センスプロデュース研究所!

ヒトの五感と脳の関係、ヒトの五感の重要性の提唱、研究を行っている者です。

味って何に!

2009-11-20 00:08:54 | 感覚、五感
今回は人の味覚、味について説明したいと思う。分かっているようで、分からないのが味です。
人の味覚、味は意外と曖昧であり、嗅覚との深い関わり合いがあります。
私たちが風邪をひいて鼻が詰まった状態でご飯を食べると美味しくなく感じるのは、この嗅覚刺激が失われるためです。
では、私たちの味覚はどんな味を感じるかというかいうと。
基本的に、甘味、塩味、酸味、苦味そして旨味です。他に、辛味、渋味も感じますが、これらは味物質の種類と分類されます。
中でも、激辛などの味は、味覚として感じているのでなく、触覚的感覚です。つまり「痛覚」痛みとして感じるので、舌がピリピリするという表現がされるように額などに汗を流すのです。
ここで、味物質の種類を説明すると。甘味物質→ショ糖(サトウキビ)、果糖、ブドウ糖など。塩味→塩化ナトリウム、臭化ナトリウムなど。
酸味物質→塩酸、酢酸、クエン酸など。苦味物質→カフェイン、 テオブロミン(チョコレート)、リモニン(柑橘類)、ホップ(ビール)など。
旨味物質→グルタミン酸、モノナトリウム(昆布、人工調味料)、イノシン酸、(鰹節、人工甘味料)など。辛みの物質→カプサイシン(唐辛子)、ペプリン(コショウ)、ショーガオール(ショウガ)など。渋味物質→タンニン(植物の木部、樹皮、葉、果実)。
参考文献、感覚の地図帳、講談社。
私たちが味として感じるのは、飲食物の味は、唾液によって溶け出した味物質を味覚受容体で受け取る、科学的刺激によって味として感じ、臭い、温度、色、形、光沢の有無などを視覚で感じ、舌触りなども同時に感じ、そして味覚神経を介して脳の味覚野に伝わります。
また、ヒトの味覚は視覚、嗅覚などの感覚も影響を受ける。これらを「複合感覚」と呼びます。個人差もあり、食体験、民族の食習慣なども基づく「嗜好性」や食中毒の経験などによって影響を受けるのです。
私共の味覚に関する研究実験でも、同じ食材、味付けの料理をフォークとナイフで食べたときと、箸を使って食べたときの脳活動を測定したことがある。
大学生に5名に実施し、同様の結果が出た。フォークとナイフで食べたときには、あまり脳刺激がされておらず、料理も普通の状態である。
次に箸で同じ料理を食べたときは、前頭葉、頭頂葉「体性感覚野」、側頭葉などが刺激され、脳の血流が活発化されていることから、箸で食べた方が料理の味が美味しく感じたのである。
では、箸でなぜ、料理が美味しく感じ、脳が刺激されるのか? それは、微妙な指加減、ヒトの触覚に関係している。柔らかな食材を箸で摘み、指先を動かすことで脳活動が活発化させるのです。
また、飲食物の味はそのときの雰囲気、外部環境などによって強く影響します。恋人と二人きりの食事、家庭との団欒、美しい風景を見ながら、好きな音楽などを聴きながらの食事は美味しく感じる。これらは味の化学的刺激が脳の中で統合され(味わい)として認識されるのです。
ヒトの味覚は、甘味や旨味は身体のエネルギー摂取に必要なため、量を多く食べてもあまり感じません。逆に酸味などは腐敗のイメージがあり、少量を食べても敏感に感じるのです。塩味も同様に敏感に感じます。これらは大量に摂取すると身体に悪影響を与えるから敏感に反応するのです。
これらから、現在の子供たちの多くが、ワサビや酸っぱい梅干しなど刺激の強い食材が食べられない、毛嫌いするのです。
私たちの味覚は生きてゆく上で必要不可欠の感覚ですが、日本の小学生の半数以上が味覚障害の疑いがあり、食育の重要性を私は痛感しております。
ヒトの脳は「美味しい味、物を欲しがり要求します」。そして美味しい物を食べたときにヒトは快感するのです。そしてもっと食べたいと求めるのがヒトの脳なのです。但し、時にはこれら食欲もコントロールが必要であることを私から提言致します。
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