになってしまったものです。ニードルが細いため痛み始めるとこんな風になってしまうのでしょう。IMG_0108

オイルポンプのスカベンジング側です。潤滑し終わったオイルをタンクに戻す役目をしているので、汚れたオイルに金属粉が多いと、このようにキズだらけになってしまいます。

電子部品は
ワタシは電子的にはシロウトですが、振り返ってみるとパソコンの性能は10年前には想像もできなかったくらい良くなりその上価格も下がり、しかも部品を集めればむしろ完成品より良いものが組み立てが可能。現に今このブログを書いているのは組み立てパソコンです。
近年ではハーレーのビジネスの成長には目を見張るものがあり、年間30万台の生産が継続して行われていたので、万が一メーカーが生産を打ち切ったとしても世界的には100万台以上のハーレーが存在しているから、補修部品には充分な需要があるので当分困る事はないのでは。需要があれば必ず供給もあるということです。
つまり、需要さえあればイグニッションモジュールだってEFIコントロールも組み立てキットが売られるかもしれないし、50年後もVツインは在るかも。

構成部品のマテリアルは
昔のバイクは単純で構成部品はほとんど金属で出来ており、プラスティック部品などは当然使われなかった。
現在のハーレーは遥かに複雑で、おまけにドライブベルトのような複雑な素材で出来ている部品もあるし、ゴムやプラスティックの部品もたくさん使われている。
非金属は経年劣化も大きいし紫外線や熱にも弱いものがある。おまけに金属と違って再生することは不可能であるし、専用部品が多いので流用も難しい。

エンジン本体
エンジンの発展の歴史はメンテナンスフリーを目指した発展でもあり、大きなメンテナンス(全面的なオーバーホールなど)をせずに走行できる距離は大幅に伸びていると思われる。
加工技術の発達や素材の合金の発明などで、ピストン、ピストンリング、シリンダー、ベアリングなどは耐久性を増し、潤滑もオイル自体の性能向上や潤滑性能も徹底したものに改良されて過酷な使用状況にも耐えられるようになった。
例をとるとアルミのダイキャスト部品などは、昔は圧力をかけずに流し込んだだけでしたが今は圧力を掛けて密度の高い、しかも成分を変えて腐食しにくいアルミ部品になっている。

その他
モデルチェンジは昔と較べてはるかに頻繁になり、それだけモデル数も膨大になってしまったので、100年先には補修部品は税制を考えてもメーカーが保存できるとはとても思えない。(今の税制では会社が赤字経営でない限り、古い在庫を処分するときは税務署立会いの基に廃棄処分せねば、在庫が増えた分税金が掛かってしまう)

と考察してみると、最近のバイクに関しての寿命は10年20年の期間で考えると適切なメンテナンスによる通常の走行では、機械的なものでなくオーナーの情熱の寿命なのですね。壊れてもそこで寿命が尽きるのでなく、いかなる部品が壊れても費用と情熱に制限がなければ修復できます。ワタシが26年間バイク屋をやっていても寿命と判断したエンジンはありません。保存したければ自分自身で補修部品を買って持っておけば良いのです。
大きな故障とか事故でスクラップにされてしまう理由のほとんどは、「他のもっと良いバイクに買い換えたほうが良いのでは?」とか「もうバイクは乗らないほうが良いのでは?」とかの助言に従ってしまう人間の弱さじゃないのかな?
50年後を心配するようなら、温暖化、原油の枯渇、食糧危機のほうが大問題でしょうね。




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