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ピストンエンジンは永遠か!な?

バイクを中心に話題を紹介します

インテークマニホールド

2006年03月05日 | 吸気系
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先週の日曜日は冷たい雨が降り、春は何処へ? と思っていたら
今日は昨日に続き、暖かい日差しが・・・・。

ワタシのところは去年も今年も積もるほどの雪は降りませんでしたが、
雪国は雪が多くて大変でしょうね。


トラブルの種は?

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これはインテークマニホールドのシールですが、タブン日本製の社外品です。
シリコンラバー製と思われますが、耐久性は良いのでしょう。しかし、カーボンで汚れてしまい多少の2次エアーの吸い込みも想像できます。
中央の黒い帯のような汚れは?

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’79年?までのヘッドは青矢印のように、’78年前期まで使われていたOリングのなごりで端面に段つきが付いています。

段つきのマニホールドにバンドタイプのシールを使うと、シールが端面の角により過度の面圧を受けて切れることもあります。ですから赤矢印の”アダプターリング”はこの場合には必須部品であると思います。

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またアダプターリングを使用しても、マニホールドとヘッドのズレが生じる場合があります。

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こういった場合ではシールに無理な負担を掛けてしまい、新しい時には気密性を保てても直に2次エアーの吸い込みを生じてしまうでしょう。

シールなどの消耗品を長持ちさせるのには、それなりのノウハウもあるわけで、この場合はマニホールドの端面を削り、摺り合わせを行いました。


折角のステーも・・・

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S&S Eキャブのキットには、クランクケースからマニホールドを支えるステーが付いてきますが、マニホルード側の加工が?でした。
鋳物部品の穴はボルトの頭の座面は加工してありますが、ステーが当る部分は未加工です。

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ステーとの当り面を削って、ステーとマニホールドが平行になるようにします。

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ステーは2ピースで長さを調整できるようになっていますけれど、そのまま固定するとマニホールドに余計な力がかかる様になってしまいましたので、ステーを僅かに曲げて角度をつけて調整して、やはりシールに負担を掛けないようにします。

*パフォーマンスパーツも取り付け方次第ではトラブルの種になってしまい、パフォーマンスダウンのパーツにもなりかねません。





















SUキャブ

2005年12月29日 | 吸気系
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皆様は今年の仕事はもう納められたでしょうか?
ワタシはバトル オブ ツインなどに出場していた頃は(随分前ですが)正月も休みなしで仕事していましたが、今年は遠くに出かける予定も特にないので、このブログの更新は普段と変わりなくできそうです。

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ピストンをスムースに動かすために矢印で示すようにベアリングが使われています。
ベアリングのガイド(外筒)はドームにカシメられていて、別部品の設定はないようですので、痛んだらピストン&ドームでそっくり交換ということになりそうですが、社外メーカーからブラス製か何かのガイドだけリリースされているようです。
ワタシはこうした社外メーカーの対策部品を良く検証していないので、とやかく評価はできませんが、巷ではそう悪くは言われていないようです。
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ドームにポリッシュを掛け、オーバーホールし終わったSUキャブレター。
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通常新品のキャブキットには組み込まれている他に2本付いてきます。
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拡大してみると、BBDとBBXの刻印が見えます。

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リベラでは全部で5種類のニードルを用意していますが、チャ-トを見ても分りづらいので図形化してみましたが5倍くらいに誇張されていますので、イメージするくらいの役になっていませんか?
リベラの注釈をワタシのつたない英語力で・・・・
スタンダード
メインジェット 100、スプリング 赤4-1/2oz、ニードルBBT

ストック900スポーツスター
メインジェット 100、スプリング 赤4-1/2oz、ニードルBBD

モデファイ ショベルヘッド&エボリューション ヘッドワーク、カム、etc
メインジェット 100、スプリング シルバー8oz、ニードルBBTorBBX

ストローカーショベル 93cu,in まで
メインジェット 1015、スプリング シルバー8oz、ニードルBBT

ストローカーエボリューション 93cu,in まで
メインジェット 1015、スプリング シルバー8oz、ニードルBBTorBBX

と、まあかなり大雑把なセッテイングガイドですが、スプリングも12ozまで、ニードルもBBZまで用意されているのは興味がありますね。
スプリングが各種あるのは、ストローカーではベンチュリー内の流速が格段に早くなるための対処ですが、BBZ使ってそんなに濃いガス燃えるの?という疑問が・・・・

