センスプロデュース研究所!

ヒトの五感と脳の関係、ヒトの五感の重要性の提唱、研究を行っている者です。

運動神経系の症状、

2006-08-21 20:04:05 | 感覚
運動神経の経路の途中に障害があると、原因に関係なく、その行き先の筋肉の運動する力がなくなる(麻痺)か弱くなり(不全麻痺)します。
その場合、錐体交叉の「神経系の働き」の関係で延髄より上の病変では障害部と反対側の運動が、またそれにより下の脊髄、末梢神経の病変では、障害のある側が麻痺します。一次ニューロンだけの障害のときは、筋肉がつぱって硬くなるような形の麻痺(痙性麻痺)が起こり、この場合は筋肉の萎縮は起こりません。
二次ニューロンの障害のときは逆に抵抗が少なく、だらりとした麻痺(弛緩性麻痺)で、のちに筋肉の萎縮が起こる特徴です。
しかし、筋萎縮は二次ニューロンの障害だけでなく、筋肉自身に病変、障害があったときにも起こるので、常に両方を考えておかなければなりません。二次ニューロンがやられた場合の筋萎縮を「神経現性萎縮」、筋自身の場合の筋萎縮を「筋現性萎縮」と呼びます。
*感覚神経の症状、
感覚神経の経路のどこかに病変があると、運動神経の場合と同じように、その原因に関係なく、担当する場合に感覚(視力、聴力、味覚、嗅覚など)の障害が起こり、感度が鈍くなったり、逆に刺激されて、痺れたりします。
また脊髄や延髄、橋などで、痛覚、温度感覚の通り道と触覚、深部感覚の通り道が離れているところで、病巣がその一方だけに障害を与えるとき、おかされる感覚とおかされない感覚が分かれてしまいます。このような現象を「感覚の解離」といいます。
*小脳、平衡感系の症状、
深部感覚の伝達経路や内耳、小脳などの運動調整機能に障害があると、体のバランスが崩れたり、細かい運動ができなきなったりします。
この状態を「運動失調」といいます。
*錐体外路系の症状、
大脳の基底核や中脳の一部(黒質、赤核と呼ばれるところ)には、筋肉の硬さや共同運動などのバランスをとる働きがあり、これらを中心とした系統を錐体外路系といいます。その障害が起こると、部位によってはパーキンソン症候群(筋が硬くなり、運動が遅く、手指が震えたりする)を起こします。また、筋が柔らかくなり過ぎたり、不随意的に筋が動いて特有の運動が勝手に起こってしまうような症状を出すタイプもあり、これらを称して「錐体外路系」といいます。
*自律神経系の症状、
自律神経の障害では、腹痛、吐き気、下痢など胃腸の症状や、脈拍、血圧の変化、心臓や血管(循環系)の症状、発汗など多彩な症状が出て複雑に変化し、体全体の調節が悪くなり、精神的な影響も強いものです。
特に心身症(PSD)とか自律神経失調症(または自律神経不安定症)、神経症、うつ病状態などの場合には、自律神経系の症状が多く出現します。
*反射の異常、
神経の反射経路に障害が起こると反射異常が現れ、反射が強く出過ぎたり、逆に弱くなったり、なくなったりするので病気の診断にも役立ちます。
*神経系の病気の主な症状
意識の障害、
意識障害は、脳に何かの障害があることを意味しています。多少ボーッとしていたり、うつらうつらしている程度の軽いものから、呼んでもゆり動かしても反応しないような重いもの(昏睡状態)まで、幅があります。
原因は、直接脳の中に事件が起こっている場合(脳出血、脳炎、脳腫瘍、頭部外傷、てんかんなど)や、その他の原因(低血圧、低酸素、心臓発作、窒息、ガス、アルコール、薬物の中毒、尿毒症、肺障害、糖尿病などによる脳の代謝異常など)があります。さらに精神的ショックやヒステリー状態などでも意識障害が起こります。
意識障害が一時的ですぐ回復する場合は失神発作ともいわれ、脳貧血のような低血圧状態、てんかんの一部、精神的原因などがこれに相当しますが、我慢していた尿を急に排泄したり、強い咳をしたりすると、起こる事もあります。失神発作の多くは生命に別条ないものですが、意識障害が深く、長く続くときは、原因が何であっても、重大な事態で生命が危ぶまれます。自律神経系がしっかりしていれば、意識の回復がなくても、いわゆる植物状態で生命だけは保たれることもあります。
*痙攣、
目の前で急に痙攣を起こされると、見た人は驚きあわせてるものです。激しい痙攣は意識障害と同時に起こるので、本人はよく覚えていないものです。医師や救急車を呼んでいる間におさまってしまうこともあります。一度でも起こしたら、はっきりした診断と対策が必要です。痙攣は、色々な原因で脳の中にある運動神経のセンターが刺激され、興奮している状態です。痙攣を起こしやすい病気には、てんかん、脳腫瘍、脳炎、脳膜炎、ヒステリー発作、尿毒症、子癇、脳卒中、頭部外傷などがあります。
子供は原因の如何を問わず、「熱性痙攣」を起こしやすいものです。一般に痙攣は、硬くつっぱる型とガクガクと小刻みに震える型があります。この順序に続いて起こる場合があります。また、全身がいっせいに痙攣する場合があります。
痙攣について間違いない診断や治療を行った上に、目撃者の話は何よりも大切な情報となるので、医師に協力して頂きたいと思います。何をしているときに起こったか、何分ぐらい続いたか、痙攣が治まったあとに異常な点があったかということは重要な手がかりになります。痙攣を起こすと、舌を噛んだり、自分の舌で喉を塞いで窒息するおそれがあるので、安静にして歯の一部にタオルをかませるなどして、指を噛まれないように注意しながら、舌の前の方へ引き出してやることも、応急処置の一つです。
*目眩、
目眩は、大きく二つに分けられます。一つは、周りが回転するように感じるタイプで、多くは、内耳や内耳と関係深い(脳幹部、小脳などで起こります)例えば内耳の場合はメニエル病など、脳幹部の場合は延髄の血管障害など、多くの病気にみられます。
