私がニホンカモシカの親子に最初に遭遇したのは、昨年の6月上旬でした。私が確認する前に知り合いから、5月下旬に「黒くて小さな、犬みたいなカモシカの子供」を見たよと連絡があり、カモシカの子供が誕生したことを知りました。
私が6月上旬に遭遇した時は、子供が私のことを警戒して、崖の上に居て下りて来れませんでした。
親の(チャバコ)だけは、私に子供が生まれたよと!教えてくれました。
撮影したかったのですが、無理に追いかけるのはしません。改めて翌日と想い、青梅の森に通いました。
数日後、今度は、親子一緒のところに遭遇し、子供のカモシカも私のことを見ていました。
そしたら何と、チャバコが我が子に何やら話しかけているように思えました。その瞬間、子供のカモシカが私のことをじっと見つめてくれました。2分ほど見つめてくれたのは、どうやらチャバコのことなので「ママの知り合いだから挨拶しなさい」とでも言ったのだと思われます。
カモシカはカモシカ同士でも初対面とか偶然に出逢ったら顔を合わせて、お辞儀をします。
挨拶している訳ではなく争いを避けるために「敵対意識はないよ」と意思表示のような行動です。
そのことを知っている私は、チャバコに何時もお辞儀をして、私の場合は挨拶です。そうするとチャバコもお辞儀をしてくれます。
カモシカの子供にもお辞儀をしたら、何とお辞儀をして「こんにちわ」とでも言っているように挨拶してくれました。可愛すぎます。
カモシカの親子は、約1年間、子供の面倒を見ます。カモシカは毎年、出産する訳ではなく、ましてや一頭しか出産しないのと、妊娠期間も7ヶ月なので、例年は10月~12月に繁殖行動をして、5月~6月上旬の頃に出産します。
昨年の3月頃にチャバコが妊娠していることが分かり、何と私が金刀比羅神社に参拝していたら、チャバコらしきカモシカが神社の石段を上って来ました。私が鳥居を潜り、どうぞと促しても、どうしても鳥居を潜ろうとしませんでした。
チャバコは普通のカモシカと違い、賢く「神がかったカモシカ」です。私は直ぐに分かりました。前年に我が子を亡くしているので「安産祈願」したかったのだと分かりました。
現に、石段の後、一歩のところで止まってしまい、私にお辞儀して「無理です」と伝わり、代わりに私が安産祈願した訳です。お蔭で、昨年の5月下旬に「オスのカモシカ」が誕生しました。
6月上旬に初撮影した写真がチャバコが我が子を紹介してくれたものです。その後も月に数回以上出逢っています。既に撮影し写真も数百枚以上になります。
親子して私のことを見つめてくれた瞬間の写真など思い出もあります。そんな可愛い子供のカモシカにそうだ!名前を付けて上げようと想い、顔が白かったのとオスなので「ガンジロ」と名付けました。
親のチャバコは、頭の毛が茶髪に染めたようになっているので「チャバコ」と名付けました。呼ぶと私の方を見てくれるようにもなりました。
こうした親子の関係は、普通では約1年間続き、1年過てから自立して、親の縄張りを受け継ぐように、2年~3年は青梅に居ますが、その後はどうなるかはチャバコ次第です。
ところが、賢いチャバコなので普通なら1年間一緒にいるはずなのに、先日(2日)に太陽の子広場の崖にガンジロ一頭でした。後からチャバコが来るのかと待っていても来ません。どうやら親離れしたようです。それにしてもガンジロは生後10か月目です。
普通なら、後二か月ほど一緒に居られるのですが、賢いチャバコは、逞しくなった我が子を早目に「自立」させたようです。
カモシカの親は、自立を促すために近寄って来た我が子を前足で蹴とばします。「もう離れなさい」と自立を促すのです。多分、ガンジロは悲しかったと思います。まだ、幼さも残っています。
何時までも親に甘えることも出来ませんから、これから独り立ちして生きて行かないといけません。後2~3年は青梅にいると思うので、独り立ちしたガンジロの成長記録は撮り続けていきます。センスプロデュース研究所、葛西行彦