ワタシがL,A,からクルマで2時間くらいのポモナ(だったっけ?)のドラッグレース場に行ったのは、もう10年以上前のことですが、そこはレースも行われていないのに沢山のクルマやバイクが走りに来ていました。
高校生のクラブ活動?みたいな連中が古いフォードなど持ち込んでいたり、カワサキの2スト3気筒のレーサーをはしらせているアメリカ人もいたり、レベルは様々です。
そこはもちろんレースになると、トップフューエルやプロストックなども走るため、燃料はC14なども普通に売っているんですね。C14はオクタン価が13とかいう代物で、圧縮比は13とか14で威力を発揮するのです。これが普通のガソリンの3倍?くらいで誰でも買えるのです。
ワタシがC14を日本に輸入したら60Lで10万は払いました。
これをスーパーグースの430ccのエンジンでFCR41にMJを#210つけても#11のレーシングプラグは真っ白になってしまいます。

という日本とまるで違う環境のアメリカで売られているパーツは「売っているのだから使えるのだろう」という感覚で使うと酷い目に合うかもしれません。



    



SUキャブの組み立て、調整③

2005年12月18日 | 吸気系
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SUキャブの組み立てもいよいよ終盤です。

その前にテレビを見ていて仕入れたネタを・・・・
カーデガンの発明者は?
コーヒーカップの下に置くソーサーの由来は?
答えは一番下です。

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メインジェットとバイメタリックレバーの位置関係です。
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バイメタリックスクリューにはOリングが付きますが、忘れずにシリコングリス等を塗布して潤滑します。
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バイメタリックスクリューの先端がレバーの溝にキチンと入っているか確認をしておきます。
スクリューを締めこんで、各部品がスムースに作動するか確認します。
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リベラの説明によると、メインジェットの標準位置は、バイメタリックスクリューを一杯に締めこんでから、6回転戻したところとなっています。ベンチュリーのエッジから1/16インチ(1.58mm)です。

*新品をチェックしてみたら7.5回転戻しになっていました。ですから新品の状態は標準とは思わないほうが良いですね。
*写真のキャブはスクリューを7回転戻すと先端は既にレバーから浮いていますので機構上の調整範囲はその手前までということになります。
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テイクラーポンプの各部品の位置関係です。
小さいほうのスプリングはカップを押さえるので、カップを傷つけないよう気を付けます。

エアゾールは前にも紹介したフッ素オイルです。ガソリンにも溶けないと謳ってありますので、特にこの部分の潤滑には期待しています。s-34
テイクラステムに付くカップの向きです。
こういうカップはブレーキのマスターシリンダーのものと同じで、圧力を掛けるとより広がろうとして圧着する形状になっていますので、組み付けにくいと言って反対にしてはイケません。
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ピストンとジェットニードル付近の部品です。
細かいですから、紛失しないようにして下さい。
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ニードルを押さえる「ガイド」の向きに注意。
ココを間違えるとガイドが変形して外れなくなる危険性があります。
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ガイドは外側の面と平らになります「面一(ツライチ)」。
ガイドの位置でニードルの位置も変わってしまいますので、ココも注意です。
ガイドを付けてもニードルは奥のスプリングで浮いた状態ですから、ニードルはグラグラと動くのが正常です。
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ココを間違える事はまずないと思いますが、ピストンの溝にボディのガイドが入ります。
リベラではボディも含め、全てのパーツが個別に購入できますが、ピストンとドームはペアになっています。

ピストンの摺動部にもフッ素オイルが威力を・・・・・・?
                                                                                                                                                                                                                                                                                                       
カーデガン
発明はカーデガン伯爵、戦場でケガをした兵士を治療するために、セーターでは脱がせにくいので前が開くようにした。

ソーサー
イギリスにお茶が伝来する前は熱い飲み物を飲む習慣がなく、熱いお茶を冷ますために小皿に移し飲んだそうで、(みっともないから廃れた)その小皿がそのまま残った。

