私が長年、野鳥との関わり合いから、多くの子供たちや大人の人たちにも「野鳥と人の関わり合い」などを主目的に指導して参りました。
以前にも、私の地元の小学校や井之頭小学校などで「野鳥教育」と題して学びの場として「特別授業」をしたことがあります。
特に2000年から段階的に薦められていた「総合的学習」では、私が武蔵野市教育委員会の特別メンバーということもあり、土曜日が多かったのですが、特別授業として、野鳥観察や環境保全、生物保護などの授業を行ったことがあります。
但し、私が現役で平日に休めなかったので、思うように依頼にお応えすることが出来ずに断念したことも幾度もありました。
私が長年の野鳥観察、数年前からは本格的な「野鳥撮影」に取り組んでいるのは、ただの趣味ではありません。
記録として残しているものです。冬の渡りの時期や植物や環境の変化などを知ることが出来るからです。
専門的には「環境指標」を野鳥から得る。知るという考え方です。
例えば、レンジャクという野鳥はヤドリギなどの実が食べ頃になるとやって来ますが、それも決まって、3月の中旬前、2月下旬から3月上旬に実が色付き、柔らかくなると捕食しに現れますが、その前に二羽とか三羽で「視察のように個体が現れます」。まさしく、そうした個体を確認すると数日後には、ヤドリギの数にも関係しますが十数羽の群れが訪れます。それもほぼ、現れる時間帯も決まっています。こうしたことを理解、生態などを熟知していれば、無駄に通いつめたり、現れるのを一日中待っている人たちも多いのですが、それは時間の無駄と言えます。
私が関東周辺で、2ヶ月で約110種類近くの野鳥の種類を確認、撮影の場合は飛翔などの確認も多いので精々、半分以下になります。
何故、私がこのように多くの野鳥を一日で確認出来るかと言うと、個体(種類)によって「好む場所(テリトリー)」を知っていること、他にも経験豊富な知識もあります。
こうしたことから、訪れた場所には、あそこへ行けばアリスイに出逢えると分かります。それも、時間帯も分かります。それは、単なる山勘などではなく、その日の天候や風の強さ、気温などを吟味し、分析して「予測します」。だから、目的の野鳥が撮影出来たりします。他にも、現代社会は情報化時代ですから、知り合いに教えて貰うことなども大切な情報源となり、環境指標の作成やその年の気候予測などにも繋がります。
今年、2023年の春は、お彼岸の頃よりも早くなり、勿論、桜の開花も昨年、例年よりも1週間ほど早くなると予測できます。こうしたことは「自然から学ぶ、知る」ことが出来ます。
私が子供たちに指導する時には、口癖のようにいう事があります。それは「自然は教科書以上のことを教えてくれる」のです。
ですから、私が子供たちや他の人たちに野鳥に関わることを指導することは、単なる野鳥好きな人たちの集まりではなく、ましてや種類を多く知る事でもありません。
また、嬉しいことにコロナ感染拡大も3年が過ぎて、そろそろマスクも外せるようになれば、野外に出たくなります。近年、コロナ感染時がピークの頃は、遠出も出来なかったこともあり、家族で近くの公園に行き、池で綺麗なブルーの鳥を見て、子供があの青い鳥になあ~にと聞かれ、困ったお父さんは、スマホでブルーの鳥と調べたら「カワセミ」だと分かり、近所にこんなに綺麗な鳥がいるんだと分かり、益々、鳥が好きになったそうです。
お子さんは、お父さんに「野鳥図鑑」と「双眼鏡」を買って貰い、毎週のように近くから、遠くの公園に行って野鳥観察しているそうです。
そうしたことは、此処、近年急増しています。ましてや子供から興味を持ち、親同伴でバードウォーチングをする人たちが急増しています。
有難いことなのですが、双眼鏡や図鑑の見方なども知らないまま、バードウォッチングを始めることは、目を悪くしたり、気持ち悪くなったりと、また、鳥が見つからないと「つまらない」と思ってしまうと、止めたくなります。
だからと野鳥の団体に参加しても、大勢で動くのでそれに指導員が一人や二人だと、子供たちにはよく分かりません。ただ、鳥を見つけて歩き廻るだけです。
そこで、私が指導員となり、子供たちにマンツーマンで、野鳥だけではなく、種類を覚えて貰うために、敢えて分かっていても教えません。持っている図鑑で調べてみようとクイズ式に教えます。
私から種類を聞いただけだと直ぐに忘れてしまいます。興味も薄れます。自分で図鑑と見比べて「これだ!」と調べることが重要なのです。
また、私は双眼鏡を使ったら、近くだったら「目の色を見て、足の色は」と尋ねます。そうすると、凄い、目が青いとか赤いなどと驚きます。感激します。そうした感動がいずれは「野鳥好き」になるのです。
私が井之頭小学校の探鳥会の講師を努めてから既に30数年が経ちますが、教えて来た子供たちは数百人になると思われます。
今年の6月に定年退職延長も半年にします。その後は山沿いの地域に引っ越す予定です。そこに一部屋を借りて「野鳥写真のアトリエ&研究所」を設立します。
同時に、本格的に「野鳥教育」の実施に取り組んで参ります。7月以降には、小学校や幼稚園、団体等から特別授業や専門的な依頼も入りそうです。
平日に休めることが良い機会となり、本格的に野鳥教育(愛護の教育)を日本に広めたいと思います。
センスプロデュース研究所、葛西行彦