樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

ヒリヒリ

2007年02月02日 | 木と宗教
明日は節分。わが家では豆は食べますが、「掃除が大変」という理由で撒きません。
豆撒きもそうですが、イワシの頭をヒイラギの枝に刺して玄関に飾るという風習もだんだん廃れてきました。この風習はもともと年末のものらしく、平安時代の『土佐日記』には12月29日の記録として、「都では家の門に注連縄を下げ、それにボラの頭やヒイラギをつける」と書いてあるそうです。いつごろ節分に切り替わったのか知りませんが、ボラの頭がイワシの頭になったのは江戸時代になってからのようです。「イワシの頭も信心から」という言葉もこの頃に生れたのでしょう。
欧米ではセイヨウヒイラギの葉をつけたクリスマスリースをドアに飾るようですが、洋の東西を問わず葉のトゲトゲに魔除けの効果があると信じられていたのは興味深いです。

      
        (下鴨神社にある比良木神社のヒイラギ)

ヒイラギは漢字では「柊」と書きますが、これは国字(日本で作った漢字)。私は冬に白い花が咲くので木ヘンに冬なのだろうと思っていましたが、違いました。
昔は冬のしもやけでヒリヒリすることを「ひいらぐ」と言い、「疼」の字(この漢字は中国オリジナル・日本語では「うずく」)を当てていました。葉のトゲトゲが肌に当たるとヒリヒリするので、この木を「ヒイラギ」と名づけ、「疼木」と表記したようです。それが、いつの間にか病ダレから木ヘンに変ったのです。病ダレの木は誰も庭に植えないでしょうから、多分、植木屋さんが柊という漢字を作ったのでしょう。
去年、下鴨神社に行ったとき、比良木神社という社があって、その横にヒイラギの古木があるのを見つけました。案内板によると、「社の周辺に木を植えると何でも柊になるという伝説がある」そうです。京都にはまた、有名な老舗の旅館「柊家」があります。
さて、最近忙しくなってきましたので、来週から毎日ではなく、隔日のペースで記事をアップすることにしました。木のおもしろい話はまだまだたくさんありますので、これまで通りご愛読ください。
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8 コメント

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楽しみにしています (guitarbird)
2007-02-02 22:27:42
こんばんわ、guitarbirdです

隔日ペースにされるということですが、どうであれ、
いつもとっても楽しみにしておりますので、
無理のない範囲で、これからもよろしくお願いします!
ヒイラギって実は見たことがありません。
東京にいた頃、見ていたかもしれないですが・・・
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ありがとうございます (fagus06)
2007-02-03 10:28:00
そう言っていただくと、とても励みになります。
ヒイラギは多分、東京にいらっしゃった頃にご覧になっていると思います。よく玄関脇に植えてありますから。
記事に書いた老舗旅館「柊屋」のホームページを見たら、トップページに玄関の写真があって、樹が植えてあるのですが、どうもヒイラギナンテンのようでした。
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冬に白い花が咲くので (scops)
2007-02-05 00:36:07
木ヘンに冬、というのは違うのですか・・・
私もそうだと思っていました。

「柊屋旅館」一度だけお昼に行ったことがあります。業界の総会で、会員に「柊屋」のご主人の知り合いがいてなんとか・・・

お昼でも結構なお値段でしたよ。京都に住んでいてもなかなかいける場所じゃないですね、ここの前は毎日通っていますけど。
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私もそう思っていましたが (fagus06)
2007-02-05 07:37:16
考えてみれば、冬に咲く白い花も小さくて目立ちませんから、わざわざ木ヘンに冬と書くほどではないですね。ツバキが木ヘンに春と書くのは納得できますが・・・。
ちなみに、木ヘンに夏はエノキです。木ヘンに秋という漢字もあって、漢和辞典で調べるとキササゲのことらしいです。
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下鴨でしたか、 (bulbul)
2007-02-06 03:27:37
 柊の古木が上賀茂神社の境内にあったとしたら地名の由来にも繋がりそうだったのに(笑)、柊、椿、榎にキササゲですか、よく知った字や木なのに並べてみると味わい深い気がしますね、キササゲが変換できずちょっと残念 (苦笑)。
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BULBULさんはご存知 (fagus06)
2007-02-06 08:10:02
だと思いますが、「椿」の字は中国ではツバキではなくチャンチンを意味しますし、榎も日本と中国では違うようです。
同じ文字を複数の国が使うといろんなネジレ現象が起きるようです。
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なんでも柊神社ですね^^ ()
2007-02-24 09:59:38
周りの椿は葉にギザギザがある柊葉椿だとか(笑)

こんにちは。
ハンドルの柊は西洋ヒイラギではなくて木犀科のヒイラギです。
清楚な白い花も、よい香りもたいへん好きです。
また、柊は、古木になると葉のギザギザが丸くなると聞きました。
尖ったところが落ちて丸くなるのではなく、凹みが補われて丸くなるのだといいなと思いましてハンドルにしています。
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柊神社に行かれたのですか (fagus06)
2007-02-26 09:04:33
下鴨神社にはいろんな謂れのある樹や場所があって、ツリーウォッチャーとしては興味深いところでした。
凹みが補われて丸くなる柊の葉、意味はよく分かります。自分自身は多分とがった部分が落ちて丸くなったのかなあ~。
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