ミソサザイ(鷦鷯、三十三才、学名 Troglodytes troglodytes (Linnaeus, 1758))は、スズメ目ミソサザイ科ミソサザイ属に分類される鳥類の1種。
分布
ヨーロッパ、アフリカ北部、西アジア、中央アジアからロシア極東部、東南アジア北部、中国、台湾、朝鮮半島、日本にかけてと、北アメリカ西部および東部で繁殖し、北方で繁殖した個体は冬季南方へ渡る。
日本では留鳥として、大隅諸島以北に周年生息している。亜高山帯〜高山帯で繁殖するとされているが、亜高山帯には属さない宮崎県の御池野鳥の森では繁殖期にも観察されており、繁殖していると思われる。
繁殖期の一部の個体は、秋〜春先にかけては低山帯や平地に降りて越冬する(漂鳥)。
形態[編集]
全長が約11 cm、翼開長が約16 cm。体重7-13g。和名のサザイは、古くは「小さい鳥」を指す「さざき」が転じた。また溝(谷側)の些細の鳥が訛ってミソサザイと呼ばれるようになったとする説がある。全身は茶褐色で、体の上面と翼に黒褐色の横斑が、体の下面には黒色と白色の波状横斑がある。雌雄同色である。体つきは丸みを帯びており、尾は短い。よく短い尾羽を上に立てた姿勢をとる。
生態
日本の野鳥の中でも、キクイタダキと共に最小種の一つ。常に短い尾羽を立てて、上下左右に小刻みに震わせている。属名、種小名troglodytesは「岩の割れ目に住むもの」を意味する。
茂った薄暗い森林の中に生息し、特に渓流の近辺に多い。単独か番いで生活し、群れを形成することはない。繁殖期以外は単独で生活する。
この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。
早春の2月くらいから囀り始める習性があり、平地や里山などでも2月頃にその美しい囀りを耳にすることができる。小さな体の割には声が大きく、高音の大変に良く響く声で「チリリリリ」とさえずる。また地鳴きで「チャッチャッ」とも鳴く。同じような地鳴きをするものにウグイスがいるが、ウグイスの地鳴きと比べて明らかに金属的な鋭い声で「ジジッ」と聞こえる。ミソサザイの地鳴きを聞いたことがある人なら、聞き間違えることはないほどの相違点がある。秋〜早春、場所によっては両種が同じ環境で生活しているため、初めて聞く人にとって、両種の特定には注意が必要である。
繁殖形態は卵生。繁殖期は5-8月で、4-6卵を産む。抱卵日数は14-15日、16-17日で雛は巣立つ。一夫多妻制でオスは営巣のみを行い、抱卵、育雛はメスが行う。
『日本書紀』仁徳天皇元年条に、仁徳天皇がオオサザギノミコトと命名されたいきさつが書かれている。オオサザギはミソサザイのことで、『文選』(もんぜん)巻十三に詳しい生態が描かれているという。
日本の民話の中でも「ミソサザイは鳥の中の王様」と言われています。
私が好きなミソサザイの民話の中で、ミソサザイの羽の色は「こげ茶色」なのは何故?という民話があります。
昔は、ミソサザイも綺麗な色の鳥でした。ある時、山火事が起きて鳥の仲間が森に残されてしまいました。鷹やキツネも火が怖くて助けて行きません。そこで、身体は小さいけれど、鳴き声が他の鳥たちより大きいので助けに行くと、山火事の中に飛び込んでいき、綺麗な羽色は「焦げて」しまいました。
それ以降、ミソサザイの羽色は「焦げ茶色」になったという神話です。
ミソサザイは、警戒心も強く、人の足音がしただけで逃げてしまいます。冬場の鳴き声も、地鳴きの「「チャッチャッ」と鳴きます。姿も鳴き声も地味な鳥ですが、よく観察すると羽色は焦げ茶色でも、羽の模様は綺麗です。そして、2月頃からは小さな体の割には声が大きく、高音の大変に良く響く声で「チリリリリ」と囀ります。
とても癒される鳴き声です。