ウソのような本当のような・・・・・・。





SUキャブの組み立て、調整②

2005年12月15日 | 吸気系
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引き続きSUキャブの調整しながらの組み立てです。
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チョークのスピンドルとボディの磨耗がないのを確認したら、組み込む前に、Oリングとシールを組み付けます。
こういった部品は各部を密閉させるのを目的にしているので、キズつけるとその目的を達成できませんから細心の注意で行います。
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もう一度キャブボディ側にキズなどないか確認して、チョークバルブを組み付けます。
Oリングは潤滑されていないと、ココでもキズつけてしまう可能性がありますので、ご注意を。
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後でつけるスプリングでシールをキズ付けてしまうので、青矢印のチョークボディキャップを忘れずに付けておいて下さい。
チョークカムレバーを取り付ける前に、アイドルストップレバーを組み付けます。
リターンスプリングは左右ありますが、形は同じで向きがちがいますから取り違えると悩む事になりますので、気をつける必要があります。
乗せただけではこんな感じです。レバーを付けるときには赤矢印の示すところまでスプリングの引っ掛かる端を持ってこなくてはなりません。指先に刺さないように気をつけます。
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アイドルストップレバーを取り付けたら、チョークカムレバーを付けます。
リターンスプリングの向きにきをつけて、赤矢印のところまでスプリングをひねります。
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忘れないようにと書いたチョークボディキャップとの間にスプリングを挟みこまないように気をつけて、チョークカムレバーを取り付けます。
カムレバーのストッパーがキチンと写真のように当たるか、アイドルストプレバーとカムレバーがうまく引っ掛かるか、それぞれがスムースに動くかなど確認します。
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フロートバルブのシートを取り付けますが・・・・・・。
ココでももう一度キャブボディのキズ等を確認します。
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フロートバルブシートのネジ部分を図にしてみると、ネジの外径はガスケット(赤いリング)の落ち着くところより大きくなっています。ガスケットの内径は当然ネジの外径より大きいのですから、ネジを締めてガスケットが落ち着くと、センターがずれる可能性があります。
そうなると・・・・・ガスケットの幅が狭いので、ココでガソリンのリークが有り得るのです。
まあ、ココのリークは余り聞いたこともないので、可能性は低いのですが、こういう形状の部品はこういったことがある事も知っておいて下さい。
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ガスケットのセンターを確認しながらしっかりと締め付けます。
くどいようですが、ココでのリークはガソリンのオーバーフローの原因になります。
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フロートをフロートスピンドルスクリューで取り付けます。
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スピンドルスクリューのガスケットの役目をするアルミのクラッシャブルワッシャーは、文字通り潰れてしまって外れません!
こんなときはプライヤー等で挟んで固定し、スクリューをネジを緩めるように回すと簡単に外れます。

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クラッシャブルワッシャーを新品に交換しスピンドルスクリューを確実にしめてから、フロートレベルの確認です。
リベラの指定は写真のように、キャブをさかさまにしてフロートの中央のくぼんだ所とボディの淵が同じ高さですね。
もし違っていたら、赤矢印の真鍮タブを曲げて調整する必要があります。

SUキャブレターは単純ですがオーバーホールしても確実に組み付けないと、おもわぬ不調を招く場合もあります。
「オーバーホールしたのに、調子が悪いんです!」などの事態にならないように確実な作業を・・・・。


SUキャブの組み立て、調整①

2005年12月14日 | 吸気系
SUキャブレター(エリミネーターⅡ)の組み立てをしてみましょう。
こういったものを組み立てるのは細心の注意が必要です。ミスにより外にガソリンが洩れるのはまだ分リ易いのですが、内部リークなどは思わぬ症状も引き起こす可能性があり、また分りずらいことも多いです。ぞんざいな作業は2次災害を自分で引き起こしてしまうのです。
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まず各部に磨耗やキズなどないかチェックします。ボディにスロットルスピンドルを差し込んで、ガタがないか、回して引っ掛かりがないかチェックして、溝にスロットルデイスクを差込みます。
スクリューの入る穴を合わせ、スピンドルを軽く回すようにして、ボディにデイスクがぴったり合う感じです。
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スクリューを仮締めして、スピンドルを何回も動かしスムーズに動くか、閉めたときにデイスクとボディに隙間が出来ないかチェックして本締めします。
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スクリューを確実に締めた後は、裏側の切り込みを広げて万が一緩んでも脱落を防ぎます。
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スピンドルのシールを忘れないうちに嵌め込みます。
普通のオイルシールなどと違い柔らかいので、ソット押し込みます。これが痛むと2次エアの吸い込みがありますので注意しましょう。こういったゴム類の部品を組み込むときはドライではなく、必ず潤滑することを自分のルールにしておいたほうが良いと思います。
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キャブレター内の潤滑に期待しているのは、このフッ素オイルです。
サラッとしていますが、ガソリンにも溶けないようで、ゴム類や人体に開く影響がないと謳っています。
小さいエアゾールで3675円と結構高いのですが価値がありそうで・・・・・。