他の一つは、なんとなくフワフワ、クラクラするように感じるタイプで、特に相対的に血圧が下がったときに起こります。高血圧の人でも、動脈硬化が強かったり、血圧が下げる薬を飲んでいるときなどでは、相対的に下がることがあるのものです。
例えば200~150に変動したりすれば、差し引き50も下がったことになり、こういうときには目眩を感じます。
また普段から低血圧の人や自律神経失調症、更年期障害などで、血圧の調節のバランスが上手く行かない場合にも目眩を感じます。
このような目眩は、軽いときには急に立ち上がった時には「立ち眩み」として一瞬感じるだけのこともあります。
*麻痺、
麻痺は、運動神経系や筋の障害によって、筋肉の力が弱くなった状態をすいいます。
半身全体が顔や舌などを含めて麻痺した場合(片麻痺)は、反対側の脳に病巣(出血、梗塞、腫瘍、その他)があることが予想されます。両側の手足(上肢、下肢)と胴体がほぼ同時に麻痺したとき(四肢麻痺)は、頸部の脊髄(頸髄)の障害が疑われます。
両側の足(下肢)全体がほぼ同時に麻痺したとき(対麻痺)は、腰部の脊髄(腰髄)の障害が疑われます。
この他に、多発性神経炎の場合のような末梢神経障害による麻痺は、筋ジストロフィー、重症筋無力症、周期性四肢麻痺など、色々の病気の症状として現れます。
中枢神経系の障害による麻痺は、多くは硬くつっぱたようになります(痙性麻痺)が、末梢神経、筋肉の障害による麻痺は、柔らかくだらりとしています。(弛緩麻痺)筋肉の収縮(筋萎縮)
神経内科の病気で現れる筋萎縮は、神経系や筋の障害によって筋肉が痩せてくる症状です。障害の起こっている場所によって、筋萎縮は二つのタイプに分けられています。
その一つは、脳幹や脊髄にある運動神経の二次ニューロンの細胞と、そこから出る末梢神経のうちどこかがやられている場合(神経原性の筋萎縮)です。他の一つは、筋肉自体がやられている場合(筋原性の筋萎縮)です。
*感覚の障害、
視力、聴力、味覚、嗅覚の障害や、皮膚の触覚、痛覚、温度感覚、関節、筋肉の深部感覚などについて、その障害は多種多様です。しかしどの場合でも、末端の感覚器から末梢神経を通り、脊髄または脳幹を経由して脳にその感覚がたどり着くまでの道筋のどこかに、何かの障害があることは確かです。
視力、聴力の障害などが単独に現れることはよくあることです。しかし、皮膚の触覚、痛覚、温度感覚や関節の感覚は、同じ場所については通常、同時に障害されます。
但し、時には痛覚、温度感覚のグループと触覚、関節覚などのグループとの障害の程度に差が出てくることもあります(解離性),
バランスの障害(平衡障害、運動失調)
筋力は落ちていないのに、体の動きがバランスを崩してぎこちなくなったり、姿勢を正しく保てなくなったりする症状で「運動失調」ともいいます。酒に酔った状態にも似ていて、例えば、指で小さなものに触ろうとしても、不必要に揺れて、一気に目的のところへ行かなかったり、行き過ぎてしまったりしますし、立つとふらついて疲れやすく、歩くと千鳥足になります。内耳、小脳、脊髄などに関係した障害で起こります。
脊髄や末梢神経のバランス障害は、目で見ながらある程度調整できる半面、目を閉じたときや薄暗いところでは、ふらつきがさらに酷くなります。小脳関係のバランス障害では、目の開閉とはあまり関係ありません。
*言語の障害、
神経内科で扱う言語障害は、一度発達して出来上った場合で、これには大きく分けて二つのタイプがあります。
一つは、「失語症」といい、簡単にいえば、頭の中で言葉を理解し、また自分で言葉を作り出す働きの障害です。他の一つは,声帯、舌、唇、口腔、鼻などの障害のため、声がかれたり、速くしゃべれなくなったり、ろれつがまわらなくなったり、鼻へ抜けたりする状態で、これを「構音障害」といいます。失調症は、普通利き手と逆の側(右利き人は左側)の大脳表面にある言語センターに障害のあったときに現れます。
一方、構音障害は大脳だけでなく、脳幹、末梢神経、筋などに障害があっても起こります。その原因となる病気も、他の症状と同じように色々のものがあります。
その他の症状、
髄膜症状(頭痛、項部硬直など)、膀胱、直腸障害(尿失禁、便失禁、尿閉、便秘)、球症状(延髄の症状=言語、嚥下、呼吸障害など)、瞳孔症状、視野の異常(狭窄など)不随意運動(振戦、舞踏病、アテトーゼ・チックなど)、筋の緊張異常(硬すぎ、柔らかすぎなど)、反射の異常などの症状があります。これらは、医師が診断の際に、考えながら見つけ出して行く症状です。
頭痛、神経痛などは一般に多い症状ですが、それが他の病気による結果というよりも、症状自体が一つの病気と考えられる場合もあります。
家庭の医学より、引用、
運動神経系の障害は手足の動きの障害以外にも、平衡感覚や感覚器官の障害などにも影響を与えます。
最近では病気以外にも交通事故での運動性障害など急増しております。
また、脳梗塞や高次脳機能障害などでも運動神経系に障害が起こります。
これらの症状の改善にはリハビリが重要な要素になります。
まず、これらの症状が気になるようなら専門病院を探し、医師に相談され、専門的な検査を受けられることをお勧めします。
また、日本国内では医療の高度先進医療など医療技術や検査機器のハイテク化など進んでおりますが、逆に色々な病気に疾患する患者さんは増加傾向にあります。
まだ日本では「予防医学」を推進している医療機関も少なく、政府機関からの支援が不足している現実もあります。
病気になりにくい身体を造る。病気に疾患しにくい食事や運動の推進などの取り組みによって、個人の医療費削減や薬に頼らない医療など今後、政府としての取り組みが必要になります。
