雪虫(ゆきむし)とはアブラムシの仲間。
アブラムシって、羽が無くて葉っぱの裏にウジャウジャ集団でくっついてる緑色の小さな虫のイメージがあったんですが、アブラムシにもいろいろ種類があるんですね!
体長5mm前後の全身が、綿で包まれたようにみえるのが特徴的の雪虫は、白腺物質を分泌する腺(せん)が存在するアブラムシの通称名なので、「雪虫」という名前の虫が実際にいるわけではないんです。
白い雪のような部分は蝋(ろう)雪虫の白い綿や雪に様に見える白い部分。
実は『蠟(ろう)物質』で出来ていて、触るとヌメヌメ・ネバネバした感じがします。
アブラムシの飛ぶ力は弱いので、雪のようになることで外敵から身を守り、ふわふわ風に乗って他の木へ移動し、子孫を残していくための役割があります。
雪虫の生態!生息地・寿命・食べ物など
アブラムシは、普通、卵のまま越冬しますが、メスだけで子孫を残すことができる、いわゆる単為生殖(たんいせいしょく)によってコロニーを作る生態系。
1匹では生きられないアブラムシは、驚くべき繁殖スピードを持っていて、メスだけで細胞分裂のように卵をつくることができるのです。
春になって孵化した幼虫が成虫になると、卵ではなく自分と同じ遺伝子を持ったクローンのメスの幼虫をたくさん産みます。
晩秋になってはじめてオスと卵を産むメスが現れ、交尾をします。
▼春にメスの幼虫が孵化し、5月に羽のない成虫になる
▼成虫のメスはオス無しで子供を産むのを繰り返す(単為生殖)
▼秋ごろ羽を持ったメスがオスとメスの幼虫を生む
▼オスとメスが交尾をして卵を産み死亡(オスには口がないので何も食べない、交尾のためだけに産まれる)
▼卵が越冬して春に戻る
秋になって越冬する前に、羽を持つ成虫が生まれ、年に1度だけ交尾して越冬のために産卵します。
この時に羽を持つ成虫が、蝋物質を身にまとって風に身を任せて飛ぶ姿が、雪虫となるんですね。
食べ物
北海道に広く生息する雪虫は「トドノネオオワタムシ」。春にはヤチダモ・アオダモ・ハシドイといった落葉樹の幹で、越冬した卵が最初に孵化します。
夏にはトドマツに移動し、秋が深まると再びヤチダモに移動して、受精卵を樹皮の裂け目などに産み、雄雌ともに死亡します。この受精卵が越冬して翌春孵化を繰り返します。
寿命
雪虫の1匹の寿命はメスで1か月、オスで1週間ほど。雪虫は、熱に弱く、人間の体温でもすぐに弱ってしまいます。
生息地
雪虫の代表の種類である「トドノネオオワタムシ」は、北海道・本州、サハリン、朝鮮半島、シベリアまで広く分布しています。
一般的には北海道から東北地方あたりの寒い地域だけと思われがちですが、
実は本州や四国・そして九州でも確認されたという例もあります。
北海道では冬の初めに飛びますが、東京や京都だと12月くらいに飛ぶそうですよ。
「雪虫」という種類の虫がいる訳ではなく、羽と綿がついているアブラムシは全て雪虫。
ですから、北海道でよく見られる「トドノネオオワタムシ」はいなくても、本州には「ケヤキヒトスジワタムシ」などの違う種類の雪虫が生息しています。
雪虫が大量発生!2019年は例年の1500倍という恐怖
北海道では「雪虫が飛ぶと初雪が近い」と昔から言われ、冬の訪れを告げる風物詩となっていて、俳句では冬の季語として用いられていますが、大量発生してしまっては、風物詩や季語どころではありません。
雪虫の体長は5ミリほど、数匹なら気に掛ける人は少ないと思いますし、「雪みたいで綺麗!」「ふわふわしていて可愛らしい」と思いますが、北海道では、すっかり害虫扱いの雪虫。
「ケヤキフシアブラムシ」が主な種類だったそうで、大量発生は1週間ほどで収まったそうですが、
歩いていると目・耳・口のすべてから侵入してくるので、これは、さすがに恐怖しかありませんね…!
雪虫が大量発生した原因
2019年の秋に北海道で雪虫が大量発生した原因としては季節外れの温かさによるもの
夏場の猛暑や台風などの影響どちらも関係しているといわれています。
虫は気温が上がるほど増えるわけで、気温に比例して雪虫まで増えるという…
完全に地球温暖化の影響、つまり、雪虫たちの南下を意味しているかも知れません。
雪虫が大量発生したのは、人間の環境破壊への警告かもしれませんね。
雪虫の対策
北海道の恐ろしいほどの雪虫の大量発生。実際に街の声は「何匹か食べてしまった…」という人も続出。
人とおしゃべりしながら歩くことも困難です。
自転車やバイクに乗っている時はとくに大変で、スピードが出ると、それだけ雪虫が目や口に入ったり、服に付着しやすくなります。
雪虫は、アレルギー反応でぜんそくの引き金になることもあるので、木のそばを避けて通りながら、ゴーグル・サングラス・花粉対策用のメガネ・マスク・耳あて(イヤーマフラー)・ヘルメットなどを着用し、目・耳・鼻など、あらゆる侵入口をふさいでを出かけるしか対策はありません。
雪虫が服に付くのをなるべく防ぐには?
雪虫の白いふわふわ部分は、蝋(ロウ)のような物質なので、
意外とベタベタしているので、服についたら払おうとしてもなかなか取れません。
そして、いったんどこかに付着すると自力で飛び立つことが困難なため、そのまま死んでしまいます。
レインコートなど、はっ水加工がされているものを着るのが効果的です。
雪虫が服についたときは、手やティッシュで無理やり取らずに、
掃除機などで上からそっと吸い取るか、息を吹きかけて自然に離れるようにすれば、シミになるのも防げます。
とにかく、外から帰って来て服などについた雪虫の始末が大変そうですね。