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アクセルワイヤーの加工

2005年12月13日 | 吸気系
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ミクニキャブレターが付いていて結構調子は良いのですが、前オーナー?がステキ?なアクセルワイヤーの付け方をしていたので、これを見られるように直します。元々このキャブはプーリーがもう1個付いていたはずですが、ロッカーカバーに当たるのでプーリーを外したらインナーが長くなってしまい、苦肉の策を講じたのでしょう。
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まずインナーワイヤーをカットします。
工具はブレードブレーキホースをカットするのに何時も使うカッターです。
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エンドを作る材料は6Φの真鍮棒です。
こういう材料は東急ハンズでも売っていました。
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インナーワイヤーの外径を測ります。約1.15mmですね。
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エンドを加工するのには、まずワイヤーの通る穴をあけます。
曲面にドリルの歯を当てると滑ってしまい非常に難しいので、センターポンチで凹みを作っておきます。
転がらないようにVブロックを使うと簡単です。
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やはりVブロックを使い1.5mmの穴を開けて、反対側は真鍮棒の直径の半分の深さに3mmのドリルで広げておきます。
*このエンドのように小さいモノを加工するのは困難ですから、穴あけ加工が終わってから切り取ると作業し易いですね。

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こういうイメージになります。こうしておけばかなり抜けずらくなりますね。
アクセルワイヤーはたいした力は掛かりませんが、同じ方法で作ればクラッチワイヤーも可能です。
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出来上がったエンドにワイヤーを通し、ワイヤーの端をほぐし広げておき、エンドの穴からワイヤーが出っ張らないように位置を調整します。
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ハンダ付けには、ステンレス用のハンダを使います。
コテは200Wですが、このハンダは銅線用に較べて融点が高いので30分くらい暖めておきます。
カセットボンベのバーナーでも使えますが温度が高くなりすぎて、ワイヤーがすぐに赤熱してしまい強度が落ちるので、作業は難しくなります。
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ハンダ付けする箇所をハンダの融点以上に暖めなければならないので、ハンダを乗せる前にこうして充分予熱しておきます。
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ハンダを乗せたのちフラックスを1滴たらすと、一瞬でハンダは溶け込みます。
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こんな感じに溶け込めばOKですね。
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温度が充分ですと、毛細管現象で裏側までまわってきます。

*重要 ステンレス用フラックスは酸性が強く、そのままにしておくと鉄のワイヤーは腐食して切れてしまいます。パーツクリーナー等でワイヤーを巻いてある方向と逆にねじって広げて、ワイヤー内部まで洗浄してください。
そのあと防錆剤を塗布しておくと良いですね。

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ブラケットも余計な部分をカットして、スッキリしました。

こうしたことはヤル ヤラナイは別にして憶えておくと、不測の事態にも対処できると思います。

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SUキャブの調整

2005年12月11日 | 吸気系
SUキャブを重箱の隅を突っつくように考察しましたが、「組み立て」を飛ばして調整にいってみようと思います。
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”教材”はいささかくたびれたショベルのローライダーです。
点火は純正、マフラーは13/4のドラッグパイプ バッフル入りです。
条件はいささか悪いのですが・・・・・。
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ワタシが15年も使い続けているホリバのCOアナライザー、日本語で言うと一酸化炭素分析器ですな。
当時27万円もしましたが、15年も使えば元は取ったかな?
HCも一緒のヤツのほうがいいのだけれど、値段は倍もするので・・・・。
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排気ガスを採取するプローブはこんなに長い。
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ユーザー車検に行った方はわかるでしょうけど、60cmは挿入しないとダメです。
何故かというと、特に低い回転だと排気ガスは脈動というか断続的なので、外気が排ガスに混じってしまい低い数字を表示してしまいます。車検の時は低い数字のほうが良いかもしれませんが、調整のときにはイケません。
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アイドリング付近のミクスチャー調整はメーカーが「バイメタリック スクリュー」と呼ぶ赤矢印のスクリューを回して行います。
前に説明したように、メインジェットを上下に動かすモノですから、右に締めこむとメインジェットは下に動き、ガソリンの供給量は増え濃い混合気になります。
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当たり前の話ですが、キャブの調整は完全に暖気した状態で行います。
エンジンを触って熱いからといってキャブの調整を始めるのはマチガイの元で、油圧がこんなに上がっているのでは暖気運転はまだまだですね。油圧が高いというのはオイルがまだ硬いので、「エンジンの運転常温」のときよりオイルポンプや各部に大きい抵抗があるはずです。
また、人間が触ってあついと感じるには人により差がありますし、80度くらいからもう熱いと感じてしまいます。

