高揚期のあとに恐怖 香山リカのココロの万華鏡
記事:毎日新聞社 提供:毎日新聞社【2007年8月28日】
香山リカのココロの万華鏡:高揚期のあとに恐怖 /東京那覇空港で爆発炎上した中華航空機。一歩間違えば大惨事になるところだったが、乗客全員が命を落とさずにすんだのは不幸中の幸いであった。
記録されている映像を見ると、乗客たちが脱出シューターで機外に出て、安全な場所を求めて走っているまさにその背後で、大爆発が起きている。その場にいた人にとっては、文字通り、生きた心地がしなかったであろう。
朝青龍の診断名のひとつであった「急性ストレス障害」は、まさにこのような経験の後にこそ起きやすい。生命の危険にさらされるような災害や事故に巻き込まれた人が、そのあとショック状態に陥ったり激しい不安や動揺、不眠を呈する、というものだ。
気をつけなければならないのは、こういった心の後遺症は災害や事故の直後からすぐに始まるとは限らない、ということ。たとえば中華航空機の事故の場合でも、無事に逃げのびてから数日間は、むしろ助かった喜びから気持ちが高揚することもある。まわりの人たちの「本当によかった」「奇跡としか言いようがない」といった祝福が、さらに興奮を高める結果となる。「ありがとう!」と笑顔で応じる人を見たら、家族や知人も「これで大丈夫」と安心してしまうだろう。
ところが、その高揚期のあとに、大きな恐怖や不安が襲ってくる場合が少なくないのだ。安堵(あんど)の気持ちが一段落した頃(ころ)、突然、事故の記憶が生々しくよみがえる。そのときの映像、音、においまでがリアルに迫ってきて、全身がガクガク震え出す……。これが「急性ストレス障害」だ。そのまま放置しておくと、トラウマによる深刻な後遺症、いわゆるPTSDにまで発展してしまうこともある。そして、ストレス障害やPTSDが起きるかどうかには、大きな個人差があるのも事実。
あれだけの事故になれば、ひとりひとりに対して長く心のケアを続ける必要がある。そう考えると、中華航空側がいち早く乗客たちに見舞金を送ったり賠償額を提示したりしているのは、やはりちょっとおかしいと言わざるをえない。もう少し経過を見なければ、本当の意味で乗客がどれくらいの“傷”を負ったのかは、わからないからだ。
もっと言えば、テレビであの爆発シーンを見て「もう飛行機には乗りたくない」と思った人も、“プチトラウマ”を受けたと考えられる。ただしその場合は、友だちに話を聞いてもらう、などしてセルフケアを心がけるだけで十分、回復するであろう。
人がストレスを感じると脳内ではストレスホルモン(カテコールアミンとコルチゾールという2つの副腎皮質ホルモン)が分泌されます。
これらの副腎質ホルモンが異常に分泌されると、「不安」「恐怖」などのノルアドレナリンが分泌され、極度の場合は「急性ストレス障害」などに疾患することがあります。
私の知人の妹さんの旦那さんが地下鉄でサリン事件に遭遇し、幸い症状は軽かったが、心配のあまり「ストレス障害」からパニック障害を発症し、地下鉄、JRの電車は勿論、狭い車の車内に乗るのも恐怖でパニックを起こし、酷い場合は、手足に汗をかき、顔面蒼白に成り、嘔吐を繰り返したりするのである。
症状はよくなっているが、未だに地下鉄には乗れないのである。
何より、周りの人達の理解を得ることが出来ず、私の知人の妹さんも一方的に旦那さんの方から離縁されてしまったのである。
ストレス障害やパニック障害など様々な心理障害には、薬の服用とカウンセラーを中心に診察を行うが、個人差もあり、すぐに改善する人や何年経っても改善が見られない人も沢山おられます。
周りの人達も正しい知識と理解を示して貰い、決してわがままや身体的な異常が無いからと誤解をしないで欲しいのです。
本人で無ければ分からない辛さがあり、例え親子でも発する言葉がわがままや贅沢に聞こえるかも知れないのです。
ですから、長期的になると親子ケンカや夫婦ケンカも絶えないので、トラブルにもなるのです。
私は恒に皆様に言っているのは「ストレス障害」や「パニック障害」などは「心理的病」であり、精神障害や脳の病気ではないということである。
最近、日本では飛行機事故、JRの脱線事故、殺人事件、女性に対するセクハラ行為など多発しております。
これら心理的な病気に対して、日本のカウンセラーの専門医が極端に不足しており、対応が出来ない状態になっているのである。
そこで、私共は近年中に構想している「医学薬科大学」病院の設立も構想しているが、これらの施設で心理学に力を入れ、心理カウンセラーの育成に取り組みたいと考えている。
多くの人達がストレス社会で苦しみ悩んでいる現状を皆様にも是非、ご理解頂きたいと思います。
