樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

ビジネス街の春

2007年03月14日 | 木と歌
大阪の仕事先の近く、信濃橋交差点の四方になぜかコブシが植えてあります。都会の交差点の植樹はクスノキが多く、コブシは珍しいです。一角に「昭和59年 大阪厚生信用金庫贈呈 こぶし6本」と書いた小さな石碑があるので、何かの記念植樹でしょう。
日当たりのいい北東角は5分咲き、北西角は3分咲きでしたが、南側の2つの角はビルで日陰になるためかまだ蕾でした。

      
      (高層ビルを背景にして咲く白いコブシ)

コブシと言えば、千昌夫の『北国の春』で「♪こぶし咲く あの丘 北国の~」と歌われていたので、何となく北方の樹だと思っていましたが、図鑑で確認すると日本全国に分布しています。ちなみに、この歌にはコブシ以外にシラカバ、カラマツ、ヤマブキが登場します。
また、東北地方ではコブシを「田打ち桜」と呼び、この花が咲いたら田んぼを耕すそうです。
コブシについて、こんな話も伝わっています。平家の落ち武者が山奥に隠れ住んでいたが、早春のある朝目を覚ますと周囲にはたくさんの源氏の白旗が見えたので、「もはやこれまで」と自害した。しかし、それはコブシの花だった。
コブシはある日突然開花するのでこういう話が生まれたのでしょうが、いくら何でも白旗と見間違えて自害するとは…。上方漫才風に突っ込めば、「そんな奴はおらんやろ~」。

      

コブシはモクレンの仲間。よく似た花を咲かせるタムシバ(いい匂いがするので別名「ニオイコブシ」)という樹もあって、図鑑には「花の下に1枚葉がついているのがコブシ、ついていないのがタムシバ」と書いてあります。でも、このビジネス街のコブシも家の近くの街路樹のコブシも葉は1枚もありません。野生種と栽培種では葉の出る時期が違うのかな?
コメント (8)
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