”朝吼夕嘆・晴走雨読”

「美ら島沖縄大使」「WeeklyBook&Reviews」「マラソン挑戦」

広津和郎「同時代の作家たち」

2003年02月26日 | 「Weekly 読書感想」
 著者は「松川事件」の弁護評論で有名だが、これまでその作品は一冊も読んでいなかった。本書は機会があったら以前から読みたいと思っていた。先頃、小島政二郎「眼中の人」の読了を期に読み始めた。小島の「眼中の人」が主に菊池寛や芥川龍之介を書いたのに対して、本書は二人以外に宇野浩二や志賀直哉、近松秋江、葛西善蔵ら10人以上の作家について書いている。文字通り「論じている」のではなく「淡々と描写」している。

 著者の淡々とした性格は別にして、作家はその作品の中であからさまに他の作家を愚弄するなど作家同士はなんと言う嫉妬心が強い人種達かと思う。中庸な性格の著者が友人だと思った作家から中傷される文章に接し、怒りで震えるなど、作家同士の角逐はつくづく大変だと思う。それに比べて私の周りの摩擦などは可愛いものだと思う。

 面白いのは小島は「眼中の人」の中で広津に触れているが、広津は本書で小島のことを全く触れていない。私にとって小島は慶応で日本文学を講じる教養人ながら強い創作欲を持ちつつ小説作品は目立たない。一方早稲田出で柳浪という作家を父に持つ和郎は重厚な評論家のイメージが強い。とにかく作家は他の作家を書きたがる。

 ただ、作家論を読んで作品を読んだ気だけにはなるまいと思う。
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阿部知二「文学入門」(河出書房)

2003年02月24日 | 「Weekly 読書感想」
 これは我「郷愁の書」である。

 巻末に「1954年、沖縄の某書店で求む」という書き込みがある。きっと「某」などと云う文字を使いたかったのだろう。1954年というと14歳、中学1年、ずいぶん背伸びしたものだ。本書には1951年の日付で「本多秋五」の解説がある。発巻3年目に購入したことになる。 当時住んでいた那覇市安謝市のお風呂屋の隣に当時としては珍しい開店した古書店にたまたま本書をズボンの後ポケットに突っ込みに寄った時、店主に「ちょっとその本見せてくれないか、君達がどんな本を読むのか興味があるので」と言われて慌てたのを覚えている。

 この本の見開きには万年筆で次のように書かれている。「おろかにも中学時代背伸びして当書を求め半分ほど読んだがもとより意味の分かるはずがなく、そのまま伏本になり今日に至っている。ずいぶん前から読もう読もうと思いつつ今日やっと手につける。1960年8月下旬ローマオリンピック盛んな頃。東京は中野の3畳で。予備校時代 辰弥」

 購入6年目、ほぼ全頁に「文学は人間を探求するものである」とか「芸術は生命の立証である」とか書込みや傍線が引かれており、結構よく読んだものです。
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カフカ「変身」(岩波書店)

2003年02月21日 | 「Weekly 読書感想」
 「ある朝目を覚ますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した。」という有名な書出しで始まるこの小説の隠喩が年を経る毎に自分なりに気になって来た。

 以前会社に勤務していたある朝、重い気持ちを抑えてなんとか起きたものの着替えて出勤しようとした所、激しくムカツキ何度か戻したことがある。後で気付いたことだが、前日会社の同僚に激しく責められた結果、体が出勤拒否反応していたのではないか。心中私は誰からも責められない虫になりたかったのではないか。いまなら出勤拒否症やストレス性心身症として診断されるのだろうか。

 主人公であるセールスマンが家族との亀裂と不調和に、果てしなく孤独に陥ってついに虫になるこの物語は会社と家族のために懸命に頑張ってやがて停年を迎え家に帰って来たお父さんが“粗大ゴミ” として疎外されるわれわれ悲哀の中年暗喩ようにも見えて来る。

 虫に変身した主人公が家人から投げ付けられたリンゴが背に食い込み腐敗して痛む描写を妙に生々しく覚えている。背中のリンゴは自分では取れず痛みも分かってもらえない。これは出勤・登校拒否に陥る人々が「怠惰・無能」と罵しられる現在をカフカは早くも予感しての暗喩ではないか。
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「第18回ナハマラソン・追悼記」

2003年02月19日 | 「マラソン挑戦」
 過去の完走歴に驕り、苦杯をなめた昨年暮れのナハマラソンをお伝えしたが実はこのレースに臨み、「500名の全世界WUBメンバーの栄光のために」とご覧のように「WUB東京」のゼッケンを着けて出場したのです。

 中間地点までに沿道jから「おお!ダブル・ユー・ビー東京、頑張れ!」などとの声援を受けて得意になっていましたが、急速失速「トボトボ」歩き出し完走が怪しくなりだした32キロ過の地点で「これはまずい。WUBの名前を辱め全メンバーに非難されそうだ」と思い始め、路傍によって自らゼッケンを外す羽目になりました。とんだ失態を演じゼッケンを作成して頂いたWUB同僚のメンバーさんに申し訳なかった。

 写真は周りに比べまだ余裕のある25キロ地点で。
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朴 慶南(パク・キョンナム)「命さえ忘れなきゃ」(岩波書店)

2003年02月15日 | 「Weekly 読書感想」
 一夕、新宿で「噂の真相」編集長の岡留さん等を交えた座談会で始めて紹介された。その後日比谷のプレスセンターホールで偶然お会いし、池袋の「みやらび」で会食する機会を得た。感受性豊かな素敵な方だった。

 在日2世韓国人の立場から一貫して平和の大切を説き、沖縄問題にも浅からぬ関心をもたれている。勿論沖縄にも行かれている。 本書はそうした朴さんの思いや講演等をまとめたものでご本人から直接頂いたもの。
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「森林20キロマラソン」

2003年02月11日 | 「マラソン挑戦」
私は平均して月に1度、年12回ぐらいレースに出る。 レースといってもフルマラソンは12月のナハと3月の荒川で後はほとんどハーフマラソンである。

中でも2月11日建国記念日に埼玉県滑川村の国立森林公園内中を走る20キロマラソンは 5月連休中にある恒例の埼玉県庄和町の「大凧ハーフマラソン」と並んで好きなコースだ。 「森林ハーフ」は大学時代の同期の伊藤君と何度か出た。 最も彼はほぼ毎日走っているだけに私より問題にならないほど速い。

当然今年もエントリーしていたが、3週間前から頚椎ヘルニア性左肩腕の痺れと痛みのため出場を断念した。
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朝吼夕嘆

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