建築物について「日本は木の文化、ヨーロッパは石の文化」と対置されます。また、世界最古の木造建築(法隆寺)があるために、「日本の木造建築はヨーロッパより優秀」と思いがちです。
しかし、ヨーロッパの木造建築もあなどれません。たとえば、ルーマニアの木造教会。
ルーマニアのマラムレシュにある木造教会 photo : Oswald Engelhard
これ、全部、木ですよ。法隆寺の屋根は瓦ですから土ですが、こちらは屋根も壁も内装も木。材料はモミだそうです。形もモミを表現しているとか。
しかも、この村では墓も木製で、やはりモミ。日本の墓は石ですから、「木の文化」度では負けています。村の周辺にはこんな教会が8棟も建っているそうで、高いものは54mといいますから、日本一高い木造建築の東寺とほぼ同じです。
次は、ロシアのキジ島にある木造教会。3棟とも木造ですが、特に左の聖堂はロシア正教ならでは玉ネギ型のドーム屋根が特徴です。
左から顕栄聖堂、鐘楼、生神女庇護聖堂の3棟の木造教会 photo : A. Jungierek
300年ほど前に再建されたので法隆寺ほど古くないですが、驚くべきことに釘は1本も使われていないそうです。
いかがですか、法隆寺や東大寺に勝るとも劣らないでしょう? いずれも世界遺産に登録されています。
恐るべし、石の国の木造建築。
なお、画像はクリエイティブコモンズのライセンスのもとに利用許諾されたものを掲載しました。
ほんとに素晴らしいですね。
当然のことながらデザインのセンスも日本的ではないものなのでよけいに印象度が高いです。
ロシアのほうの写真を見てニコライ堂を思い出し神田で働いていたことを懐かしく思いました(笑)。
日本もまた大きな木造建築物が作れればいいのでしょうけど地震の問題なので難しいのでしょうね。
ヨーロッパにもこのように木を大切にして、木の文化を築いてきた国があると言うことはうれしいことですね。
日本の木造建築との違いは、日本の建造物は木の特性を最大限生かした、極めてシンプルな構造になっているのに対し、こちらは木ではできていますが、やはり石の文化の彫刻的な要素を土台にしているような気がします。でもそれだけにこの複雑な形をどう作り出しているのかは興味あるところですね。
ロシアの木造教会は、地盤がゆるんで建物が傾き始めたので、現在は土台を補強しているようです。
どっちが優れている、という比較はできないでしょうが、「ヨーロッパ=石の文化」とひとくくりにしてはいけないですね。特に東欧や北欧は木の文化もありますから。