2015/04/08 記
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「わーくNo.53」のα版が出来上がった。10日には配布できそうだ。年度始めの大風呂敷論が多いのは、ど顰蹙。
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(1面)
**届かぬ思いを「仮設転居期の災害弱者生活支援」に取り結ぶ**
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●いくつもの歯がゆいことがある。被災者と一括して語られている人々の足元の問題、家族生活などの避難生活の課題であり、家族の健康と家計の問題が、危険な局面にありながら、被災地に長期滞在でもせぬ限り、支援の接点をとれそうにないこと、これが一点目。二点目は、被災者の困難が均等にあるのではなく、災害弱者といわれる障がい者・傷病者・老いの衰弱を抱える高齢者・単身者等に偏在しており、被災4年目、復興住宅への移転と仮設再編という局面で、問題が顕在化していく傾向にありながら、危険の社会的認知が得られないことだ。第三は、3.11の教訓を支援者の地元の防災に活かすという切り替えしをしたとき、社会的な関心が一気に失われていく構造的な問題だ。
●東北の災害以前からの問題に、過疎高齢化と無医化、産業流出の地域疲弊があった。この課題が、3.11震災津波災害によって顕在化しているという。それは被災者の就職難や、家族喪失等によるPTSDなど、孤立挫折感が再起の足かせとなって就労意欲の枯渇や、高齢による求人先がない状況の中で、仮設の入居期限や見知らぬ復興住宅への転居強制、仮設残留による孤立化など、住環境の激変に追い立てられている状況がある。折角慣れ始めた仮設コミュニティの生活が再び解体され、高層住宅のような新規コミュニティが作りにくい復興住宅へと追い立てられている点は、20年前の阪神淡路大震災の高齢等、社会的弱者化した被災者が、現在になっていまだに苦しめられている長期化する問題が始まっている。生活難という社会的協力の得にくい課題が、支援活動に登場しているのであり、支援者の知恵のだしどころとなっている。
●ひとつは「生活難と孤立化」という課題、更には「仮設残留」「復興住宅への転入と孤立」「みなし仮設と障がい者や寝たきり高齢者の福祉医療の公共サービス復活」等の課題を、状況公開しながら、いかに支援全国ネットに乗せていくか、非被災地からの支援の形作りの企画化が課題となっている。ここで鍵となっているのは、路上生活者支援で使われた手法、住環境提供とフードバンクという活動の検討を、見守り訪問と地域健康ネットに加えて支援の形を作って行くことだ。(続)
<資料> -------------------------
■ 仮設からの転居「伴走者に」
2015年4月2日12時05分 朝日
http://www.asahi.com/articles/CMTW1504020400001.html
■ <孤独死>災害公営住宅の「見守り」急務
2015年03月27日 金曜日 河北新報
http://sp.kahoku.co.jp/tohokunews/201503/20150327_13012.html
(2面)
<連載>個人医療情報 QRカードの検討(13)
--QRカードを実現する2系統(病院と当事者団体)--
「SOSカードと被災対策QRコード単独QRカード」
★治療中の傷病者や、自己表現が難しい困難を抱えている障がい者向けに、被災や事故の際、周囲の方の協力を呼びかけるために、「SOSカード」を外出時携帯していく活動が、東日本大震災以降広がってきています。傷病者・妊婦の場合は自家製が多いと思いますが、関係障がい者団体からモデルが出されてこれが利用されています。聾・視覚・知的・発達・精神などの障がい分野と、高齢などの衰弱から認知症の場合まで、かなり大き目の説明図式が折りたたまれて利用されています。
★後期高齢者保険証の場合もそうなのですが、災害や事故対応のために常時携帯したいものは、健康保険証・運転免許証・金融機関ATMカード等、結構な量になってしまいます。「汎用個人医療情報QRカード」は、「身元」「医療情報」「備忘録」で構成されており、命を守る情報としては「身元」・「医療情報」は独立シールで、おくすり手帳の電子版とでもいうべきカードを構成します。
★ところが「備忘録」というのは、家族のために記録しておくべきデータです。金融機関契約番号や住基ナンバー、金庫の番号、遺言の保管場所、親戚や職場・大切な方の住所&電話番号などを含みます。これらは、「医療情報」が日常的には医療機関や薬局の間を行き来させるため、共通のカードに載せるには、プライバシー情報の管理に問題を起こしかねない情報です。常時携帯するカード類をこれ以上増やしたくないために、「医療情報」よりは大き目のQRコード粘着シートを作り、SOSカードに貼り込みます。SOSカードを比較的必要としない身体障がいや健常者・外国人の方の場合は、「医療情報」と同一のカードの裏面を利用します。