一部の地域や大学で講演会という形で「予防医学」を実施しているが回数や本格的な取り組みがなされていないのが現状です。
まずは、病気に対して抵抗力を養い「免疫力」を高めることで医療機関になるべくかからないことが理想なのです。
それでも病気に疾患した場合には「オーダーメイド医療」「補助療法」などの新たな取り組みなどでの医療費削減にも繋がるものなのでインターネットで調べることや病院などで相談しながら自分や家族にベストな治療法を見つけだすことも重要になります。
ですから、普段から一人で悩まず「予防医学」に心がけ、また、地域や地元の医学系大学での講演会や指導会に参加され意識を高めることも必要になります。
病気には必ず原因があります。その原因が何であるか、遺伝なのか食事が原因なのかなど色々考えられます。まずは、自分がかかりそうな病気を予想し、早めに手を打つことも「予防学」であり、病院にかからない「健康体」の維持に繋がるのです。
これらを踏まえ、自己の身体健康維持と健康脳の維持、健康脳とは、ストレスを溜めない、精神の安定を意味します。「病は気から」という諺はまさしく予防学なのです。
そのためには、運動に心がけるとか食事バランス、睡眠など規則正しい生活に心がけ、暴飲暴食を控えるなど努力も必要です。
五感教育研究所、主席研究員、荒木行彦、

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記憶力をアップさせる方法、(勉強編)

2006-08-11 20:37:55 | 感覚、五感
人の記憶には「短期記憶」と「長期記憶」があります。
短期記憶は電話番号を暗記するなど、一瞬の暗記のようなもので、すぐに忘れてしまう特徴があります。現在の子供達の勉強方法がこのタイプの記憶です。
ですから、テストが終了すると忘れていることが多くなります。学力低下もこのタイプの記憶が原因でもあると私は「仮説」を立てています。
また、長期記憶に繋がらないので、学校の勉強を理解と知識に繋がっていません。
やはり、「長期記憶」させることが重要なのです。長期記憶は手続き記憶といって、繰り返し覚えて行くものです。
例えば、現在の子供達が書き順などの理解力が低下したのも、「視覚優位」の暗記の仕方に問題があります。
視覚優位とは、パソコンやインターネットで取り出した、情報など指一本で簡単に情報を取り出し、覚えます。短期記憶ですから、テストでは理解していても、実際には理解していないことになります。やはり、私達が書き順を覚えたように、ノートやメモ用紙でも良いから、漢字の書き順や覚えたい単語など「なぞる」ことが重要です。触覚を使う。鉛筆などで何回も覚えたい漢字や単語を書きなぞることです。また、同時に声に出して書きながら覚えるとより効果的です。
教科書を音読することもよいでしよう。
ここで、記憶に関する奥義を教えいたします。
*覚えたらすぐ眠る、受験勉強など集中して勉強するときは、覚えたことを忘れないうちに眠りましょう。普通、眠ってしまうと忘れてしまうと思っている人が多いですが、逆なのです。勉強が終わってからだらだら起きていたり、ラジオを聞いたり夜食をとったりすると、所謂、雑念が入ります。色々な刺激が脳に送られ、朝目覚めたときにはすっかり忘れていることになります。
*思い出し訓練、覚えたことを自分でテストを作って、出来る限り細かな部分まで思いだします。これは、受験時に役立つ方法です。また、昨年の高校受験や大学受験の試験内容などインターネットか何かで手に入れれば、これを活用します。
シュミレーションすることが大切です。
*間隔を開けて脳を休める、人の脳は集中できるのは約1時間30分程度、だらだらと3時間も行っても効率が悪いだけでなく、脳が疲労して脳の活動が低下します。
ですから、1時間30分勉強したら、休息を10分以上取るその間、軽い夜食、うどんやラーメンを作ってあげる親もおりますが、これは、脳を低下させる原因にもなります。それより、紅茶やコーヒー、ビスケットなど本当に軽い物が良いです。
また、机の上には、観葉植物など置いて下さい。これは、効果があります。
植物の葉には、「テルペン」という植物油、揮発性の青葉アルコールや青葉アルデヒドなどが、嗅覚を介して、脳を刺激し、脳の疲れを改善してくれます。
*視覚優位の記憶から、触覚、嗅覚、聴覚など五感をフルに活用して記憶して行くことが重要である。
英語の勉強には、ヒヤリングという「聞く」ということが最も大切です。
日本のように英語の勉強は、単語と文法が主流ですから、海外では使い物になりません。耳で聞いて、英語に慣れることです。我が家の娘には、外国映画のDVDを見せて英語力を身に付けさせました。それも、字幕スーパーを消して見せました。
また、現在では、パソコンの翻訳ソフトを使って、英語の発音や単語の意味を調べられます。そこで、自分で英語の本などを声に出して読み上げ、それを録音機で録音して、後からヘッドホーンで聞きます。発音の仕方や、英語を覚えるのに意外と役立つ方法です。単語を覚えるのは、やはり、自分で工夫して「単語帳」を作成することです。但し、翻訳ソフトを使って、英語の宿題を訳すなど、頼っていては覚えられません。また、翻訳ソフトで訳した英語は直訳なので日本語的には可也おかしな部分があります。学校の英語の先生には、翻訳ソフトを使って訳した文法は、すぐに分りますから、自分で訳すことに努力して下さい。そのことで、英語力が身につくのです。
これらの短期記憶から長期記憶にするのには、海馬という人の脳が関わっていますが、この海馬では、短期記憶が司っています。長期記憶は「大脳新皮質」が関わっています。大脳新皮質は脳の周りに2mm状の細胞がある、海馬で記憶された情報は2日~1週間程度残り、そこから重要な記憶を残すため、大脳新皮質に記憶されます。
