重田さんといつ子の“共同作業”による労作、沖縄に居て読んでみるとまた一層刺激的です。
内容前半の大部分については、「編集会議」で折々に伺っていたり、重田さんのブログで読んでいたこともあり、ふむふむと読み進みました。世代のせいかもしれませんが、こうして活字になると読み応えが出るような気がします。特に図表がより説得力を持ちます。蝋山氏のイラスト、実は漫画チックになるのではと若干危惧していたのですが、うまく本文を盛り立てていますね。
第二部、「生い立ち」と「青春」扁、記憶が生き生きとして、写真が生きていて、興味深かった。
人がどのような生き方をして、どんなバックグランウンドで今ここに在るのか、ということに関心があるので、重田理解がいよいよ深まりました。これまでにも折に触れエピソードを語っておられたので、アハー、なるほどやっぱり、と思ったり.
「三、会社創業」「四、よりよき沖縄ベンチャーのために」の項を読んで、さすが財界人の分析と、改めて重田さんに尊敬の念を抱きました。業界紙に書いた記事で焦点がくっきりしているし、執筆後年を経た記事でも今も十分な説得力があると思います。引用も当を得て分かり易くしているし、重田さんの博覧強記ぶりもよく表出されているし。
組織論、経営論、リーダーシップとメンバーシップ論、そして沖縄の家族や共同体を重視する価値観と組織・会社の発展的持続との矛盾、などなど。日頃沖縄の経済的低迷を憂えてはいても、感情論を脱し得ない“文学的?”な私としては、大いに啓発されました。
そして個人的な自己分析にも役立ちました。(これまでに重田さんのご指摘も受けてはいますけど!)多くの沖縄のひとたち、若者に読んで欲しいものです。
そして何より、このような本の構成、目次立て、原稿選び、をしたいつ子の編集力に改めて敬意を表します。饒舌、多岐、後ろを振り返らずひた走る重田原稿の山を整理し、形にしたのですからね。
第一部と第二部が、上記「三」と「四」によって見事に結びつき、明るい本になっているよ。つまり重田キャラが存分に出てるし沖縄へのエールになっていると思う。初期出版意図、見事達成です。連日のように睡眠時間を削って作業していたので、過労を心配していましたが、編集のプロの意地(ふだんも意志が強いけど)をひしひし感じました。結実。
改めて、おめでとうございます。お二人に。 (あとがきに名前を入れて頂き、面はゆし嬉し!)