墓じまい(1/4)

2015-12-14 00:00:00 | 市民A
父親が亡くなってから、夏の終わりで1年経ち、一周忌を出身地で行うことになった。おおた家の祖先は、菩提寺の過去帳によれば、1707年に始まり、私で9代目ということになっている。1707年と言えば、富士山が最後の噴火をした年だ。

子孫に残すべき重要な伝言は、本来、紙と文字とで残すべきところを、伝言ゲームで行っていたため、不明確の極みだが、元々地方都市で海産物問屋をやっていて、ある時に、貯めたお金で農地を買って地主業に転向したといわれている。ある時というのが初代なのか、それより後なのか不明で、さらに神主もやっていたらしいが、途中で不始末があって、仏教に変わったとも言われる。海産物問屋は「山形屋」というそうだが、それでは有名な「山形屋」とはどういう関係なのかといわれても、たぶん関係ないだろうというしかない。

パズルのピースが少な過ぎて江戸時代のことは何も組み立てられない。

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といっても、要するに今では過疎地に近い山奥に地区の共同墓地があって、先祖様の墓参りをすることは極めて困難だし、日頃の管理も不可能だ。現に、いくつかの家の墓地は清掃が行われているが、不在の方や家が絶えた墓は荒れ果てたまま残されている。跡取りが戦死した墓地もまもなく放置状態になるはずだ。それでも墓地管理上問題がないのは、今後その地区で人口が増えることは考えられないので、新しい墓地を確保する必要がないからだが、荒れ果てた墓地は、いかにもまずいだろう。

さらに、祖先はどのような墓を作っていたかというと、いわゆる夫婦墓(めおとはか)で、一世代で一基ずつ立てている。両親も健在の頃に早々と作っていて、とりあえず昨年の納骨の時には、関東で火葬し、関西風の小さな六寸壺(直径18センチ)に収め、墓石の下(カロート)に収めている。

となると、私が9代目なのだから8基あるはずなのに、困ったことに11基も立っている。神道式の供養塔と仏式の供養塔が1本ずつあり、さらに身元不明の方の小さな地蔵が一基。幼児の頃に亡くなった方のように感じるのだが、伝承では住み込みの使用人の方が家の二階から転落して亡くなったということなのだが、使用人にも実家があるのだし、ここに埋めるとは考えにくい。結局、謎のままとなるのだが。

ということで、行く手に色々と問題があるとは思うものの、関東に移動し、全部まとめて一基のおおた家の墓にしよう、と基本方針を立てることにした。といっても、こういうことの知見はゼロなので、雑誌やネットで調べると、いくつかの基本的な事項に様々な障害があることがわかる。新しい墓地を契約して、現在の墓地から何本かの新しそうな石をレンタカーで運んで、コツコツ自分で削り直して穴の上に置くなんてことには絶対ならないわけだ。

デパートの屋上に、あの顔が

2015-12-13 00:00:20 | 美術館・博物館・工芸品
町の中に芸術があるという表現は、ある意味人工的に作られた倉敷の町並みとか、島中がアートと言う瀬戸内海の直島のような場所にふさわしいが、これは何と言うのだろう。

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横浜そごうの屋上にあるのは、岡本太郎氏の顔。三つの太陽の顔がある。喜び、悲しみ、怒りだろうか。表情はそういう感じだ。

一応、階下のそごう美術館を観たあと岡本太郎も無料でみることができる。いや、美術館に行かなくても誰でも無料で見ることができる。高いレストランで食事をしなくても、彫刻をみながら持込弁当を食べることができる。

007シリーズの映画を大量に観すぎたせいか、こういう場所でスパイが情報交換することが多いということに気付く。風の強い日に屋上で秘密書類を風で飛ばされてしまうスパイとか映画的だ。

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もちろん、現在はこの周りに高い建物が立ち並んでいて、スパイの集合場所としてはもっとも不適切となっている。

将棋道場もデジタル賭場化したらどうだろう

2015-12-12 00:00:18 | しょうぎ
思えば、1年近く将棋を指していない。春の職団戦以来のような気がする。さらにネット将棋も面倒でやっていない。どうもパソコンに向かうと、作りかけて放置している詰将棋の問題を読み込んで、あれこれやってみるが、経験的には、10日に一回ぐらい好調な日があって、未完成放置問題をまとめて完成品にしている。といっても凡作が溜まるだけかもしれない。

思うに、将棋道場も巨大化して、パチンコ業界の様にデジタル化して、適度な強さのソフトと対戦するとかいいのではないだろうか。勝ったら1000ポイントとか王手飛車500ポイントとか、トン死勝は倍付けとか。ポイントを駒に換算して交換所に行くと、王将が1万円、金将が1000円、と金が100円とか買取ってもらえるとか。




今週の問題。

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狭い場所で細かい手順だが、それなりにおおた流。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数と酷評を記していただければ、正誤判断。

