反復帰と反国家―「お国は?」 (沖縄・問いを立てる)社会評論社このアイテムの詳細を見る |
前利潔(沖永良部職員)、藤澤健一(福岡県立大)、納富香織(沖国大)、我部聖(沖大)、徳田匡等若手沖縄研究者による全6巻シリーズの第5回本。執筆世代と言い、テーマと言い先の「早大琉球・沖縄研紀要2号」と好一対。
執筆5人による全200Pの3分の1近くを占める前利の論考は私にとって繰り返し読んでも尽きぬ興趣を沸かす内容。「奄美は薩摩を父に、琉球を母に」というフレーズを聞いたことがあるが、前利は明治以前の“琉球と薩摩”、戦後の“沖縄と本土”の狭間で翻弄された奄美を“無国籍地帯”として論考している。
戦後一足先に復帰した在沖奄美人の象徴として紹介されている元琉球政府副主席ポジションを追放された泉有平氏は加計呂麻・須子茂の私と同郷で遠縁、父は沖縄でこの人所有の鉄工所経営を委託された間柄。
読む人によっては“又かよ、重田!うんざり”と言われるかも知れないが、日本復帰後の在沖奄美人として納税義務を負いながら参政権、就職、進学権を制約差別された私自身の境遇・経験を制度的に考究している部分はさながら自分史を読む如く、息弾まず無くしてはページを捲れなかった。