匂いの識別困難は軽度認知障害の前兆となる可能性
提供:Medscape Susan Jeffrey Medscape Medical News
【7月9日】嗅ぎ慣れた匂いの認識が困難な高齢者は後に軽度認知障害(MCI)を発現する可能性があることが研究により示されている。この結果は『Archives of General Psychiatry』2007年7月号に発表されている。
「このことは、嗅ぎなれた匂いの識別や認識の困難がアルツハイマー病(AD)のごく早期の徴候であることを示していると思われる。そして、この識別困難は、確かにADの初期徴候と考えられる認知障害に先立って現れる可能性がある」と筆頭著者であるラッシュ大学医療センター附属ラッシュアルツハイマー病センター(イリノイ州、シカゴ)のRobert S. Wilson, PhDはMedscapeに話している。
「この手法を用いれば、軽度認知障害や発病段階のADに伴う記憶および認知に関する悲惨な問題を発現前でも早期発見できることが示唆される」。
早期の警告信号か?
ADにより最初に障害される脳領域は嗅覚中枢であることが最近では知られてきている、とWilson博士は述べている。この研究において、Wilson博士らは、ベースライン時に認知スコアが正常であった被験者において匂い識別障害がMCI発現に先立って現れるとの仮説を検定した。
この研究の被験者は1997年の時点で認知障害のない平均年齢79.9歳の地域住民589名であった。 被験者には同時点でBrief Smell Identification Test(簡易匂い識別検査)を用いて検査を実施した。この検査は、レモン、バラ、黒コショウ、タマネギなど12種類の嗅ぎ慣れた匂いを認識する個人の能力を評価するものであり、標準化された市販ツールである。
この被験者集団の平均スコアは9.3(±1.9)であった。これより若年者で同検査をすれば間違いはわずか1項目であることが予想されるとWilson博士は指摘している。「研究開始時点では、平均スコアは約2-3項目の間違いであったが、被験者のほぼ4分の1は若年者に期待されるように0ないし1項目で間違いをしていた。しかし、ほぼ4分の1の被験者は4項目以上の間違いをしており、問題があることが示唆される」とWilson博士は述べている。
次に、被験者を5年間という長期にわたり年1回の臨床評価により追跡した。追跡調査中に、177例(30.1%)がMCIを発現した。
年齢、性別、学歴について補正後、匂い識別スコアは相対リスク1.15でMCIを予測した(95%信頼区間[CI] 1.07-1.23)。スコアが平均(12項目中8項目が正解、25パーセンタイル)以下であった人たちは、MCIのリスクが12項目中11項目正解(75パーセンタイル)した人たちより50%高かった。
さらに、ベースライン時点での認知機能または機能障害の程度、脳卒中の有無、喫煙状況について補正した解析、またMCIについて1年以上の持続を要件とした解析においても、結果が大きく変わることはなかった、と同著者らは付け加えている。
「匂い識別障害は、ベースライン時の総合認知の低レベルとも関連するほか、エピソード記憶、意味記憶、および知覚速度の急速な低下とも関連した」とWilson博士らは記している。
Wilson博士らの知見は、匂いの識別困難がMCIからADへ移行することを予測するのみでなく認知正常からMCIへの移行も予測することを示すことによって、これまでの研究を前進させたと同博士らは記している。
現在開発中の新薬は、老人斑の主要構成分子であり、脳に蓄積する異常蛋白質のひとつのアミロイドをターゲットにしていることから、この知見は重要である、とWilson博士は結論している。「これらの薬剤が、我々の期待通り、疾患修飾効果(disease-altering effect)を持ち、同疾患の進行を遅らせることができるとすれば、同疾患を発現するリスクがあるが、いまだ手足の機能障害(crippling symptoms)が認められない人々を特定することは極めて重要である。この非常に早期の段階で人々を特定するのに嗅覚検査が重要であるというのが我々の見解である」。
しかし、匂い識別困難は、他の神経疾患、特にパーキンソン病にも関連している、と同著者らは付け加えている。「年齢に関連する嗅覚機能障害について、さらに臨床病理学的および臨床放射線学的研究が必要である」。
この研究は、米国立加齢研究所(NIA)およびイリノイ州公衆衛生局による助成金の援助を受けた。この論文の著者らは関連する金銭的関係はないことを開示している。
これらの匂い識別困難の研究は、米国立加齢研究所(NIA)が行ったものだが、私共の研究でも同様の事例がある。
嗅覚に関わらず、味覚(味)の認識(識別)能力の低下、聴覚でも識別能力の低下で脳全体の低下が予想されるのである。
これら要因によって、軽度の認知症などの前兆などを知ることも可能なのである。
だが、本人がなかなかこれらの異常や前兆に気づかないのである。
歳だから仕方がない、感覚も衰えてあたりまえなどと思考すると思い違いをしてしまうことが有るのです。急激に五感(感覚)が衰えた、認識が鈍く成ったなどと感じたら、専門医に相談され、また、認知症など心配な方々は病院の「物忘れ外来」という脳神経内科に外来し、専門医に相談されることである。
また、五感などの外来には最近、五感診断などの専門病院も現在ありますので、検査や相談されることで悩みや痛みなどの改善に繋がるはずである。
私達の五感は脳のバロメータでもあり、五感が急激に衰えたとか喩和漢を感じるなどの場合は、検査など行うことで、未然に病気の予防など繋がることを私から提唱致します。
五感教育研究所、主席研究員、荒木行彦
提供:Medscape Susan Jeffrey Medscape Medical News
【7月9日】嗅ぎ慣れた匂いの認識が困難な高齢者は後に軽度認知障害(MCI)を発現する可能性があることが研究により示されている。この結果は『Archives of General Psychiatry』2007年7月号に発表されている。
「このことは、嗅ぎなれた匂いの識別や認識の困難がアルツハイマー病(AD)のごく早期の徴候であることを示していると思われる。そして、この識別困難は、確かにADの初期徴候と考えられる認知障害に先立って現れる可能性がある」と筆頭著者であるラッシュ大学医療センター附属ラッシュアルツハイマー病センター(イリノイ州、シカゴ)のRobert S. Wilson, PhDはMedscapeに話している。
「この手法を用いれば、軽度認知障害や発病段階のADに伴う記憶および認知に関する悲惨な問題を発現前でも早期発見できることが示唆される」。
早期の警告信号か?
