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比嘉辰博著「沖縄の新聞再生」:新星出版

2010年01月19日 | 「Weekly 読書感想」
 出版元の松島社長から昨日届いたばかりの1月9日発刊早々の本書、帰宅電車内1時間弱でアッという間に読了。読み易い活字配置とは言え140ページの内容は衝撃的でした。
 かねてから全国的に見ても希有な「琉球新報」「沖縄タイムス」2紙並存の県内新聞は経済的に無理で、いずれ統合されるのでは思っていましたが、12年前に両紙間に協業化の動きがあったことを本書で初めて知り驚きました。
 「第一幕・極秘会議」という冒頭タイトルで伝える内容は当時の役員実名の取締役会模様に両紙社長・専務による交渉日時、場所等生々しい詳細リアルなレポート。関係者間では周知の事実でしょうが、暴露とは云わずとも前新報社長自らによる赤裸々なレポート、部外者ながら、関係者の了解等は大丈夫だろうかと気になりました。
 一方、読む人に深い哀切を伴う慕母記とも言える自らの沖縄戦・ガマ救生”べビィーStory”は淡々と抑制的な筆致。社長退任挨拶後、周りの驚き戸惑いを背に、それまでの送迎社用車使用を断り、徒歩、タクシーで社を後にした個性的なこの著者、拙書「おきなわ就活塾」出版パーティでもご挨拶頂いた同年同窓の知友。他者の評価、評判等に委細こだわらず、目前の課題に果然、磊落に取り組むこの人であればこそ。開き直りとも受け取れる本書レポート、読者が知りたい協業化不成立の詳細事由記述は無いものの、県内新聞界の将来への強い危機意識と警告とも受け取れます。
 尤も、良い悪いは別にして、沖縄は新聞に限らず、RBC・OTBのテレビ界、琉銀・沖銀の金融界でも2強併存、舞踊、空手界等流派乱立ともいえる多元社会。著者も指摘していますがこの県内同業・蝸牛角上の争は県外競争相手を利する危険性は無いのか。ここまで書くと、国内争いで世界マーケット進出に大きく遅れるどこぞの国の縮小版のような気もします。
 本書には上記以外に皇太子来島、火炎瓶投擲事件報道や海外渡航、退職後のオーストラリア留学記等の興味深い同世代の回想、体験記、一気に読ませてもらいました。
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