千葉に在住していた頃は、現役の会社員でしたので、週末の日曜日に天気が良ければ、持ち前のカメラを持参して野鳥や昆虫の撮影に出かけていました。
但し、現在の様に本格的な撮影ではなく「確認写真」、人に魅せる写真ではなく、自己満足の写真撮影でした。だから、種類が確認出来たらそれで良かったものです。
それが、定年退職を65歳まで延長し、2年前に定年退職になり、その前、5年前には離婚して独身になったこともあり、本格的に「生き物の写真を撮りたい」と想い、持っていたカメラやレンズなどを売り払い、新たに高性能なカメラとレンズを購入し、他にも、高額なレンズを現金で購入したりとプロ級のカメラとレンズが揃いました。
後は、撮影場所が千葉では、電車やバスなどを利用しないと野鳥撮影などが難しく、交通費も馬鹿になりません。
そこで、以前にも何度か行って、撮影したことのある場所「青梅の永山公園」でした。
一層のこと青梅に引っ越そうと決意し、昨年の6月15日に引っ越した来ました。
それも、永山公園や青梅の森には、自転車で10分と近く、交通費も掛かりません。
そんなこともあり、週のうちに四日は雨が降っていなければ伺っています。
青梅の森に最初に入って撮影できた生き物が「カモシカの親子」でした。何かのご縁だと感じて、それからカモシカを一年かけて撮影し続けました。
夏場は、トンボや喋々などの昆虫、カモシカなど。冬場は野鳥を中心にカモシカなどの動物なども出逢ったら撮影しています。
青梅に引っ越してから今年の6月で一年が過ぎましたが、その間に青梅の森の生き物たちを調査も含め、撮影して来た結果、市役所に協力という形で、青梅の森の修繕や池の再生、公園緑地の修繕などの計画が前倒しに早くなりました。
また、ナラ枯れなどの朽ち木の枝落ち個所の危険性なども写真で撮影して、市役所に報告しています。例えば、大雨の翌日の被害、強風の後の樹木の被害などを生き物を探しながら森中を歩き回り、見つけては撮影して、それを翌日に報告することで、素早く対応して頂いております。
こうしたことが「青梅の森と生き物たち」を護ることに繋がっています。
また、青梅の森で一年かけて撮影して来た生き物たちの中には、青梅で初確認や希少種のトンボの撮影から、使われていない池の修繕工事を昨年、市役所にお願いして、直ぐに修繕工事が始まり、今年の3月に完成し、4月には水が入り、早速、蛙が産卵して、次にトンボ類が産卵しました。中には「クロスジギンヤンマ」などの希少なトンボが産卵確認しました。
他にも、春先に伐採依頼をして、伐採した樹木を放置してくれたお蔭で、カミキリムシやタマムシ、ミヤマクワガタ(大型)などの甲虫が十数年ぶりに確認されたなど、他にも今年は「モリアオガエル」が例年の10倍近くも数が確認できた等、青梅の森の復活に貢献いたしました。
そんな中で、昆虫や野鳥を本格的に撮影することになったのは、希少な場面や謎の生態を解明したり、希少種などを偶然に撮影したなどのことが全国的に話題になり、青梅の観光にも貢献しております。
私が写した写真の多くが「生態の解明」などにも繋がるとても貴重な写真だからです。
以前に、メジロと近くで顔と顔を合わせたら、メジロが驚いて「目玉が飛び出た瞬間」を撮影したり、今年の夏には、サンコウチョウが私の傍に40分近くもいて、メスが来るのを一緒に待っていました。途中で疲れたのか?サンコウチョウのオスが大きな口を開けて「欠伸」をしました。一見、大声で囀っているようにも見えますが、大きな口を開けて囀ることは出来ません。
人と同じで口を大きく開けたままだと声が出せないのです。
こうした野鳥の生態などは概ね知られていません。現場で観察し、洞察しないと分かりません。ましてやその機会を写真に写すことは、普通ではとても難しく、貴重なシーンなのです。
そして「写真から学べる」という事なのです。私がこの一年で、生き物たちの生態に詳しくなっただけではなく、実際に現場を見て、撮影しているのでそれが「証拠写真」となるからです。その学べるという価値は、はかり知れません。中には「学術的な見解」を覆すような写真もあります。
メジロの眼のリンクが目の周りにだけ張り付いて、それが飛び出るなどもそうです。ツミの幼鳥が獲物の骨のような物を咥えて、木の上から落として、それを覗き込んでいました。それは「疑似餌」のようにして、地面に落とすことで「骨に群がる虫たち」をいっぺんに捕食しようとする生態行動です。
ツミの親も謎の生態行動して、驚きました。幼鳥に餌を持って来たのですが、大きな木の枝に止まっているところを撮影して、驚いたのが親のツミが「枯れた大きな枝」を左足で押えていました。どうしてだろうと思っていたら、ツミの親が枯れ枝を嘴で突いて、中にいる虫を啄み、それを幼鳥に上げようとしていたのです。そんなことを知らない幼鳥は、親のツミの傍にも来ませんでした。
ツミは、昆虫なども捕食すると言われていましたが、まさかキツツキのように、木の中にいる虫を啄むことは知りませんでした。
また、疑似餌のようなこともすることも、撮影して分かりました。
こうしたことは、専門家の人たちでも分からないかも知れません。私は現場で直接、見て理解し、撮影して証拠を残しているからです。
こうして、写真撮影しながら学ぶことが沢山あります。ただ、趣味で撮影している分けではありません。「写真撮影しながら(社会貢献)」しているということになります。
センスプロデュース研究所、葛西行彦