ADにより最初に障害される脳領域は嗅覚中枢であることが最近では知られてきている、とWilson博士は述べている。この研究において、Wilson博士らは、ベースライン時に認知スコアが正常であった被験者において匂い識別障害がMCI発現に先立って現れるとの仮説を検定した。
この研究の被験者は1997年の時点で認知障害のない平均年齢79.9歳の地域住民589名であった。 被験者には同時点でBrief Smell Identification Test(簡易匂い識別検査)を用いて検査を実施した。この検査は、レモン、バラ、黒コショウ、タマネギなど12種類の嗅ぎ慣れた匂いを認識する個人の能力を評価するものであり、標準化された市販ツールである。
この被験者集団の平均スコアは9.3(±1.9)であった。これより若年者で同検査をすれば間違いはわずか1項目であることが予想されるとWilson博士は指摘している。「研究開始時点では、平均スコアは約2-3項目の間違いであったが、被験者のほぼ4分の1は若年者に期待されるように0ないし1項目で間違いをしていた。しかし、ほぼ4分の1の被験者は4項目以上の間違いをしており、問題があることが示唆される」とWilson博士は述べている。
次に、被験者を5年間という長期にわたり年1回の臨床評価により追跡した。追跡調査中に、177例(30.1%)がMCIを発現した。
年齢、性別、学歴について補正後、匂い識別スコアは相対リスク1.15でMCIを予測した(95%信頼区間[CI] 1.07-1.23)。スコアが平均(12項目中8項目が正解、25パーセンタイル)以下であった人たちは、MCIのリスクが12項目中11項目正解(75パーセンタイル)した人たちより50%高かった。
さらに、ベースライン時点での認知機能または機能障害の程度、脳卒中の有無、喫煙状況について補正した解析、またMCIについて1年以上の持続を要件とした解析においても、結果が大きく変わることはなかった、と同著者らは付け加えている。
「匂い識別障害は、ベースライン時の総合認知の低レベルとも関連するほか、エピソード記憶、意味記憶、および知覚速度の急速な低下とも関連した」とWilson博士らは記している。
Wilson博士らの知見は、匂いの識別困難がMCIからADへ移行することを予測するのみでなく認知正常からMCIへの移行も予測することを示すことによって、これまでの研究を前進させたと同博士らは記している。
現在開発中の新薬は、老人斑の主要構成分子であり、脳に蓄積する異常蛋白質のひとつのアミロイドをターゲットにしていることから、この知見は重要である、とWilson博士は結論している。「これらの薬剤が、我々の期待通り、疾患修飾効果(disease-altering effect)を持ち、同疾患の進行を遅らせることができるとすれば、同疾患を発現するリスクがあるが、いまだ手足の機能障害(crippling symptoms)が認められない人々を特定することは極めて重要である。この非常に早期の段階で人々を特定するのに嗅覚検査が重要であるというのが我々の見解である」。
しかし、匂い識別困難は、他の神経疾患、特にパーキンソン病にも関連している、と同著者らは付け加えている。「年齢に関連する嗅覚機能障害について、さらに臨床病理学的および臨床放射線学的研究が必要である」。
この研究は、米国立加齢研究所(NIA)およびイリノイ州公衆衛生局による助成金の援助を受けた。この論文の著者らは関連する金銭的関係はないことを開示している。
これらの匂い識別困難の研究は、米国立加齢研究所(NIA)が行ったものだが、私共の研究でも同様の事例がある。
嗅覚に関わらず、味覚(味)の認識(識別)能力の低下、聴覚でも識別能力の低下で脳全体の低下が予想されるのである。
これら要因によって、軽度の認知症などの前兆などを知ることも可能なのである。
だが、本人がなかなかこれらの異常や前兆に気づかないのである。
歳だから仕方がない、感覚も衰えてあたりまえなどと思考すると思い違いをしてしまうことが有るのです。急激に五感(感覚)が衰えた、認識が鈍く成ったなどと感じたら、専門医に相談され、また、認知症など心配な方々は病院の「物忘れ外来」という脳神経内科に外来し、専門医に相談されることである。
また、五感などの外来には最近、五感診断などの専門病院も現在ありますので、検査や相談されることで悩みや痛みなどの改善に繋がるはずである。
私達の五感は脳のバロメータでもあり、五感が急激に衰えたとか喩和漢を感じるなどの場合は、検査など行うことで、未然に病気の予防など繋がることを私から提唱致します。
五感教育研究所、主席研究員、荒木行彦