これが「長期記憶」なのです。
海馬は、タツノオトシゴに似ているのでこの名前がついたものです。子供の頃は丁度水を吸い込むように勉強したことなど記憶して行きます。その情報が嘘でも、でたらめでも記憶して行きますから、そこで、大人(親)が見分けてあげる事が重要なのです。とくに、インターネットなどの情報は可也いい加減なものもあります。
このように「洞察力」がとくに現在の子供達に不足している能力ですから、親が教えて上げて下さい。
長期記憶、長い期間忘れないようにするのには、何度も繰り返し覚え脳に記憶保存させることです。ここで、記憶のシステムを説明します。
脳細胞(ニューロン)は、軸索と樹状突起から構成されており、軸索の先には、「シナプス」という伝達物質のカプセル、記憶の素を小胞という場所にもっています。ここから放出された伝達物質は、ニューロンにレセプター(受容体)があり、その間に隙間があります。その間隙は20~30ナノメートルと狭いのですが、シナプスから伝達物質がレセプター、ちょうどチューリップのような形をしており、放出された、伝達物質を受け取ります。すべて受け取る訳ではないので、何度も放出させることが重要です。この刺激が海馬に入ると記憶になるのです。
何度も繰り返し行うと、今度は、海馬からニューロンネットワーク、脳神経を介して大脳新皮質に送られ、長期記憶として保存されます。
また、食事の内容も重要なカギとなります。人の脳は、酸素の40%,栄養を20%も必要とする臓器です。また、使用する頻度も高い臓器です。
私達が、真っ直ぐに立って歩けるのも、暑い夏場、発汗させ体温を下げるなど、冬場、鳥肌を立てて、身体をブルブル振るわせるのも、自律神経の働きです。
これら身体のバランスなどコントロールしているのも人の脳です。
最近、小学生で「すぐに切れる」子供達は、低血糖と深い関わりがある研究があります。朝食事を抜いて学校に通学している子供達は、全体の4割もおります。
また、親の生活パタンに合わせて、夜遅くまで起きている子供も多いと聞きます。中には、カラオケなどに付き合わせる親もおられます。
子供の寝不足や栄養不足は、身体だけでなく、特に成長段階ですから、精神面に影響を与えます。
また、食事の仕方にも異変が起きています。それは、「ばっかり食べ」です。
最初にご飯だけ食べて、食べ終わったら、次におかずだけ食べるというものです。
私達は、ご飯と一緒におかずを食べますがこれは「口内調味」という、酸っぱい物、辛い物などをご飯と一緒に食べることで中和されるのです。
「ばっかり」食べでは、ご飯だけで、お腹いっぱいになれば、おかずを残してしまいます。
これでは、栄養のバランスが悪いのです。現に、小学生の13.1%が「高コレステロール症」であるのです。他に、「低血糖」「低体温」「味覚障害」「糖尿病」なども含めると、現在の子供達の6割は身体や精神に異変を来していることになります。
ですから、食事の内容を見直す必要性があります。これは、身体だけでなく、特に「脳にダメージ」を与えているということをご理解下さい。これらの原因から若くして脳の記憶低下に繋がるのです。
寝不足や脳の栄養不足は、集中力や空腹時のイライラなどの症状として現れます。
朝食を抜いて学校に通えば、お昼前に空腹になり、イライラしてきます。
このような状態の人の脳では、「アドレナリン」という興奮物質が分泌され、さらに興奮状態になり、授業中に席を立ったり、騒いだりします。
また、最近では、おやつでお腹をいっぱいにする子供もおられます。スナック菓子などは、高カロリーで高脂肪、低タンパク質、低ビタミン、人に必要な栄養、五大栄養素が不足しています。この不足が身体や脳にダメージを与えているのです。高カロリーの摂取は、インスリンの働きが鈍り、低血糖症になります。低血糖では、産熱量を作り出すことが出来ず、「低体温症」になります。低体温では基礎代謝率も15%程低下しますから、消費エネルギーも低下します。ですから、太り易く、免疫力の低下から風邪などのウイルスに対する抵抗力も低下し、風邪を引き易くもなります。
また、野外活動の時間の稀薄から、ビタミンの摂取不足で、「味覚障害」「平衡感覚障害」「高血圧」「糖尿病」などの病気での疾患の低年齢化が心配されています。
また、女子高生での服装の乱れや、座る姿勢の悪さから、冬場に「痔」、切痔や疣痔に疾患する若い女性も急増しています。これは、低体温症、体温が35.5度以下を低体温と呼びますが、同時に内臓温度の低下から、便秘症、便が固いため、お尻の血流が悪化し、疣痔や切痔になり易くなります。また、正座が正しく出来ないので、骨盤の変形から卵巣が付着できない体型「不妊症」になる可能性のある若い女性が急増しているものです。このように、身体にも、脳にも悪影響が出ています。
規則正しい生活と規則正しい食事は身体と脳に最も重要なものなのです。
自律神経は、ちょうど車のアクセルとブレーキの役割を果たします。身体を動かすし、活動するときには「交感神経」が働き、身体を休めるときなどには「副交感神経」が働きます。また、血管の拡張、収縮に関わっているのも自律神経です。
ですから、現在のように夏涼しく、冬暖かな室内環境は自律神経と脳にダメージを与えていることにもなるのです。
夏場、室内温度が体感的に寒いようなら、自律神経に悪影響です。冬場でも同じで、顔が温かくなるほどの暖房では、自律神経と脳の働きが悪くなります。デジタル冷房や暖房、デジタル家電に依存してしまうと、一番に脳がダメージを受けることを付け加えておきます。やはり、正しい使用方法とあまり快適な生活環境を造らないことが大切なのです。
他に、携帯電話やパソコンなどの使用頻度でも脳はダメージを受けます。