★常備携帯データは、セット管理します。(下図)QRコードの主眼は急性期・亜急性期の被災者の
傷病管理と治療の的確さの確保・迅速化にあります。しかしこのカードは避難所の生存証明や物資配給管理など汎用性があります、ゆえに「身元」「医療情報」「備忘録」の管理は工夫が必要ですし、QRカードを実現流通していく手順を考える上で、机上検討が必要なのです。(つづく)
(3面)
<金曜災害ミニ・カフェ レポート>
**金曜ミニカフェ/3.11被災者支援と湘南の防災 上映懇談の会/ミニ・カフェ レポート
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「第24回 3/20 19時~20時サポセン」
*明日へ「大切なあなたへ こころで話す"風の電話"」
●3.11の震災津波によって、強引に引き離された家族の思いは色あせることがない。私が大船渡をたずねた被災3ヶ月目、訪ねたご遺族に、翻訳者のような市議さんや新聞記者さんに仲介をお願いし、聞き取りを行った。生々しい記憶の中で、印象に残っているのは、「そこにいるんだよ」
という語りだった。いやおうなしに「生」の側に残された痛みが伝わってきた。それから4年、亡くなった家族に背を押されるように生きてきた人々は、別れた場所や、位牌を相手に語りかけていたが、そこには別れた家族はいない。しかし、電話のかなたには、黙っているが相手が聴いているのだという。
●岩手県大槌町に作られた「風の電話」は、口伝えにその電話ボックス利用者を増やしていった。
大風で倒れ継続が危ぶまれたが支援者のサポートで復活した。残されたものが生きて行くには、
その生を確認して行くことが必要なのかもしれない。ここは生の儀式の場だ。
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「第25回 3/27 19時~20時半サポセン」
*未来への教科書#86「総集編『新しい文明』」
●八王子の北原国際病院の院長・北原茂実氏は東松島市に健康管理機能のある診療所を立ち上げて、被災地の医療に関わっている。大局的な医療の見直しと、過疎地の機能の話など、医療と健康を考える話がすっぱりと語られる。しかし被災現場を踏んでいる方の発言ではないなと思うのだ。合理主義者だなあという印象。
●あげ足を取るわけではないが、被災地に必要なのは「救命救急」であって、治療のための医療ではないという。東北三陸海岸部は人口的にも医師を常駐させるのはペイしない、(東松島は)仙台まで車で30分なのだから通えばいい。長生き社会はウクライナのように、医療を必要としない社会だ。だから健康を維持して行くヘルスケアの関わりが必要と説く。車で30分、路線バスの本数の少ない沿岸部では往復のタクシー代だけで往復1万円は越えてしまう。過疎高齢化と無医化という問題との接点すら見いだせない。一方では訪問医療・看護のシステム作りとなるが、対症療法の域を超えられない。被災という顕在化する事態のなかで、地域だけで解決して行く無理が見えてきたような話だった。講演を聴いた東工大の諸君はどう感じたのだろう。
(4面)
**金曜ミニカフェ/3.11被災者支援と湘南の防災 上映懇談の会/今後の予定
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「第26回 4/10 19時~21時サポセン」
*NHKスペシャル「震災4年 被災者1万人の声」
*ハートネットTV「被災地の福祉はいま(1)仮設から復興住宅へ・石巻」
●「NHKスペシャル・震災4年 被災者1万人の声」は東日本大震災後4年目の被災者の実情を統計手法でつかみ出して行く。石巻のデータで企業復興74%を超えつつあるが、生活状態は一向に改善しない。地元中小企業経営も借金まみれになっている。その全体像をアンケートから浮かび上がらせる。「ハートネットTV・被災地の福祉はいま(1)仮設から復興住宅へ・石巻」は、災害によって破壊された地域コミュニティを避難生活中、仮設コミュニティが代替してきた。その仮設生活が復興住宅移転で壊されて、次の復興住宅が高層形式などが原因で、コミュニティが形成できない困難が予測されている。非被災地の私達にできることは無いのか。
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「第27回 4/24 19時~20時半 サポセン」
*ハートネットTV「被災地の福祉はいま(2)障害者たちの挑戦・岩手県陸前高田」
*ハートネットTV「被災地の福祉はいま(3)疲弊する自治体職員」
●震災4年目、被災障がい者が、むしろ社会再編の好機と考え、社会参加を試みて行く。JDFの小山貴さんたちの試み。一方自治体職員を追い詰める復興の重圧の状況を伝えて行く。
(以上)
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夜間傾聴:**君
(校正1回目済み)