羅生門の観察眼

2015-12-11 00:00:06 | 市民A
日経新聞の一面コラム「春秋」(朝日新聞であれば「天声人語」のようなコラム)の12月9日号を読んで一言言いたくなった。

京都の本来の玄関であった羅生門(羅城門)について、こきおろしていた。

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どうも、今年が芥川龍之介が小説「羅生門」を書いてから100年だそうで、その冒頭の前ふり部分で、「羅生門=行ってガッカリ名所」と書いてある。

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現在の羅生門について、往時に比べあまりにもみじめな現状を批判していた。なにしろ今は児童公園なのだ。

実は、そういう状態であることを前提に観に行ったことがある。他にも探して観に来ている方もいたのだが、別にガッカリという風じゃなかった。歴史上の有名な場所が、その後普通の場所に変わるということはよくあることで、そこに世の無常を感じる人もいる。

羅生門が荒廃した最大の理由は、京都という都市が、思ったような巨大都市にならず、わずかに設計より下回る規模になったため、町の入口周辺が空白地となりスラム化したのだろうと思う。

さらに言うと、近くの東寺は塔で有名だが、並び立つはずの西寺は復元されなかった。

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個人的には、その周辺にはネギ畑があり、有名な「九条葱」が栽培されていた。京都九条の野菜畑の方に、営々と流れる京都の民の胃袋の歴史を見つけ、感動したことを思い出した。

観光地の復元遺跡に感動するのも一興ではあるが、存在すべき場所に実在しない幻想を観る心風景こそ旅の極意ではないだろうか。

さば缶の差(7×L)

2015-12-10 00:00:24 | あじ
缶詰に凝っていて、代表的な缶詰である、「サバの味噌煮」について、セヴンとローソンのPB商品を比べてみた、と書くと研究テーマみたいだが、ストックの整理をしたら、両方でてきた。

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そして、すぐに気付くのが缶の天板の表示がまったく同じこと。さらに缶も印刷されている内容を除くと、同じ。つまり、どちらもマルハニチロ社製である。

では、セヴンもローソンも同じものを売っているのだろうか。


まず、表示だが、セヴンは、『国産さばみそ煮』。ローソンは『さばみそ煮』となっていて、別途「国産さば使用」となっている。

国語的に言うと、「国産さば味噌煮」と書くと、さばが国産なのか、さばの味噌煮という製品が国産なのかよくわからない。国産のさばを海外で味噌煮にしたり、海外のさばを国内で味噌煮にしても構わないような気がする。

「さば味噌煮」+「国内さば使用」という方が具体的だが、「国内さばのみ使用」なのか、「国内さばも使用」なのか不明だ。そもそも「国内さば」といっても養殖ではないだろうから、少しあいまいな部分は残るだろう。

考え始めると、味噌のオリジナル生産国すらよくわからなくなる。

次に内容物だが、実は差がある。わかりにくいのだが、表示された内容成分のこと。実は、セヴンは缶詰1個(190グラム)あたりの表示で、ローソンは100グラムあたりの表示だ。まるで、比較されないようにしているような気がする。

ということで、ゼヴンの表示を1.9で割り算して100グラムあたりにすると、

 エネルギー  (7:172/L:186)
 タンパク質  (7:16.4/L:15.9)
 脂質     (7:8.6/L:10.0)
 炭水化物  (7:7.2/L:8.1)
 ナトリウム  (7:494/L:687)
 塩分換算  (7:1.26/L:1.7)

ということになる。つまりセヴンは、減塩味噌を使っているのだろうと推測できるのである。そのあたりが付加価値の付け方の違いなのだろうか。

ところで、細かなところに行き届いたセヴンだが、このサバ缶商法には、一つの欠陥がある。商品ディスプレーの点だが、店頭の棚に、サバ缶二つを重ねておくと、棚の上下の隙間が缶詰2個分とぴったりで、さらに地震発生時に棚から物がこぼれ落ちないように棚の手前がちょっと上を向いているので、棚の前から簡単には商品を取り出せないのである。

パズルや知恵の輪のように周囲の商品の入れ替えをして5分ほど格闘しなければならない。

もしも売り上げがイマイチだったら廃番商品にする前に缶詰の高さを大きくするか小さくするかした方がいい。サバ缶専用の特設台をつくるほどではないと思う。

スペクター(映画)

2015-12-09 00:00:09 | 映画・演劇・Video
007シリーズ24作目。12月4日に公開され、比較的すぐ観ることになった。これで番外編の一作を除き、全部観終わる。今回でダニエル・クレイグはボンド役を引退。代々のボンドの中で最も悪党顔で、すぐに銃を撃ったり、街を破壊したりする。

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前回同様に世界征服を狙う犯罪国家との対決ではなくボンドの身の回りの人間たちによる抗争事件を扱っている。

