三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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国民国家日本のアイヌモシリ植民地化と朝鮮植民地化 3

2013年12月20日 | 個人史・地域史・世界史
■一 アイヌモシリは、日本の固有の領土ではない
  (3)「アイヌ文化振興・研究推進機構」

 七月一日、アイヌモシリ植民地化新法が施行されると同時に「旧土人保護法」が廃止された。だが、この新法は、「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」という名(註1)のとおり、アイヌの文化と伝統にかんする「法律」であって、経済法ではないので、「旧土人保護法」にかわる法律とはできない。「旧土人保護法」を廃止するまえに、日本政府は「旧土人保護法」によっておこなってきたアイヌにたいする歴史的犯罪の全体を明らかにしなければならない。そのような作業をなにも行なわずにアイヌモシリ植民地化新法を施行すると同時に「旧土人保護法」を廃止するのは、「旧土人保護法」が北海道長官(→知事)の管理としてきたアイヌ民族の共有財産を略奪することをも意味する。
 アイヌモシリ植民地化新法の施行日に、本部を札幌におく財団法人「アイヌ文化振興・研究推進機構」なるものが発足した。
 「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」が、アイヌモシリ植民地化継続のための新法であることは、この財団の構成・運営にも明瞭に示されている。
 この財団の理事長にも専務理事兼事務局長にも和人が就任し、理事一五人中、アイヌは六人、評議員一八人中、アイヌは六人であり、職員のうち六人が北海道庁から派遣されている。和人理事の中には、北海道地域総合振興常務理事(元北海道開発庁計画監理間)や私立大学退職金財団常務理事(元文化庁文化保護部長)などが入っている。
 六月二七日付で理事長に就任した佐々木高明は、今年三月まで四年間、国立民族学博物館の館長であったが、「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」の「有識者」の一人であり、さらにはアイヌモシリ植民地化新法の作成作業にも参加していた。「アイヌ文化振興・研究推進機構」は、日本の民族学研究とむすびついている。民族学や人類学や植民学は、帝国主義諸国の植民地支配に奉仕する学問であったが、いまもその基本性格はかわっていない。
 この財団の理事長と専務理事兼事務局長(北海道庁から出向した天池智裕)は、就任そうそう、副理事長であるウタリ協会理事長笹村二朗にも知らせることなく、東京の北海道開発庁内で、文化庁や北海道開発庁の官僚らと和人のみで事業内容の協議をおこなった。七月八日に「アイヌ文化振興・研究推進機構」の理事・評議員のうち笹村二朗らウタリ協会の八人の人びとは、この二人の辞任を要求した(七月一四日に撤回)。

 註1 日本の新聞記事では、「アイヌ文化振興法」、「アイヌ文化法」、「アイヌ新法」と略称されている。
    「アイヌ文化管理法」、「アイヌ学者養成法」だと指摘する人もいる。
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