種 名 カモ目/カモ科/オシドリ 鴛鴦 Aix galericulata Mandarin Duck
時 期 留鳥、または冬鳥。東北地方以北では夏鳥。
形 態 L 450mm 嘴峰27-32mm 翼長214-250mm 尾長90-109mm ふ蹠33-40mm.雌雄異色。♂は、冬羽がカモ類中、特に鮮やか。 三列風切の内側の一枚は、大きな銀杏の葉の形をしたイチョウ羽となる。
嘴は紅色で、先端が白色。 頭頂は金緑色で、後頭部の羽毛は長くのび、白色と赤栗色が混じる。
背は暗褐色で、肩羽は藍黒色と白色が混じる。 眼先は淡い黄褐色で、頸側には栗色の細長い羽毛がある。
胸は紫黒色で、胸側には2本の白帯があり、腹は白い。♀は、嘴が赤黒色。上面が暗褐色で、眼の周囲の白色が後頸にかけてのびている。
胸は黒褐色で、白色斑が散在し、上嘴の基部両側、喉、腹は白色。脇は黒褐色し黄褐色の斑。
オスはエクリプス時にイチョウ羽が消え、メスの体色に似ているが、嘴は紅色。鳴き声:オスは「ピューイ ピューイ」 メスは「キュッ キュッ」
生 態
分 布 旧北区。
ユーラシア大陸東部のウスリーと中国北部に繁殖分布し、冬は中国南部に渡って越冬する。
イギリスに生息するオシドリは、飼育していた個体が逃げて野生化した個体。日本では、四国を除く北海道から沖縄まで繁殖記録がある。 冬は本州以南に分布、四国にも分布する。
生息地 低地から亜高山帯にかけて生息する。
繁殖期には、大木の多い広葉樹林内の河川、湖沼で生息し、ミズナラの多いブナ林、シイ・カシ林などを特に好む。
冬は、山間の河川、ダム湖、湖沼、樹林に囲まれた池、溜池などで生息し、林内の枯れ木に止まることもある。
採 食 主に植物食の雑食性。
草の種子、果木の果実、水生昆虫などを食べる。特にシイ、カシ、ナラ類のドングリを好んで食べる。
夜行性のため、夜間、水田や湿地で採食する。日中は、水辺の陸地、岩、樹上で休むことが多い。
採食の仕方は、地上を歩きながら採食、水面を泳ぎながら採食、水面で逆立ちをして上半身を水中に入れて採食、水底を水掻きでかき回して浮いてきた水草などを採食、シイ・カシの木に登ってドングリを摘み取る採食をする。
繁 殖 繁殖期は、4-7月。 一夫一妻。 つがいで分散するが、コロニーにはならない。 抱卵期につがいを解消する。
縄張りは、巣の周りだけ。巣づくり: ♀のみで巣をつくる。 巣は、大木の虚(うろ = 洞穴)内や、地上の窪みに巣をつくる。
巣場所の選定は♀が行い、巣づくりの間、♂は縄張りの見張り役。
木の虚(うろ)に巣をつくる場合は巣材を敷かないが、地上の窪みに巣をつくる場合は巣材に木の葉を敷き、♀が巣に♂の胸・腹の綿毛を敷いて産座をつくる。
産卵: 1巣卵数、7-12個。抱卵: ♀のみで28-30日間、抱卵する。 雛は早成性の離巣性。
育雛: 母親のみで行う。雛は母親に促されて樹の洞穴から飛び下り、かなり(2kmの記録)歩いて水に入る。雛は40-45日で親元を離れ、独立する。
抱卵期につがいを解消した♂は、♂同士で群れを作ったり、第2の♀に求愛することもある。
冬期は、水系で大小の群れをつくる。
つがい形成は、9月から翌年2月ごろまでつづき、群れの中でグループディスプレイが行われる。
求愛のディスプレイは夕方・明け方に多く行われ、2-数羽の♂が1-2羽の♀の周囲を泳ぎながらメスの横に並ぼうとする。冠羽やイチョウ羽を起こして♀に見せつけ、首を上下させたり、上半身をもち上げたり、振り返ったりのポーズをして、求愛のディスプレイをする。
♀は、首を前方に伸ばし、嘴を水面に触れるほど下げて左右に振り、♂をそそのかす。
オシドリのメスを巡る争い!
本日、千歳台野鳥観察園で、オシドリ群れ、約30羽を確認し、そのうち、メス二羽を確認しました。撮影中、それは突然に起こりました。一羽のオシドリが甲高い声で鳴き、池の真ん中の方に出て来た時に、一羽のメスと10羽近いオスが同時に飛んできて池の真ん中で、オス同士の「メスを巡る争い」が始まりました。オシドリのオスが興奮すると、頭の後ろの羽が真っすぐに伸びたようになり、首を長く、身体を大きく見せようとします。
の貴重な場面を5分以上撮影出来たことはとても幸運なことでした。
そして、 一羽のオシドリのオスが、別のオスを足で抑えて池に沈めようとします。
上になった方が優位なので、メスと番になる権利を得たことになります。
但し、メスを巡る闘いは、何度となく繰り返されます。それは、30羽近い群れの中でメスは二羽しかいません。つまり「オシドリ夫婦」になれるのは極めて、強いオシドリのオスしか残れない厳しい世界なのです。
参考に、仲の良い夫婦のことを「オシドリ夫婦」と呼びますが、実は、間違いで失礼なことであると言われています。それは、オシドリは繁殖が終わると、次の繁殖相手(メス)を求めて別の群れに入ります。つまり、浮気する鳥です。見た目が仲良く泳いでいるように見えるので「オシドリ夫婦」と呼ばれるようになったということです。
センスプロデュース研究所、葛西行彦