いきなり無許可で暴れてライセンスを取り上げられるというのは、シリーズの中でも数作あったようだ。

すでに出始めているネット上の評判は、必ずしもいいとは思えない(シリーズ最低とか)が、特に前回作(スカイフォール)との関連を知っておいた方が楽しめるかもしれない。あとはショーン・コネリー時代の作のオマージュも考えられる。長距離列車の中の格闘とかだ。

映画の最後で、ボンドはスパイから足を洗うつもりになるが、そうなるとシリーズの最終回ということになってしまう。

そして、シリーズではお決まりなのだが、映画が終わったあとにダラダラと続くエンドロールの最後に、観客へのメッセージが登場するのだが、こうなっていた。

 JAMES BOND WILL RETURN.

どちらかというと、もっと怖くないのが、いいのですけど。3年後に英国の敵というと、どの国を犯罪国家にするのだろうか。

冒頭のメキシコの「死者の日」のパレードシーン。市民が死者(骸骨・スケルトン)に扮して盛り上がるのだが、日本(東京)で撮影するならハロウィーンの渋谷ではないだろうか。

リシン毒殺未遂事件

2015-12-08 00:00:11 | 市民A
栃木県で起きた元自衛官の妻(33)が、現職自衛官の夫にトウゴマから精製したリシンを焼酎に混ぜ込んで殺害を図った事件だが、腑に落ちないことが多い。

奇抜な事件で、リシン以前にも何らかの毒を焼酎にまぜて夫を対象不良に追い込んだものの、成功に至らなかったことでさらに別居中の夫宅に忍び込んで焼酎の中に混ぜたようだ。

この女だが、こども用のカードの販売店を始めたもののうまくいかないで閉店したそうだ。店の名前が「あんしん堂」というらしく、いかにもおかしい。

原料のトウゴマを偽名で買おうとしたところから足が付いたようだが、精製法はどこで知ったのだろうか。簡単らしいがよくわからない。自分で精製したものなら純度が不正確になるだろうに、致死量までは混ぜなかったという証言からみると、かなり専門的なのかもしれない。自衛隊には2年ほど在籍しているようで、そこで覚えたのだろうか。自衛に必要なのは解毒法で、精製法を覚えるのはおかしい。自衛隊は生物兵器の生産まで研究しているのだろうか。

KGBが暗殺に使ったのも有名である。

しかし、夫がなくなると生命保険と遺族年金の二つのメリットがあるという絶対的合理性が事件をひき起こしたのだろうが、これだけ奇妙なことの多い事件の中に、いかにももっともな理由があるということが、少し割り切れない。

国家の命運(薮中三十二著)

2015-12-07 00:00:25 | 書評
外務政務次官であった薮中三十二氏の経験を基にした回顧録的な書である。外務省に入省したところからの偶然や、外交官としての活動の初期は、もっぱら米国との難交渉が続いたこと。

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本当に経済戦争を平気で起こそうとしていた米国のわがままとの交渉の裏側で、日本流の「いわれてから考える」「自分からは動かない」といった交渉の、必然性などが書かれている。その一部は外交交渉で失敗したのが戦争に突入し敗北した理由と考えられているからだ。

最近の情勢では六ヶ国協議の行き詰まりの現状を分析。北朝鮮流の外交のやりにくさなどである。

それにしても本のタイトルは、書かれている内容よりもかなり過激である。おそらくは外交交渉の失敗で日本が戦争に突入していったというトラウマがあるのだろう。ガラパゴスなのは、携帯電話よりも外交交渉なのではないだろうか。

TOKUGAWA IEYASU

2015-12-06 00:00:16 | 美術館・博物館・工芸品
羽田空港美術館(第二ターミナル)で開催中の「TOKUGAWA IEYASU」に。
展覧会の名前が、個人名というのはスゴイ。というのも、家康は信長とか秀吉とかと比べ、美的感覚が異なり、まあ天下人として引き継いだ国宝的な物を除き、趣味が渋いというか渋すぎる。自分で調合していた漢方薬の調剤セットを見たことがある。

一方、この美術館をずっと使って収集品の陰干しをしていた細川家の永青文庫は金色づくめであるが、さすがに徳川美術館のお宝となるとさすがなものが登場。むしろ美術と言うよりも歴史だ。

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まず、実際に使っていた兜が登場。色々な映画で見る家康は頭でっかちというイメージだが、実物の兜をみると、けっこうコンパクトだ。頭は小さかったということだ。

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さらに、家康が秀吉と対局したといわれる碁盤が出展されている。碁石は以後のものだ。囲碁については詳しくはないが、その二人は何回ぐらい戦ってどちらが強かったのだろう。もちろん家康は勝ちそうになるとワザと負けたのだろうが。