エンジンには元々冷却損失というものが30%くらいありますが、温まりきっていないシリンダーやヘッドは燃焼温度を吸収してしまうので、その状態でキャブをいじっても意味がありません。

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今日作業を行ったのは気温が8℃という環境ですが、ティクラポンプを5回押してチョークを作動させると簡単に始動しました。
チョークが効いたまま1分間エンジンを回していると、ファーストアイドルが効いて回転数は2000rpm前後ですが、排気ガスの濃度は写真の通り5.6%です。この状態ではガスは写真に写らない程度に黒くみえます。
このままではプラグは黒くカブッてしまいすので、チョークを解除してアイドリングスピードスクリューを回し、エンジンが止まらないように1500rpm前後に高くします。

*エンジンの暖気でプラグをカブらせてしまうケースも多いと見受けられるので、黒煙がでてきたらチョークは解除することをオススメします。
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完全に暖気運転をしてから調整して、ワタシはこのように2%を切るくらいにしておきます。

*この車両ではスクリューの1/4回転でCO値は約1%変化しました。
つまり、調整範囲はベストプラスマイナス1/8回転と言えます。
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ところがアイドリングスピードを下げると、このようにCO濃度は上がってしまうのですね。

ワタシも3拍子はキライではありません。聞いていると何時までも飽きが来ないあのリズムはなんとも言えません。
ところが、3拍子セッテイングは極端にスロットルバルブが開いていない状態なので、空燃比が不安定で、もちろん油圧も足りない状態なので長時間3拍子を続けるのはイケません。
そして、3拍子を続けるために「薄すぎる状態」に陥る危険性もあります。
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同じ調整値で、2000rpmまで空ぶかししてみると、こんなに低いCO値になります。
もちろん負荷が掛かっていないので走行状態とは違いますが、空燃比の一般的なアイドリング12:1、定速走行15:1~17:1という数字もうなずけるでしょう。
このアナライザーはリアルタイムに表示されるわけではなく、何秒かのタイムラグがありますが、勢い良くアクセルを吹かすと一瞬大きい数字を表示するので、SUキャブの”加速ポンプ”の存在を裏付けますね。
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NGK BPR5EYですが、アイドリングCO2%ではこんな感じです。
少々黒いのですが、試運転して5kmも走ればもっと焼けていい色になるはずです。
もちろんこの段階でOKというわけではなく、試運転をして最終チェックを怠りません。

キャブレターはいよいよ全面的に電子制御燃料噴射に席を譲る気配ですが、始動時、アイドリング、低速、加速、定速、高速と様々な運転条件で適切な空燃比の混合気をエンジンに供給する役目を、電子的な制御もなく物理的な動きだけでこなしてしまう、ある意味オドロキの装置です。まさにアナログだと思います。
その尊敬?すべきキャブレターも、不当な扱い方をされたり、エンジン本体の不調の原因に押し付けられたりしていますが、運転の仕方など不調の原因は思わぬところにあったりもします。

一般ユーザーの方々は自由にCOアナライザーを使えないのは重々承知の上です。
しかし、掲示板などではキャブレターの不調に悩む方が後を絶ちません。ユーザー自身がハーレーを弄って楽しむのも大切ですが、いつまでも悩むより腕のたつメカニックに1度見てもらうことをオススメします。

COアナライザーは便利ですが、スベテではありません。排ガスはエンジンの仕様、コンプレッションなどの状態、マフラーなどによっても変化してきます。マフラーの影響は大きく、音が大きいからといって抜けがいいとも限らず、抜けが悪いと燃焼室内の残留ガスが多いので、ちょっと濃すぎるとプラグはすぐかぶってしまいます。
ハーレー用のリプレイス大口径キャブは今回説明させていただいたように、少しの調整回転角で結果は大きく変化します。そして中速まで大きく影響してしまいますのでアイドリング付近の調整がかなり重要です。

セッテイングの考察はまた後で・・・・。



SUキャブの”チョーク”

