樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

英雄ゆかりの樹

2010年08月16日 | 伝説の樹
日本史の授業で「大塩平八郎の乱」を学びました。天保8年(1837)、飢饉で苦しむ民衆をよそに米価を吊り上げる商人や腐敗した幕府を正すために反乱したのが大塩平八郎。
その乱の際に砲弾が命中したという樹が大阪市内にあります。そのまま約150年間生き残っていましたが、枯れ死したため1984年に2代目が植樹され、建設省(当時)が石碑まで建てて顕彰しています。
その2代目も枯れたので、今年になって3代目が植えられました。樹種はエンジュ。場所は大阪造幣局近くの国道1号線沿い。車がビュンビュン走り去る道の並木の1本として植えてあります。



戦いの朝、平八郎の屋敷から放った第1発目が向いの屋敷にあったエンジュに命中したそうです。つまり、大塩家の樹ではありません。


2代目植樹の際に建設省が建てた石碑

エンジュ(漢字では「槐」)は中国原産のマメ科の樹木。日本でもたまに街路樹に使われます。中国の周代では朝廷の庭に3本のエンジュを植え、その下に最高位の3人の官職が座ったことから「出世の木」とされ、中国では今でも庭に植える家が多いそうです。江戸時代の日本でも、同様に屋敷に植えられたのでしょう。


マメ科なので葉は羽状複葉

それにしても、砲弾が命中したというだけで樹木が保存される、しかも2代目、3代目と受け継がれるというのは、大塩平八郎を英雄としてレスペクトしている大阪ならではでしょうね。
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2 コメント

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Unknown (guitarbird)
2010-08-19 07:46:04
おはようございます
樹種がエンジュであるというのが、中国との古い付き合いを感じました。
江戸時代以前に中国から日本に持ち込まれた樹木は、
「外来種」だけど例えばニセアカシアなどとは少し違うものとして
受け止めている自分に気づきました。
エンジュはしかし私はまだそれと意識して観たことがありません。
それにしても、弾丸が当たった木というのは生々しいですね。
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そう言われれば (fagus06)
2010-08-19 09:18:16
私もこのエンジュとかサルスベリなどの外来種とニセアカシアなどの外来種に対する感じ方が違います。
移入された時期が古いからかな? ニセアカシアが生態系をかく乱しているからかな?
エンジュは京都市にも1ヶ所、街路樹として植えられている通りがありますが、そのほかでは見ないですね。枝垂れエンジュは二条城などの公園にあります。
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