これは「視覚優位」の感覚が生み出した、脳の偏り現象です。
このように、快適で便利な物は実は脳には良い刺激を送りません。それどころか逆にダメージを与えることもあります。私達の脳では、「快感」「快適」「楽しい」が大好きで、逆に「辛い」「不快」「楽しくない」が嫌いなのです。
ですから、テレビのスイッチも横になったまま、楽な姿勢で行います。これでは、脳は刺激も弱く、若くして脳にダメージを与えているようなものなのです。
脳のトレーニングと思って、辛いことや過酷なことも体験することです。
また、親が子供に対して、多少テストの成績が悪くても怒らず、過度の期待もかけないことです。脳のご褒美はやはり、「誉められること」です。この誉められ行動が「快感」に繋がり、次にがんばろうとなるのです。
テストの成績が上がったら欲しい物を買って上げるという行為は、あまり感心しないものです。つまり「ハングリー精神が育たない」のです。ハングリー精神は意欲の現われとして表現されますが、実は、食欲と深い関わりがあります。実は、腹八部という食事は脳の活性化に理にかなっているものです。
現在の子供達の多くは、食材の好き嫌いが激しく、特に見た目の食材を嫌う傾向があります。タコやイカ、ニンジンやトマトなどの色がついた野菜などを嫌う子供も多いのです。これらは、ビタミンを多く含み、脳や身体に大切な栄養素なのです。
逆にハンバーガーやカレー、ラーメンなどインスタント類が多く、このような食事内容では、人の味覚細胞(味蕾)が育たないのです。人の味細胞は10~15日前後で死滅しますが、再生する細胞です。この再生に必要な栄養が(亜鉛)です。魚介類がこの亜鉛を多く含む食材です。多くの子供が亜鉛不足になっています。ですから、味覚に障害が疑われています。その数、全国で24万人以上、年間10万人という数で増加しています。その中でも3割近い人達が子供達なのです。
味覚障害などは感覚障害だけでなく、脳にダメージを与えることに繋がるので注意が必要です。
特に、嗅覚障害などは、精神的にも辛い思いをします。それは、食事と深い関わりがあるからです。食事の味は匂いがあって始めて美味しいと感じるのです。現に、風邪など引いて鼻が詰った状態で食べる食事が、美味しくないと感じるのはこの理由です。
このように成長段階にある子供達には、食事と脳の刺激がとても重要になります。
ここに、人の脳の働きと食事(栄養)の深い関係があります。
後、脳に刺激を多く送るような(訓練)を子供の頃からすることが本当の意味での「頭のいい子」に育つのです。
五感教育研究所、主席研究員、生涯学習大学講師、荒木行彦、




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高次脳機能障害について

2006-08-07 19:27:23 | 感覚
あまり耳慣れない言葉ですが、高次脳機能障害とは、交通事故や水の事故、スポーツ時の事故、脳血管疾患(脳出血や脳梗塞)などにより脳に生じた後遺症のことを言います。
脳は、私達の生命維持に欠かせない、呼吸や摂食を司る部分や日常生活を営む上で大切な、感情や記憶、言語、感覚(視覚や聴覚)など様々な役割を果たしています。
高次脳機能障害では、事故や脳血管疾患によって一命をとりとめ、一見もとの状態に戻ったかに見えるのですが、脳に損傷を残しているため、その損傷部位により様々な障害が生じるのです。
■高次脳機能障害により弊害をきたす部分■
感情・感覚・記憶・動作など、身体麻痺などの症状は、高次脳機能障害にあてはまらないため、この症例の患者さんは一見したところ普通です。
この障害は、精神疾患ではありません。主に感情や記憶を司る部分が損傷された場合、感情が抑制できなくなる、口数が少なくなる、無気力になる、記憶力が低下するなどの症状が現れます。
このような症状はうつ病や痴呆症、その他の精神疾患と誤解されやすい症状ではないかと思うのです。
この症例では、本人や家族が気づかないこともあり、また気がついたとしても重度の障害ではないことから医療機関でなかなか発見されにくいという側面を持っています。
もしかすると、精神疾患だと思っていたものが、この高次脳機能障害であったというようなことがあるのです。症状は似通っていても病気の根源が違えば適切な治療は受けられません。
この症例は世間的な認知・理解が薄いため、いろいろな場面で苦しんでいる方がいます。また、障害者として認められておらず、福祉の援助を受けることができません。
高次脳機能障害の実態(症状の説明)
高次脳機能障害者実態調査報告書(平成11年度、東京都高次脳機能障害者実態調査研究会、発行元東京都衛生局医療計画部医療計画課)をもとに、高次脳機能障害の種々の症状を説明します。
それぞれの症状に、当事者達・家族達の実体験に基づいたコメントを付け加えました。
1、はじめに
病気や事故などの様々な原因で脳が損傷されたために、言語・思考・記憶・行為・学習・注意などに障害が起きた状態を高次脳機能障害といいます。研究領域によっては、認知障害、神経心理学的障害などと呼ばれています。
原因として最も多いのが脳卒中ですが、交通事故による外傷性の脳損傷(頭部外傷 )でも多く見られます。その他、脳炎や低酸素脳症などでも起こります。
高次脳機能障害の多くは外見からは分かりにくく、本人も自覚していないことが多く、家族からも理解されにくい状況にあります。
また社会生活上いろいろの支障が生じていても、身体機能に障害がない場合は、身体障害福祉制度の対象になっていないので、社会的な支援がされにくい状況にあります。
2 高次脳機能障害にみられる特徴的な症状の分類
高次脳機能の障害が脳のどの部位の損傷によって生じるのかを示しています。