2005年12月10日 | 吸気系
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SUキャブのチョークは構造的にはエンリッチナーと前にも書きましたが、ここではメーカーの主張通り”チョーク”と呼びます。
チョークを作動していないときには、アイドルストップレバーはアイドルスピードスクリューに乗っています。
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チョークカムレバーを回転させて作動させると、アイドルストップレバーに付いているファーストアイドルスクリューがチョ-クカムレバーに乗ってスロットルバルブを少し開き、ファーストアイドル状態(高いアイドル回転)にします。

このときはチョークカムレバーはファーストアイドルスクリューに引っ掛かって戻らないようになっていますが、アクセルを開けると引っ掛かりが外れ、チョークはパチンと戻るのが正常です。

ちなみにエンジンが冷えているときに、ファーストアイドルが効かないでチョークだけ作動させると、エンジンは止まってしまいますので適度な回転数に調整する必要があります。
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チョークカムレバーを回転させると写真右のスピンドルが回転して、それぞれの青矢印の小さいポートの位置が合致し回路が開き、フロートチャンバー内のガソリンが供給されることになります。
緑矢印のポートの形状に注意すると、その形状から回転角によりガソリンの通過量が変化させるような意図も見られますが・・・・。
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キャブ本体の通路はどういう風になっているかというと・・・・。
はフロートチャンバーからガソリンが入ってきます。
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はフロートチャンバーのこの位置に開口していて、一番低い所からからガソリンを供給します。
はフロートチャンバーの一番上のほうから空気を吸い込むようです。
B通路のフロートチャンバー側はリストリクターといって、穴径を絞り空気量を制限しています。
Bは一見不要のような気がしますが、ないとガソリンが多すぎるし、リストリクターの穴が大きすぎるとガソリンが吸われなくなってしまうので、これでバランスが取れているのでしょう。
*ココが詰まってしまうとオーバーチョークになってしまうでしょう。

きっとチョークスピンドルのポートの大きさだけではガソリン供給量の制御ができないのと、ベンチュリー内の負圧がさほど高くないのでガソリンと空気が混じった状態のほうが効果が高いと思います。
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はスピンドルを通過したガソリンと空気がベンチュリー内に流入するポートです。
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は機能的に?ですが、上の写真の?とつながっていてスロットルバルブのバイパスになっています。

*チョークからガソリンが内出血?
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この写真はチョークがオフの状態ですが、赤線はチョークボディとスピンドルのポート位置の角度を示しています。
チョークを作動させるのには、チョークカムを反時計回りに約90度回転させる事になりますが、スピンドルには両面にポートが開いていますので、ストッパーが何らかの理由で働かなくなり通常の戻り位置より先まで戻ってしまうと、チョークが作動してしまうことになってしまいます。
つまり、チョークから垂れ流しになってしまい、いくら調整しても空燃比は濃すぎて、調子は良くなりません。
*訂正
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チョークOFFでは、カムレバーの位置がこの写真のようにストッパーにあたるのが正常です。
上の写真の状態では、垂れ流しの恐れがあります。
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スピンドルの写真ををさらに拡大してみると、ポートの形状は角度によって供給量を変えるのではなく、チョークカムレバーの角度がぴったり合わなくても回路が開くようになっていたのでした。
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コレはスピンドルがチョークボディに組み込まれた状態ですが、Oリングとシールはこのように付きます。
部品の劣化による不具合が考えられるのは
スピンドル、ボディの磨耗・・・密閉度の低下によるガソリンの内部リーク
Oリングの不良・・・・・・・・・・・密閉度の低下によるガソリンの内部リーク
シールの不良・・・・・・・・・・・・ガソリンの外部リーク

ティクラポンプを使えば寒冷時の始動は問題ないと思いますが、チョークを使わないとすぐに止まってしまいます。
チョークをうまく活用すれば、より快適にSUキャブレターを楽しむ事が出来ると思いますので、この項が役に立てば幸いです。









