樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

3つの菩提樹

2013年12月05日 | 木と宗教
インドを訪問した天皇陛下が、53年前の訪印時に大使館に植えたボダイジュと再会したというニュースが流れました。
「どのボダイジュだろう?」と気になって、画面に一瞬映った葉を識別したところ、シナボダイジュのようでした。インドだからインドボダイジュのはずですが、葉の形がそうではなかったのです。
シナボダイジュは名前の通り中国原産のボダイジュで、日本のお寺にもよく植えられています。釈迦が菩提樹の下で悟りを開いたとされているからです。


近くのお寺にあるシナボダイジュ


シナボダイジュの葉と実

しかし、釈迦が悟りを開いた樹は当然ながらインドボダイジュ。仏教が中国を経由して日本に伝わる過程で、熱帯でしか育たないインドボダイジュ(クワ科)の代用としてシナボダイジュ(シナノキ科)にすり替わったようです。
ややこしいことに、日本で「ボダイジュ」と言うと、もう一つの樹が思い浮かべられます。シューベルトの歌曲『菩提樹』。
こちらはセイヨウボダイジュ(シナノキ科)。ドイツでは最もポピュラーな街路樹で、現地名は「リンデンバウム」。


セイヨウボダイジュ(リンデンバウム)


その葉

天皇陛下が植えられた菩提樹がインドボダイジュなのかシナボダイジュなのか、テレビに映った葉だけでは識別が心もとないので、ネットで調べたところ、ある人のブログに日本大使館でのパーティの模様が掲載されていて、「庭のインド菩提樹…」と書いてありました。


仏教系大学・龍谷大学で見つけたインドボダイジュ

テレビに映った葉は、上の写真のように先端が尾のようになっていなかったので、シナボダイジュと思いましたが、このブロガーの樹木の知識が確かであれば、インドボダイジュということになります。
それに、植樹後53年であんなに大きくなることはシナボダイジュでは考えにくいので、やはりインドボダイジュのようです。

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2 コメント

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インドボダイジュ (宇治のヒカルゲンジ)
2013-12-05 21:04:05
龍谷大学のインドボダイジュはどの辺にあるのでしょうか?以前屋外では珍しいインドボダイジュが龍谷大学横の興正寺会館レストラン前の庭で育っていると聞き見に行ったのですが、無残にも切られてしまってました。(仏教寺院のすることかと疑いました。)何とか落ち葉を見つけてひろってきました。形からインドボダイジュに間違いないようでした。
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ヒカルゲンジ様 (fagus06)
2013-12-06 07:20:18
私がこのインドボダイジュを撮影したのは5年ほど前なので、現在は様子が変わっているかも知れませんが、先ほど「興正寺会館レストラン」で地図検索したところ、多分そのあたりだと思います。
龍谷大学大宮キャンパスでセミナーを聴いた後、七条通りを歩いていて見つけました。
おそらく、日本の気候では育たないので、樹が傷んで、見苦しくなったので切ったのではないでしょうか。
ヒカルゲンジさんが見られたのは最近のことですか?
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