京都には神社や寺院がたくさんありますが、その建物の屋根の多くはヒノキの樹皮を使った檜皮葺(ひわだぶき)です。現在、日本全国に檜皮葺の建築物が約730棟あり、そのうちの2割、150棟が京都市内にあるそうです。
京都御所の建春門の桧皮葺。分厚くて立派
しかし、檜皮を採取する原皮師(もとかわし)や檜皮葺師が減少し、伝統的な建築物の保存や補修が難しくなったため、京都市はその後継者を育てるための拠点をつくりました。長ったらしい名前ですが、「京都市文化財建造物保存技術研修センター」。清水寺のすぐ近くにあります。
2階には檜皮葺のサンプルや資料が展示され、一般の人も見学できます。私が訪れた時は、1階の部屋で職人さん風の若い衆が実習していました。
普通は見上げるだけの檜皮葺が手で触れられます
神社や寺院の本体はヒノキで造られていますから、日本の伝統的建築物は上から下までヒノキということになります。ヒノキの皮を屋根に使うことを誰が最初に思いついたのか知りませんが、その発想の柔軟さに敬意を覚えます。
1束30kgの檜皮
もともと伝統的な建築物は瓦葺が主流で、付属的な建物だけが檜皮葺だったそうですが、上の御所の門のように軒先を分厚く見せる技法が考案され、屋根が曲線を描くようになってから主要な建物にも採用されるようになったとのことです。
記録では、比叡山にあった崇福寺(廃寺)の金堂や三重塔などが檜皮葺だったことが確認されていて、その建築年は633年。奈良時代以前から檜皮葺が使われていたわけです。
1400年も続いてきた伝統技法を21世紀で途絶えさせないために、このセンターで若い後継者が育って欲しいですね。
技術の継続と同時に、材料の檜皮を安定的に確保するために、林野庁が「世界文化遺産貢献の森」を国有林の中に設定しているそうです。
ヒノキは樹皮を捨てるのももったいないと昔の職人さんが
感じたのかなと思いました。
後継者を育てる拠点が作られたのはひとまずよかった、心強いですね。
対象の建物が神社なのでこの先、拡大はしないかもしれないですが、
需要はそれなりにあり続けるでしょうね。
北海道神宮には檜皮葺の建物があるのかどうか今度見てきたいです。