樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

植物園で古典文学

2008年07月09日 | 木と作家
宇治市は「源氏物語の町」として観光PRしています。『源氏物語』の最後に、宇治を舞台にした「宇治10帖」があるからです。
その『源氏物語』が世に出て今年が千年目に当たることから、京都市や大津市とともに「源氏物語千年紀」キャンペーンを展開しています。商店街も「千年紀」、ペットボトルのお茶も「千年紀」、何でもかんでも「千年紀」です(笑)。

(左は「宇治源氏タウン銘店会」の旗、右は京都府茶業組合のペットボトル)

宇治市には植物園がありますが、その中にも『源氏物語』が登場します。これは千年紀だからではなく、開園当時からの企画。例えば、サカキが植えてある場所には、サカキにまつわる『源氏物語』の一節が金属製の案内板に記してあります。

       
        (革質で縁にギザギザがないのがサカキの葉の特徴)
       
             (『源氏物語』に関するサカキの案内板)

光源氏が昔愛した女性を訪れて、御簾(みす)の下からサカキの枝を差し入れ、常緑の葉に託して不変の愛情を表現したシーンが説明されています。
サカキは木へんに神と書くように神事に使われますが、マツやユズリハなど宗教行事に使われるのはほとんどが常緑樹。光源氏のように不変の心を象徴するためにも使ったようです。

       
         (今年3月28日に撮影した宇治植物公園の枝垂れ桜)
       
              (『源氏物語』に登場するサクラの一節)

また、桜のコーナーには、匂宮(におうのみや)が「まろが桜は咲きにけり いかで久しく散らさじ」と語った一節が解説されています。このほか、カシワ、マユミなどあちこちに『源氏物語』にちなんだ説明が添えられています。
ちょっとハイブロウでしょ? 日本で最も教養レベルの高い植物園かも…。
コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« シャトル | トップ | 樹木のリスクマネジメント »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
死語 (bulbul)
2008-07-09 10:37:12
 いつのまにか全く使ってないなと気づく言葉って案外ありますね、この「教養」ってことばはどうでしょう、少なくとも私は長い間口にしてません。昔教育テレビで「教養の時間」なんて番組がありましね、父は夕食の時これを見てました。懐かしいなぁ、
返信する
ちょっと違うけど (guitarbird)
2008-07-09 20:26:58
数年前にブックオフで「万葉集の植物」という本を見つけて買いました。
私は古典には疎いのですが、とても楽しく読めました。
この植物園は確かにハイレベルかもしれません。
返信する
bulbulさんへ (fagus06)
2008-07-10 07:35:18
「教養の時間」ってスゴイタイトルの番組ですが、そういえばありましたね。
私は文学専攻でしたし宇治市民ですが、『源氏物語』は通読したことありません。読み始めれば面白いのでしょうが、この年になると恋愛物には興味がなくて(笑)。
返信する
guitarbirdさんへ (fagus06)
2008-07-10 07:38:52
私も古典は苦手です。でも、「万葉集の植物」とか昔の樹木の名前とかは興味あります。
樹木のことをよく書いている「枕草子」もその部分だけ図書館で読んでました。
ちょっと偏っているかな~?
返信する

コメントを投稿

木と作家」カテゴリの最新記事