曲りなりにも西洋史学徒、今どき本書を手にすると大学同期の苦笑顔が浮かぶがままよ。同時代カレントな本ばかり3~4冊も読むと、つい本書のような古典に手が伸びる。大学入学まもなく先輩から必読と言われるまま読んだランケ「世界史概観」。もともと滑り止め、入学後も大塚史学等経済史ばかり読んで、卒論も産業革命史だったから、この中世史学泰斗への理解と情熱は薄かった。
歴史を演繹的理念の具現と見なすヘーゲル史学に対し、史料批判から帰納的にアプローチする近代史学手法の祖と言われるランケの修学、学友、学恩伝。今風にアーカイブとは云わないが諸侯の外交文庫や公文書に接する喜びの記述にランケの方法論を見るというのは浅学か。
先頃読んで、いまいち分からなかった名著・カエサル「ガリア戦記」について、ランケは本書で“正確に知っている事のみを厳密に間接明晰に書いている”(62P)と絶賛している。「ガリア戦記」の値打ちとランケ史観をわずかに理解出来たような気がした。ヘーゲル・ランケ史観の相違に触れるにつけ、梅棹忠夫が事あるごとに司馬遼太郎の思弁歴史記述を揶揄したとのエピソードを思い出す。 また、時代や背景共に相当お門違いかも知れないが、ランケの修学院時代の秀才・精励に触れるにつけ、神学校で自閉・懊悩する「車輪の下」ハンス少年への憐憫とシンパシーを思い起す。
歴史を演繹的理念の具現と見なすヘーゲル史学に対し、史料批判から帰納的にアプローチする近代史学手法の祖と言われるランケの修学、学友、学恩伝。今風にアーカイブとは云わないが諸侯の外交文庫や公文書に接する喜びの記述にランケの方法論を見るというのは浅学か。
先頃読んで、いまいち分からなかった名著・カエサル「ガリア戦記」について、ランケは本書で“正確に知っている事のみを厳密に間接明晰に書いている”(62P)と絶賛している。「ガリア戦記」の値打ちとランケ史観をわずかに理解出来たような気がした。ヘーゲル・ランケ史観の相違に触れるにつけ、梅棹忠夫が事あるごとに司馬遼太郎の思弁歴史記述を揶揄したとのエピソードを思い出す。 また、時代や背景共に相当お門違いかも知れないが、ランケの修学院時代の秀才・精励に触れるにつけ、神学校で自閉・懊悩する「車輪の下」ハンス少年への憐憫とシンパシーを思い起す。