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樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

樹木のCO2吸収能力

2009年03月20日 | 樹木
このブログも今回で500回目。みなさまのご愛読のお陰でここまで続けることができました。ありがとうございます。
そういう謙虚な姿勢とは裏腹に、きょうは上から目線の偉そうな記事ですが、500回記念ということでご容赦を…。
日本は京都議定書で「温室効果ガス6%削減」を公約し、その内の3.8%を森林が吸収するとしています。でも、私は眉に唾をつけています。
樹木は二酸化炭素を吸収して酸素を排出する…、みなさんもそうだと思いますが、私も以前は単純にそう考えていました。ところが、樹木は人間と同じように、酸素を吸収して二酸化炭素を排出します。
昼は光合成として二酸化炭素を吸って酸素を出しますが、夜は呼吸として酸素を吸って二酸化炭素を出しているのです。それでも差し引きすれば二酸化炭素の吸収量が若干多く、その分を樹木は炭素として固定しているわけです。

       
      (アスナロの気孔。ここからCO2やO2を吸ったり吐いたりします)

3.8%という数字を出した林野庁の計算式には、この呼吸による差し引き量は含まれています。と言うか、樹木の成長量からCO2の吸収量を算出しています。航空写真や森林データベースを使って綿密に計算しているようです。しかし、樹木はもう一つ別のところでCO2を出しています。
森の中では毎年、膨大な量の葉や枝や枯れ木が朽ち果てますが、朽ちるということは酸化作用ですから、O2を消費してCO2を排出します。このことを私は日本の森林生態学の権威の著書で知りました。その学者によると、呼吸と腐朽による排出を差し引きすると結果的に森林のCO2吸収量は微々たるものだそうです。
林野庁の計算式には腐朽によるCO2排出量は含まれていません。3.8%という数字には、森林のトータルのCO2吸収量が反映されていないのです。

       
          (林床の落ち葉や枯れ枝からは大量のCO2が…)

某家電メーカーは、エアコンをエコモードにするとリモコン画面で木が育ち、成木になるとメーカーが植樹することを売り文句にしています。私は樹木が好きですが、不確かな計算式で出した数字に過剰な期待を寄せるこうした傾向には「???」です。
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4 コメント

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500回 (scops)
2009-03-20 21:56:31
おめでとうございます。

いずれにしてもカーボンニュートラルなのですから問題は少ないですけど、CO2の吸収量がトータルすると微々たるものだというのは困りましたね・・・。

その点、炭は炭素を固定しますから、各地で利用方法が試されているようです。でも、それこそ微々たるものかもしれませんけど・・・。
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木を植えるな!伐れ! (fagus06)
2009-03-21 10:43:41
と言う人もいます。つまり、植樹するよりも、木を伐ってもっと利用すべきだという主張です。
炭もそうですし間伐材もそうですが、木製品を利用して循環させないとCO2吸収は持続しないということらしいです。
私も自己満足的に植樹活動よりも、木材として利用すべきだと思います。
いずれにしても3.8%は無理でしょう。
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遅くなりました・・・ (guitarbird)
2009-03-25 07:56:01
おはようございます
ごめんなさい、5日も遅くなりましたが、
500回おめでとうございます!
これからもますまいろいろ考えそして楽しませてください。
この問題については不勉強で、この記事については理解し納得しましたが、
自分の言葉で何も言えないのが申し訳ないところです。
でもこのような記事もこれから楽しみにしております。
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ありがとうございます (fagus06)
2009-03-25 08:42:37
いつもいただくコメントが大きな励みになっております。
この問題について、偉そうなことを書きましたが、私もよく消化できていないところもあります。
もう少し勉強して、また新しいことが分ったら記事にします。
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