なお、障害の生じる損傷部位は絶対的なものではなく、他の部位でもこれらの症状は起こりえます。
下記の各症状を参考にして下さい。
(1)半側空間無視
(2)半側身体失認(身体の認識の障害)
(3)地誌的障害(場所の認識の障害)
(4)失認症
(5)失語症 ― コミュニケーションの困難
(6)記憶障害(健忘症候群) ― 記憶と学習の困難
(7)失行症(動作と行為の障害)
(8)注意障害 ― 注意力・集中力の低下
(9)遂行機能障害(前頭葉障害)
(10)行動や情緒の障害
(11)症状のまとめ
3 高次脳機能障害をひき起こす代表的な疾患名
(1) 頭部外傷
硬膜外血腫、硬膜下血腫、脳挫傷、脳内出血、び漫性軸索損傷、
(2) 脳血管障害
脳内出血、脳梗塞、クモ膜下出血、もやもや病、
(3) 感染症
脳炎、エイズ脳症、
(4) 自己免疫疾患
全身性エリテマトーデス、神経ベーチェット病、
(5) 中毒疾患
アルコール中毒、一酸化炭素中毒、薬物中毒、
(6) その他
多発性硬化症、正常圧水頭症、ビタミン欠乏症、脳腫瘍、
最近において、交通事故が原因と思われる高次脳機能障害の患者さんが増加しております。交通事故による死亡者は減少傾向にありますが、逆に高次脳機能障害の患者さんは増加傾向にあります。
現在の車は性能も良くなり、安全性も高いのですが、スピードの出し過ぎ、二度の衝突による頭部打撲などの原因によって、脳にダメージを与えることがあるのです。
スポーツでも、アメリカンフッドボール、スキー競技などで頭部を強打して高次脳機能障害に疾患する若者達も多いようです。
ではなぜ、頭部打撲や硬膜外血腫、硬膜下血腫、脳挫傷、脳内出血などで高次脳機能障害に疾患するかというと、ヒトの脳細胞の死滅に関わっている。ヒトの脳細胞は、強打した部分や出血した場所によって、また範囲によってその症状に関係します。
ヒトの脳細胞は、4分以上酸素が送られないと壊死状態になり、脳の機能の一部が働かなくなるので後遺症が残るのです。
例えば、発症してから4時間以内なら、症状にもよりますが、軽い場合はほとんど後遺症が残りません。但し、発症してから軽い症状でも何時間も経過していると症状が重くなることもあります。
ですから、発症してから病院に搬送される時間が重要になるのです。
私の母親は、クモ膜出血をお越し、近くの内科で応急処置したのだが、発症してから10時間以上経っているので後遺症も重く、私が到着してから専門医に診て貰うまでの時間が長引き、命は延命したが、6年が経ち、現在は前頭野の萎縮から思考、認知、判断ができず孫の顔や私の顔も分かりません。半植物状態になっております。
これらはリハビリの経過によるものです。
他に、高次脳機能障害は発症してからのリハビリが重要になります。病院での治療や薬の投与も大切ですが、何より、リハビリが復帰の早道になるのです。
動かなくなった手を動かしたりするのは本人にとっては大変な労働であり、もどかしくも感じるはずです。焦らず、怒らず、根気よくリハビリを行うことである。
特に、ヒトの脳には痩せこけた「ニューロン」を「可塑性」という、太くさせる脳力を持っているのです。この脳力を引き出すのには、本人の努力も必要ですが、何より、看護する家族の力が必要なのです。
ヒトが言葉を話せなくなったり、運動性障害から手足が動かせなかったりするのは、ヒトの脳のニューロンネットワークに関係しています。
私達はヒトの名前を思い出したり、計算したり、言葉を話すのも、脳の各分野がこのニューロンネットワークの繋がりによって、スムーズに行われますが、高次脳機能障害に疾患するとニューロンネットワークの一部が死滅して行くので、伝達が上手くスムーズに行かなくなり、行動や言語などに影響するのです。
但し、ヒトの脳は隠された「脳力」を持っているのです。この復元の能力を引き出すことで可成りな部分が改善されたケースも多くあります。
高次脳機能障害に疾患した患者さんやその家族は、病院の指導のもとにリハビリなど行いますが、私が提唱している「五感刺激療法」をご紹介します。
まず、手の動きに関する「触覚」刺激法→右手でも左手でも麻痺した手の反対を触覚刺激する方法です。まず、段ボールを∐ 形に切り、真ん中に鏡を入ります。
上から覗けるようにします。そして、動く手を例えば右手が動かない場合、左手を鏡に映して鏡を覗き右手が動いたように錯覚させる方法です。この時、家族の誰かに右手の親指から順番に触って声を出して繰り返します。毎日、続け半年ぐらいすると効果が現れます。但し、個人差もあり、後遺症の重度によっても差はありますが、以前より少しでも改善したら効果はあります。
次に、脳の活性化のため、嗅覚と聴覚を刺激する方法です。特に嗅覚は言葉を話せなくても、好みの匂い、嫌な匂いと顔の症状で分かります。アロマオイルでも良いし、花々の匂い、果物でも結構です。普段と違った匂いを室内に出すことが大切です。同時に、例えばご主人さんが好きな音楽を集めて聴かせる。この刺激によって、昔の懐かしい思い出や記憶を呼び戻すことに効果があります。これはアルツハイマーの患者さん達に行われる方法でもあります。
視覚刺激法は、四季の花々が良いでしょう。桜の花は脳を活動的にさせる効果があり、活性化させます。逆にバラや鮮やかな花々は興奮した脳を宥め、癒してくれる働きをします。
また、公園や樹木の中を散歩することは脳に色々な情報を与えてくれます。
樹木の葉っぱには、青葉アルデヒド、青葉アルコールなどのテルペンの揮発性によって、新鮮な空気を脳に送ることが出来ます。また、野鳥の鳴き声などシジュウカラなどの鳴き声は、ヒトの聴覚に心地よい音となり、心地よい周波数になるのです。丁度、モーツアルトの音律に相通じるものがあるのです。