チョーク

2005年12月09日 | 吸気系
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SUキャブのチョークと呼ばれているシステムは正確にはエンリッチナーだと思いますが、日本製のバイクのエンリッチナーのつまみのほとんどにもチョークの図が書いてあるので、まあしょうがないか?
SUのエンリッチナーもちょっと変わったメカニズムですが、その前に本来のチョークのメカニズムを考察してみましょう。
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これはケイヒンバタフライですが、写真は閉まった状態です。
バタフライのシャフトがオフセットされているのに注目してください。
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つまり、こういうことでキャブの入り口のバルブで、プロレスでも反則ワザの窒息させるわけですね。
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チョークバルブが作動すると、ベンチュリー内の負圧が全体的に高くなり、メインジェットからもガソリンが吸いだされ、始動時に必要なリッチな空燃比を供給します。
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弱点はチョークを作動させたままスロットルバルブを開くと、ベンチュリー内の負圧が高くなりすぎて、吸い出されるガソリンがものすごく多くなりIGプラグはすぐかぶってしまいます。
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そのためにチョークバルブはオフセットしてあり、吸入空気量が増えると開く構造になっています。
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チョークバルブは矢印のスプリングを介して動くようになっていて、吸入空気圧でも戻るようになっています。


ケイヒンバタフライも固定ベンチュリー独特のフィーリングがあるので、愛好されるかたもまだまだ多いと思われますが、今や暖機運転も条例で制限されてしまう時代ですから、CVキャブのような「引きっぱなしでも走り出せるエンリッチナー」の採用は当たり前なんでしょうね。


ティクラポンプ?

2005年12月05日 | 吸気系
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このところ随分寒くなりました。
雪が降らなければハーレーに乗る元気な人も多いのでしょう。
寒いとエンジンは掛かりづらくなります。空燃比は通常が14:1前後なのに対して、エンジンが冷えているときは5:1ぐらいが要求されます。まして氷点下まで下がるとティクラポンプは良い仕事をしてもらわないと始動には苦労させられます。
そんなワケでティクラポンプについて考察してみましょう。

s-11111
ティクラポンプってSUキャブ以外では聞いた事がありません。
古い英車や日本車には「ティクラ」は付いていましたね。
s-P1010112
実物を分解してみるとこのように細かい部品が入っています。
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図で書くとこのような構造です。
文字通りポンプになっています。
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メーカーでの呼び名はヴィトンカップとなっています。
VittonでなくVitonですから高価なバッグではありません。
このカップで空気を送り込むので、このように破損してしまうと用を為しませんね。
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ポンプが正常に働くとフロートチャンバーに空気を送り込んで、フロートチャンバー内の気圧を高めメインジェットからガソリンを押し出す感じです。イメージできるでしょうか?

ティクラポンプを1回押しても大した量のガソリンは出ないので何回も押す必要がありますが、押す回数は気温やエンジンやポンプの調子によっても異なりますので注意する必要があるでしょう。

指が痛い!
何回も押すと指にポンプが食い込んで痛くなります。
これはポンプを機能させるためには、指の腹でポンプを塞いで密閉させないと空気を送り込むことが出来ません。
しっかりポンプの先端を塞ぐイメージで押してください。

ガソリンが出ない!
「暖かいときにはエンジンの始動は良かったのに、寒くなったらティクラを何回も押してエンジンが掛からない」というときはエアクリーナーの外側を外してポンプを押してみると、ガソリンが出るか出ないか確認できますが、ビトンカップが破損してポンプの機能が悪いようでしたら、ポンプの押すところに手頃なホースを付けて息を吹き込むと同じ結果が得られます。

ピストンリフト?
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キャブ本体の左側の目立たないところに、このピストンリフトピンがあります。
せっかくティクラポンプが仕事をしても、ピストンが下がっているままだとニードルの形状によりメインジェットの開口面積が小さいので、これを写真のように押してピストンをリフトしてやらないと押し出されるガソリンの量は少なくなってしまいますのでリフトピンは必ず活用してください。

SUキャブはこのように少々やっかいな手順がありますが、更に付け加えると冷えたエンジンの始動はあせらずに、ティクラポンプが押し出したガソリンが揮発しはじめるまで1分くらい待ったほうが効果的であると思います。

おまけ
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元々のティクラとはこのような構造になっています。
30年くらい前のバイクにはまだ使っているキャブがありました。
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つまり、フロートをピン状のもので直接押すことによりガソリンをオーバーフローさせてキャブ内に流れ込ませるというかなり野蛮?なメカニズムです。
カチャカチャ勢い良く何回も押す人がいましたが、いつもこのように押していると薄い真鍮で出来たフロートに穴を開けることになりますのでヤッテはいけません。何秒かヤサシク押してください。
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中古車在庫のW1のキャブにホンマモンのティクラが付いていました。
フロートを下に押す方向は赤矢印の向きです。