文庫本にしては珍しく横書。最初の3分の1は甚だ読みにくいが辛抱して読み続ける内に後半離せなくなったほどに魅入られた。アメリカに渡った日本人一家の物語だが単なる帰国子女ストーリーではなく、どんどんアメリカナイズされる姉と日本への郷愁を絶てない妹である著者の内的世界、病身の父を置いて年下の男性と出て行った美しい母。西海岸と東部における在米日本人の意識の違い等が興味深い。読後、家族や生きることについて深く考えさせられる。
書中要所にある黒白光鮮やかな写真と溢れる著者の詩藻と言葉が素晴らしい。ほとんどすべてのページにある英語のフレーズがまた楽しい。書中著者が美しいユダヤ出の教師から云われた”Home is not a place to return to.”という言葉が印象に残る。ユダヤ民族の歴史を抜きに、これを「故郷は遠くにありて思うもの」と訳さないのがいい。
著者の本は初めてだが、あの漱石の「続明暗」を書いた人と知って“あっ”と思い出した。本書を「面白いから」と譲ってくれた同期の奥さん!いい本をありがとう。
書中要所にある黒白光鮮やかな写真と溢れる著者の詩藻と言葉が素晴らしい。ほとんどすべてのページにある英語のフレーズがまた楽しい。書中著者が美しいユダヤ出の教師から云われた”Home is not a place to return to.”という言葉が印象に残る。ユダヤ民族の歴史を抜きに、これを「故郷は遠くにありて思うもの」と訳さないのがいい。
著者の本は初めてだが、あの漱石の「続明暗」を書いた人と知って“あっ”と思い出した。本書を「面白いから」と譲ってくれた同期の奥さん!いい本をありがとう。