樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

裏の顔と表の顔

2017年12月07日 | 樹木
10月の台風で栃の森へのルートが通行不能となり、11月の野鳥生息調査は中止。週末、いつものルート(裏側)とは逆に表側からアクセスして12月の調査に出向きました。ところが、管理事務所の手違いから車で入林できず、しかたなくいつものコースをあきらめて、徒歩圏内で林道を調査することにしました。
いつもの裏コースから約2km南に位置するだけですが、樹木の顔ぶれが微妙に違います。例えば、チドリノキ。カエデ科なのに裂片がない珍しい木ですが、裏コースでは見たことがありません。


チドリノキ

林道の曲がり角でも見かけない木に遭遇しました。実の付き方はソヨゴですが、葉が小さい。現地では同定できず、帰宅後に調べたらクロソヨゴでした。


クロソヨゴ

斜面では緑色の妙な形の実をつけた低木を発見。葉が細長いのでカラスシキミかな?と思いましたが、帰宅後に調べたらアオキでした。「アオキ=赤い実」という思い込みが同定を妨げました。これも裏コースでは見ない顔です。


アオキ

表コースにはケヤキの大木があって、その脇の林道は「ケヤキ坂」と呼ばれています。この木も裏コースにはありません。街路樹ではおなじみで、京都でも御池通りや白川通りに植えられていますが、関西で自生のケヤキを見た人は少ないはずです。


ケヤキの巨木

特に京都府では少ないようで、府のレッドデータブックには「ケヤキ自体は広く見られる植物であるが、ケヤキが優占する群落は京都府でも非常に珍しいものである」とあります。
今回、2つのトラブルが重なって図らずも栃の森の表コースでツリーウオッチングを楽しみました。同じエリアの森なのに、わずか2km離れただけで樹木の顔ぶれが変わることは新しい発見でした。日当たりや風などの気象条件、土壌、さらには種子散布する野鳥の分布などが要因なのでしょう。この森に20年以上通い続けていますが、いつまで経っても私のWonder Landです。
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (guitarbird)
2017-12-14 07:18:13
おはようございます
ケヤキの自生が少ないというのは意外ですね、なるほど。
ちなみに北海道はナナカマドの街路樹や公園樹が非常に多いですが、野生というか自生しているものは意外と少ないと感じます。
まあレッドデータとかそういうレベルではもちろんないですが、街中でよく見る割に山では少ないといったところです。
今回も新たな発見があってよかったですね、ほんとうに素晴らしい森なのですね。
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そうですね (fagus06)
2017-12-14 07:58:58
街路樹でよく見る木と自生で見る木はギャップがありますね。
そちらのナナカマドもそうなんですね。意外でした。紅葉のニュースなどで大雪山が映るとき、ナナカマドを見た記憶があるので、自生も多いのだと思っていました。
「北海道=ナナカマド」は街路樹での話なんですね。「北海道=ポプラ」というイメージもありますが、植え付けられたイメージなんですね。
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