JR宝殿駅(写真右)の周辺は、なるほど不思議な地割である。
宝殿駅の駅舎は高砂市であり、その南一帯の商店街は、加古川市に属している。
駅から南に伸びる道を行くと国道2号線にでるが、さらに行くとすぐ高砂市になる。
昭和32年、米田町合併問題の余波があった。
米田町が分裂して、それぞれ加古川市と高砂市に合併した直後から、平津地区特に国鉄(当時)宝殿駅前商店街を中心として、再度分市を求める動きがおきた。
昭和32年5月、主に宝殿駅周辺の住民が高砂市長と議長に「平津地区を高砂地区に編入して欲しい・・・」と申し入れた。
高砂市は「地元の福祉を守る」と言う立場で県の調停を求めた。
これに対して、他の平津地区の住民は「先に高砂市に出された陳情はデタラメである」と県当局や加古川市に申請書を提出した。
4月8日、加古川市議会も「再分市絶対反対」の決議をした。
県は「・・・米田地区を分離した際、住民の多数意見によって加古川市に編入したばかりであり、調停にかかったからといって境界変更を認めることにはならない」と、分市を考えていないことをほのめかした。
その後の話し合いの中で、加古川市は平津地区の要求を尊重すると言うことで、分市の動きは、おさまっていった。
*『加古川市議会史(記述編)』参照、写真は宝殿駅(上)と駅前商店街(下)