樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

バードウオッチングのマナー@米国

2018年04月12日 | 野鳥
前回に続いて、今度はアメリカでの野鳥観察マナーについてご紹介します。アメリカにはAmerican Birding Associationという団体があります。
この国ではBirdwatchingとは言わずにBirdingと言うようです。したがって、私のような人間はBirdwatcherではなくBirder。
そのABAのウェブサイトにCode of Birding Ethics(バードウオッチングの倫理規定)が掲げてあります。1項目目には「鳥とその環境の幸福を促進する」と題して、4つの具体的な規定があります。その(b)は以下。


American Birding Associationのウェブサイト

「鳥にストレスを与えたり、鳥を危険にさらすのを避けるため、観察や撮影、録音、録画する際は注意する。録音された声を流したり、鳥を引きつけるその他の方法を慎む。特に、絶滅危惧種や特別に配慮が必要な種類がいる場所では絶対に避ける。巣やコロニー、ディスプレイエリア、重要な採餌場所から離れる。このような場所で長時間の観察、撮影、録音、録画が必要な場合は、ブラインドなどを利用する。撮影に人工的な光を使用する場合は控えめにする」。
また、「マナー違反のバーダーを見つけたら、状況に応じて注意し、それを止めるよう試みる。それでも続くようなら、それを記録してしかるべき組織に通報する」とまで書いてあります。
私の経験からいうと、これはなかなか難しい。探鳥会の参加者に対しては注意できますが、現場で見知らぬバーダーに注意するのは相当な覚悟がないとできません。餌付け撮影などを見ると、注意する言葉が喉まで出てきますが、口に出したことはありません。でも、ABAはそれを求めているわけですね。
アメリカらしいのは、自宅に鳥を呼び寄せる場合の注意事項を挙げているところ。「フィーダー、巣箱など人工的な鳥の用具が安全であることを確認する」という項目には、「水や餌を清潔に保ち、腐敗や病気がないようにする。悪天候の間は継続的に給餌する」とか、「鳥が猫などの捕食者にさらされていないことや、人工的な障害物による危険がないか確認する」とあります。
総じて、日本よりも英米の方が厳しく、かつ具体的で詳細なマナーを設定しています。

ABAのウェブサイトはこちら
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6 コメント

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Unknown (kazuyoo60)
2018-04-12 09:47:06
鳥がいつもと変わらずに生活できるようにとの配慮ですね。
ブログ友達宅では、冬場に雪が降って、餌が採りにくい間はお庭に給餌台を設けられています。ヒマワリの種、米や糠などです。主に北国の方です。
雪がほぼ降らないところはミカンやリンゴが多いです。
鳥たちが喜んでいると思います。
ルーペと鳥の冊子、ありがとうございます。
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kazuyo様 (fagus06)
2018-04-13 08:00:57
野鳥の会でも、庭で餌をやるのは自然界で餌が取りにくくなる冬場にしましょうと呼び掛けています。ブログ友達の方もそのへんはご理解いただいているようですね。
わが家も以前は餌台や水場を設けていましたが、最近はさぼっています。巣箱だけは取り付けたまま。昨年はシジュウカラが繁殖しました。
ルーペと鳥のミニブック、お役に立てばいいのですが…。
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日本とは全然違いますね・・ (ヤスコ)
2018-04-24 18:10:12
こんばんは。ネットで検索していてこちらのブログにたどり着きました。通りすがりのものです。
最近、野鳥を見つけてはスナップ写真を撮って楽しんでいるのですが、都市部の公園では餌付け撮影が蔓延しているのを知りました。
今まで話を聞くだけでしたが、先日自分がその場面に遭遇し、唖然としてしまいました。
(撮影のために舞台とか、餌付けとか)
それ以来、その公園に行く気が失せてしまい
(大阪市内の有名な場所です)
自宅近所の公園で主に野鳥を見て撮って楽しんでいます。
餌付けだけじゃなく、鳥の囀りを録音したものを
流しておびき寄せるとか・・不自然でしかありません。(これも現地でやってる方を見ました)
アメリカと日本ではあまりにも違いますね。記事を読んでしみじみ思いました。
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ヤスコ様 (fagus06)
2018-04-25 08:13:47
コメントありがとうございます。
唖然とされたのは、大阪城公園ではないでしょうか。
私も以前は野鳥観察と動画撮影のために何度か通いましたが、フォトグラファーのあまりのマナーの悪さに気分が悪くなり、現在は珍しい鳥が出現しても行きません。
ここのマナーの悪さは東京でも有名らしいです。
人工的な手段で鳥をおびき寄せて撮影するのは、動物園へ行って檻の中の珍しい鳥を撮影するのと同じだと私には思えます。そんな画像に何の意味があるのでしょう。
野鳥の会の内部でも、近頃はフォトグラファーのマナー違反が大きな課題になっていますが、本人の意識の問題なので簡単には解決しません。
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こんばんは。 (ヤスコ)
2018-04-27 18:15:12
コメントの確認が遅れました。
おっしゃる通り、大阪城公園です。
以前から梅や桜の時期には遊びに行っていましたが
野鳥がたくさん来くると知ったので、野鳥観察と撮影で出かけたのがこの春です。公園にはいろんな方が遊びにこられます。
地面にいる野鳥を撮っていると、人が通りかかり鳥が逃げてしまうこともしばしば。みんなのための公園ですので、仕方のないことです。それなのに、木に上がってしまった鳥を地面に降りてこさそうと、小鳥のエサ撒きまでしておびき寄せたり・・。気分が悪くなって帰ってきました。
おかげ様で、地元の公園には渡りの時期になると
いろんな野鳥がやってきますし、あれ以来地元中心に野鳥観察と撮影を楽しむことにしました。それにしても大阪城公園でのあのようなことが普通だと思われるのは恥ずかしいことだと思います。
(野鳥関係のブログをいくつかブックマークして読ませていただいてましたが、同じアングルから撮られた写真を別の方のブログで拝見して、「そーいうことか」と納得したことが何回もあります。がっかりしました。)申し訳ありません、愚痴につき合わせてしまいました。また遊びにきます。イヌワシのお話、興味深かったです。
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ヤスコ様 (fagus06)
2018-04-28 08:11:22
再びのコメントありがとうございます。
バードウオッチャーとバードフォトグラファーは別の人種だと思います。後者は野鳥に興味があるわけではなくて、写真やカメラに興味があって、被写体として鳥を選んだだけの人たちです。
なので、鳥を探す楽しみを知りません。現場に行って仲間が群がっているところにカメラを構えて撮る。
野鳥を保護するとか、野生を撹乱してはいけないといった認識がないので、ただ鳥の写真がアップで撮れればいいという姿勢です。
そういう場所には近づかないことですね。私も二度と行きません。
もちろん、バードウオッチャーであり写真や動画を撮る人もいます。私もその一人だと思っています。
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