同時に、樹木のゴツゴツ感、ツルツル感を手で触って、落ち葉や石でも結構です。
触ることで脳の「体性感覚野」が刺激されます。野鳥の鳴き声を聞くことで「聴覚野」が刺激されます。視覚の刺激は後頭野の聴覚野が刺激されます。
また、散歩で歩くことは手足を動かし、特に腕や手を動かすことは特に効果があります。
手は「外に飛び出した脳であり、第二の脳なのです」このように五感を刺激して、脳に刺激を送ることで、普段とは違った刺激が重要なのです。言葉が不自由でも、顔の表情を見れば理解できるはずです。笑顔が出れば効果は大きいのです。ヒトの脳は「快感」が重要なのであります。逆に辛い、苦痛、不快が嫌いですから、辛いリハビリや苦痛と感じるリハビリは本人にとって何よりも、辛く、苦痛なのです。ですから、快感を感じるようにご家族がご本人に対して、頑張ってと励ますより、本人が自ら行動することにサポートするということが大切なのです。
やはり、最終的にはご本人の頑張りとやる気で復帰の時間も短くなり、脳にも驚くほどの変化をもたらすのです。まずは自分の脳力を信じて「頑張ってみる」この前向きな気持ちこそ、復帰への早道です。私が提唱している「五感刺激療法」は誰でも簡単に出来、医療費も掛からず、一部の病院でもリハビリに活用されているものです。
この文書をお読み頂いている。高次脳機能障害に疾患されているご家族のためにエールとして私から応援と励ましとして贈り致します。
五感教育研究所、主席研究員、荒木行彦、




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ヒトの記憶は幾つになっても衰えない、パートⅡ

2006-08-02 23:09:49 | 感覚
ヒトの脳の特徴に20歳を過ぎた頃から毎日10万という、脳細胞が死滅して行く、但し、ヒトの脳細胞は140億個とされているので、80歳を過ぎてもそんなに減ってはいないのである。
逆に、若い頃より、高齢者になって優れているは「判断」や「認識」などの能力である。
若いときのように、計算や語学力などの能力は低下している。つまり、処理能力が低下しているということである。
記憶に関しては、覚え方とその記憶の引き出しのスピードに関係している。
人の名前がすんなり出てこない、顔が思い出せないなど記憶の引き出しに時間がかかり、時には、思い出すのを諦めてしまいます。
これは、脳細胞のニューロンネットワークの伝達速度に関係している。若いときには、活発にニューロン同士が繋がり、すぐに思い出したり出来る。
簡単に言うと、ニューロンネットワークの電線が剥き出しの状態になり、痩せてしまうのである。若いときの人の脳内では、このニューロンの電線にカバーが掛かっているのでショートすることなく、伝達出来る。だから、思い出し記憶も早く、沢山覚えられるのである。
記憶に関しては、若いときとほぼ同じなのだが、物忘れや物覚えが悪くなったと実感し、記憶力が低下したと勘違いしてしまうのである。これは、人の脳には「概念」という、フィルターが存在し、五感から入力された記憶情報を選択し、必要なものとそうでないものを概念が選んで記憶しているからである。
高齢者になるとまず、意欲が薄れてくる。覚えてもすぐに忘れるから、身体を動かすのもしんどいからやめる。このような状態では、脳に記憶情報が入らない状態でもある。つまり、物覚えが悪くなったのでなく、記憶の仕方である。積極的に意欲を持って記憶すれば、ヒトの脳は幾つになっても衰えることはないである。
その証拠に円周率で世界一の桁の数字を暗記しているヒトは、千葉県に在住している原口さんという60歳に成る方が2004年の9月25日に千葉県の茂原市で5万4000桁を暗記した。もちろん世界記録達成である。
ここで、ヒトが記憶するメカニズムを説明致します。
例えば、ヒトの顔を記憶する例で説明致しますと、網膜から入った視覚情報はパルス(微電流)の刺激により、一度バラバラになった情報は視神経を介して視床へ送られます。
聴覚や嗅覚の情報とは別のルートで脳の中枢部分へ送られます。その時の神経繊維(ニューロン)を伝わる速度は400km/hの速さで伝わります。
その後、脳の中枢部分から、大脳新皮質(脳の回りに3mm状の細胞がある)に送られます。この大脳新皮質は「理性」や「知性」に関わっており、丁度、コンピュータで言えば、CPU(中央演算装置)の役割です。(過去の記憶との照合もする)、今度は太い神経繊維を通って急降下し、海馬(タツノオトシゴに似ているのでこの名前がついた)に向うのです。この海馬こそ「記憶に残すかどうかを決定」する。その決定は、海馬の近くにある扁桃体(感情や好みをコントロール)する役割を担う、この扁桃体と海馬のやり取りから記憶に残すと判断。残された記憶は一週間から数週間、海馬に留まっていた情報は記憶可能な形に変換されるのです。
その後、海馬から海馬台を経由して大脳新皮質に戻ります。およそ50の各パーツでバラバラに記憶された人の顔情報が定着し「記憶」されたということになる。
この記憶の場所は大脳新皮質の中に「コラム」という円錐形の細胞に記憶されるのです。
記憶されたヒトの顔情報は今度、思い出す時は、大脳新皮質に蓄積された情報が繋がり顔と名前が一致するのです。この再現が記憶のメカニズムです。
では、ヒトは何歳ぐらいから記憶できるのでしょうか?
4歳頃までは、海馬や大脳新皮質など長期記憶をつくる構造が未成熟なので、それ以前の記憶は長く持たないのである。よく聞く話に生まれた頃の記憶をはっきり覚えているというヒトがおられます。私は、全く記憶にしていないし、覚えてもいない。
これは、個人差もあるが、本当の記憶か後で想像したものかの区別が必要である。
なぜ、ヒトには「記憶」が必要で重要なのでしょうか?