五感教育研究所、主席研究員、荒木行彦、
記事:毎日新聞社 提供:毎日新聞社【2007年8月28日】
香山リカのココロの万華鏡:高揚期のあとに恐怖 /東京那覇空港で爆発炎上した中華航空機。一歩間違えば大惨事になるところだったが、乗客全員が命を落とさずにすんだのは不幸中の幸いであった。
記録されている映像を見ると、乗客たちが脱出シューターで機外に出て、安全な場所を求めて走っているまさにその背後で、大爆発が起きている。その場にいた人にとっては、文字通り、生きた心地がしなかったであろう。
朝青龍の診断名のひとつであった「急性ストレス障害」は、まさにこのような経験の後にこそ起きやすい。生命の危険にさらされるような災害や事故に巻き込まれた人が、そのあとショック状態に陥ったり激しい不安や動揺、不眠を呈する、というものだ。
気をつけなければならないのは、こういった心の後遺症は災害や事故の直後からすぐに始まるとは限らない、ということ。たとえば中華航空機の事故の場合でも、無事に逃げのびてから数日間は、むしろ助かった喜びから気持ちが高揚することもある。まわりの人たちの「本当によかった」「奇跡としか言いようがない」といった祝福が、さらに興奮を高める結果となる。「ありがとう!」と笑顔で応じる人を見たら、家族や知人も「これで大丈夫」と安心してしまうだろう。
ところが、その高揚期のあとに、大きな恐怖や不安が襲ってくる場合が少なくないのだ。安堵(あんど)の気持ちが一段落した頃(ころ)、突然、事故の記憶が生々しくよみがえる。そのときの映像、音、においまでがリアルに迫ってきて、全身がガクガク震え出す……。これが「急性ストレス障害」だ。そのまま放置しておくと、トラウマによる深刻な後遺症、いわゆるPTSDにまで発展してしまうこともある。そして、ストレス障害やPTSDが起きるかどうかには、大きな個人差があるのも事実。
あれだけの事故になれば、ひとりひとりに対して長く心のケアを続ける必要がある。そう考えると、中華航空側がいち早く乗客たちに見舞金を送ったり賠償額を提示したりしているのは、やはりちょっとおかしいと言わざるをえない。もう少し経過を見なければ、本当の意味で乗客がどれくらいの“傷”を負ったのかは、わからないからだ。
もっと言えば、テレビであの爆発シーンを見て「もう飛行機には乗りたくない」と思った人も、“プチトラウマ”を受けたと考えられる。ただしその場合は、友だちに話を聞いてもらう、などしてセルフケアを心がけるだけで十分、回復するであろう。
人がストレスを感じると脳内ではストレスホルモン(カテコールアミンとコルチゾールという2つの副腎皮質ホルモン)が分泌されます。
これらの副腎質ホルモンが異常に分泌されると、「不安」「恐怖」などのノルアドレナリンが分泌され、極度の場合は「急性ストレス障害」などに疾患することがあります。
私の知人の妹さんの旦那さんが地下鉄でサリン事件に遭遇し、幸い症状は軽かったが、心配のあまり「ストレス障害」からパニック障害を発症し、地下鉄、JRの電車は勿論、狭い車の車内に乗るのも恐怖でパニックを起こし、酷い場合は、手足に汗をかき、顔面蒼白に成り、嘔吐を繰り返したりするのである。
症状はよくなっているが、未だに地下鉄には乗れないのである。
何より、周りの人達の理解を得ることが出来ず、私の知人の妹さんも一方的に旦那さんの方から離縁されてしまったのである。
ストレス障害やパニック障害など様々な心理障害には、薬の服用とカウンセラーを中心に診察を行うが、個人差もあり、すぐに改善する人や何年経っても改善が見られない人も沢山おられます。
周りの人達も正しい知識と理解を示して貰い、決してわがままや身体的な異常が無いからと誤解をしないで欲しいのです。
本人で無ければ分からない辛さがあり、例え親子でも発する言葉がわがままや贅沢に聞こえるかも知れないのです。
ですから、長期的になると親子ケンカや夫婦ケンカも絶えないので、トラブルにもなるのです。
私は恒に皆様に言っているのは「ストレス障害」や「パニック障害」などは「心理的病」であり、精神障害や脳の病気ではないということである。
最近、日本では飛行機事故、JRの脱線事故、殺人事件、女性に対するセクハラ行為など多発しております。
これら心理的な病気に対して、日本のカウンセラーの専門医が極端に不足しており、対応が出来ない状態になっているのである。
そこで、私共は近年中に構想している「医学薬科大学」病院の設立も構想しているが、これらの施設で心理学に力を入れ、心理カウンセラーの育成に取り組みたいと考えている。
多くの人達がストレス社会で苦しみ悩んでいる現状を皆様にも是非、ご理解頂きたいと思います。
五感教育研究所、主席研究員、荒木行彦、