樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

UMEとMUME

2007年02月19日 | 木と言葉
梅が見頃を迎えています。散歩コースにある「源氏物語ミュージアム」でも紅白の梅が咲き誇っていました。
今の日本人が最も好きな木は桜ですが、源氏物語が書かれた頃は梅だったようです。その根拠として、『万葉集』で桜を詠んだ歌が47首に対して梅は119首もあるという話がよく出されます。
当ブログ専属の樹木評論家であり、紫式部のライバルである清少納言も「木の花は」の段で最初に梅を挙げ、その後に桜、藤などを続けています。
梅は『古事記』や『日本書記』には登場しないので、奈良時代に中国から渡来したのだろうと推測されています。現在でも、梅は中国の国花。日本の国花は桜です。
現代人が西欧文明に染まっているように、当時は中国のものが舶来文明としてカッコイイ時代だったので、梅が人気ナンバーワンになったのでしょう。

      
          (源氏物語ミュージアムの紅梅)

与謝蕪村の俳句に「梅咲きぬ どれがむめやら うめじゃやら」というのがあります。当時、国学派の学者が梅は「むめ」、馬は「むま」と表記するべきだと主張し、一方の学者は「うめ」や「うま」でいいと主張する論争があり、蕪村はそれを揶揄してこの句を詠んだそうです。関西弁で現代風に言えば、「どっちゃでもええやん、梅はきれいに咲いてるんやしー」。
言葉の表記について、昔からこういう論争があったんですね。言葉を生業にしている私としては、大変おもしろい話です。
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