それは、ヒトがヒトとして生きて行くために必要な事柄なのです。つまり、本能のプログラムなのです。
ヒトがもし、記憶を無くしたとしたらどのように成るのか、実例でご紹介します。
長谷川優君が15歳の夏にアメリカンフットボールのタックルの練習中に誤って頭を強打しそのまま意識を無くし、病院に運ばれたのである。
病院での検査で外傷性クモ膜下出血及び急性硬膜下血腫と診断、長谷川君は現在20歳であるが15歳の夏以前の記憶ははっきり覚えている。現に小学生時代の友達の名前は覚えているのだが、最近の記憶、15歳以後の記憶が全くないのである。
だから、自宅から病院へ通うのも、道順などメモに細かく書き込まないと自宅に帰れないのである。また、記憶しても数十分で忘れてしまうのである。
交通事故や頭部の衝撃によって、脳にダメージを受けると長谷川君のように脳の損傷が原因で感情のコントロールが困難になる、初めてあったヒトは誤解を招くこともあるのです。
長谷川君は記憶できない苦しみから、その日の出来事や色々な体験をノートに書き込んでいるのである。数十分後にはすべて忘れてしまうからである。
これらの症状を「高次脳機能障害」と呼んでいる。
長谷川君は、記憶できなく、感情をコントロール出来ない症状で悩んでいる。
感情のコントロールは、薬とリハビリの効果もあり改善されたという。
但し、現代医学を用いても、記憶を取り戻すことは非常に難しいことである。
本人は、思い悩み苦しんでいる。この辛さは、高次脳機能障害に疾患したヒトだけにしか分からないかも知れない。
それほどヒトの記憶とは重要なものなのです。
私達も時には、忘れてしまいたいと考えることがある。失恋などもそうである。
失恋の痛手を忘れるには、やはり、新たな恋愛がカギを握っている。
失恋の痛手は、失恋した記憶ではなく、感情の記憶が苦しみに繋がっている。だから、それを妨害する経験が新たな恋の記憶なのです。同様の体験をすることで以前の記憶(思い出)が薄れるのである。
ここで、記憶の達人になる方法を教え致します。
短期記憶でも、長期記憶でも、例えば電話番号を記憶する場合、声に出して覚えたり、メモに何度も書いて覚える、五感を活用する方法である。普通、私達は7桁までは普通に暗記「記憶」出来る。だから、電話番号も局番無しは7桁であり、郵便番号、一週間は7日なのです。
また、長い数字や年号などの暗記には物語風にして記憶して行く方法です。例えば1,2,3という数字を記憶する場合、ひふみと覚えて暗記するものです。
また、何十にもの人の名前を記憶するのにもこの物語を作りながら暗記すると意外と多くのヒトを記憶できます。例えば、幸子さんにお店の前で会い、歩いていたら、孝君に偶然に会ったなどと自分で物語を作るものである。
また、受験勉強や勉強では、記憶したらすぐに眠りましょう。暗記したと思って、ラジオを聞きながら、途中で夜食を食べるなどの勉強は、雑念や概念から記憶の邪魔をします。ですから、暗記したらすぐに眠ります。そして、翌朝必ずどれだけ記憶していたか復習します。この復習が大事なのです。時には、自分でテストを作成し、どれだけ暗記していたか試します。
また、だらだらと勉強するより、1時間30分勉強したら、10分~20分休憩を取りながら勉強します。これは、2時間以上続けて勉強しても脳が疲れを感じて記憶力を低下させるからです。つまり、効率のよい勉強と記憶の方法が大切なのです。
また、高齢者の方々でも、好奇心をもって、意識的に記憶しましょう。
思い出す(引き出す)のにも、思い出せないとすぐに諦めず、思い出すまで頑張ってみましょう。そして、思い出したとき、「達成感」から快感の感情が生まれます。
この快感こそ、脳の活性化に繋がるのです。脳のご褒美のようものです。
後、6年~7年後には、記憶力がアップする薬が発売される予定です。
その薬は、アメリカのコールド・スプリング・ハーバー研究所、ティム・タリー博士が発明した薬である。ティム・タリー博士は、ハエの記憶のメカニズムを観察→記憶に関わる遺伝子を特定→記憶に作用する薬を発明したのである。
この薬は、記憶にはタンパク質の合成が必要で、言ってみれば記憶の原動力、CREB(クレブ)タンパク質合成を促進させ、記憶の司令塔である遺伝子にスイッチを入れ、やる気を起こさせ、このCREBタンパク質の増産体制にはいるのです。
記憶のカギを握っているのはCREBですからこのCREBの促進によってヒトの記憶力が向上するという薬である。
簡単に説明するとCREBタンパク質促進→タンパク質合成活性化→記憶力の増強になるわけです。
現在は、臨床段階であり、アメリカ国内で認可が下り次第販売の予定という。
記憶力が良いから、頭が良い訳ではありません。
頭の良さ=記憶力ではないのです。ヒトの頭の良さとは、記憶の引き出しの速さ、判断力や情報の神経繊維の太さ、つまり、ニューロンネットワークの広がりと長さ数の多さで、記憶の量も増え、伝達の速度も速いのです。また、この記憶の引き出しにより、思考や認識、創造性などの能力に優れているヒトを意味するのです。
代表的な天才がアンシュタインであり、ダビンチなどが頭脳の優れたヒトなのです。
現在もアンシュタインの脳見本が残っており、脳研究で普通の人より、ニューロンネットワークの広がりと数が多かったという研究発表があった。
脳科学の研究では、頭脳の良さはIQの高さでなく、この脳細胞の伝達の速さと、広がり、脳細胞の数の多さがつまり、頭の回転の良いヒト、頭のきれるヒトになるのです。
皆様も、日々、記憶の大切さをご理解頂き、自分がもし、記憶出来なくなったらと考えたら、心配になるはずです。ですから、幾つになっても好奇心と野心を持って何事にもチャレンジし、脳を活用させ、記憶することです。そのことで、いつまでも若々しい脳を保つことが私達の脳には備わっているのです。
五感教育研究所、主席研究員、荒木行彦、



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