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さらに、徳川光圀の印籠が出展されている。金色が今でもピカピカだ。本当にIDカード代わりに持ち歩いていたのだろう。テレビドラマに登場する印籠と同じだ。

ところで、徳川本家だが、誰が家を継ぐのか決まったのだろうか。お宝類は美術館の持ち物になっているのだが、個人資産も相当額なのではないだろうか。税金どうするのかな。

江戸城売ればいいのかな。その前に、返してもらわないと。

続「偽大山名人」

2015-12-05 00:00:13 | しょうぎ
11月29日『偽「大山名人」』の続編があった。

実は、数日前、○山県の○敷駅の近くで、大山名人に似ている運転の上手でない警官の方がパトカーを運転していた。ニコニコ動画に関係のあるナンバーの小型車で、先日、交差点の中で立ち往生していたパトカーとは車番違いの同型車だ。

かなり近くで、同乗の二人の男女警察官を降ろしてから、走り去ったのだが、近くにいたので前からだけでなく横顔まで見ることができた。大山名人と言うよりも竜王位が大好きな渡辺明氏の方に似ている。もっともデヴューの頃から「リトル大山」と陰口を叩かれているのだから、どちらに似ているといっても大差ないのだが、早く名人を取らないと、「名誉(名人)よりカネ(竜王)を選ぶ男」ということになってしまう。なかなか名人に近づかないのは、案外その理由なのかもしれない。

ところでパトカーを降りた二人の警察官のうち1名は近くの月極駐輪場に入っていってしまった。もう一人は少し歩き始めたので、気が付かれない距離で尾行を始めた。デジカメをスタンバイし、犯人逮捕の瞬間を期待していたのだが、そちらも別の駐輪場に入っていってしまう。チャリドロ捜査か。盗まれたといって、実は捨てる輩もいるのだろうと推測。


さて、11月29日出題作の解答。

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10手目に玉方が1二に合駒を打つと、▲同角成、△同金、▲2二銀までとなり二手伸びて取った合駒が残る。いわゆる二手長駒余り。江戸時代の作を土蔵の中から見つけてきた、と思ってほしい。

動く将棋盤は、こちら

本日の問題。現実の実戦ではありえない実戦型問題。1一の香がないと、全然違う問題になる。妙な駒が活躍する。

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わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数と酷評を記していただければ、正誤判断。

エネルギー産業の合併のクラス分けの別の理由

2015-12-04 00:00:46 | 投資
石油会社は電力販売に必死になっている状況で、先立つ投資を行うための投資資金が必要なのだが、まったくの外的要因である原油価格急落という不運に見舞われた。

本来は米国のシェールガスによる原油市場でのシェアダウンに恐れた中東産油国による意識的な原油需給の緩和政策だったのだが、シェールガス業者はしたたかに生き残ったにも関わらず、日本の石油会社が大損害を受け、単独では生き残ることができず、急遽、通商産業省が仲人となって恋愛感情もないのに、経営統合と呼ばれる見合い結婚をすることとなった。

出光+シェル、東燃ゼネラル+JX 独身者コスモ

それぞれ理由は述べているのだが、誰もしゃべらない理由が「給与格差」。給与の格差が大きな会社が合併すると、どうしても低い方の会社の社員の給与を上げることになる。したがって、その分が改善理由をマイナスする。

ということで、上記5社の給与を段階的に見ると、東燃およびJX=超高額。シェル=高額、出光=中額、コスモ=少額。という関係だ。

だから、そういう意味では現代の決定事項は、社員給与からいえば、当然の結果といえるのだろう。

雷(中谷宇吉郎著)

2015-12-03 00:00:30 | 書評
kaminariこの本、初版が昭和14年ということで、科学書としては古典である。

昭和14年ということは1939年。今から74年前だ。実際に凧揚げして雷の正体は電気であると証明したのがフレミング。実際には、雷の研究には危険が伴い、多くの科学者が雷被害にあっているようだ。

私も10ヶ月前に某ゴルフ場でティーショットをピンそばに落とし、さあバーディパットという時に大雨と落雷に見舞われ、ボールを置き去りにしてプレー中止としたことがある。被害額はボール一個。先人の雷実験の犠牲のもとに、一命を取りとめた。

そして、雷にも色々なパターンがあって、その雷の稲妻の形と湿度の関係などを丹念に調査しているのだが、どうも74年間、あまりこの分野の科学は進歩していないように感じる。

原稿零枚日記(小川洋子著)

2015-12-02 00:00:47 | 書評
これ、エッセイなのかなと思うと、もしかしたら小説ではないのか、という気になってくる。どうも長編小説ということになっているらしいのだが、普通に短編小説集というのがおさまりがいいように感じる。

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スーパーカミオカンデと思しき施設を見学した後、近くの温泉に立て籠もって小説を書こうとして筆が進まない、とか遅筆の小説家がモデルではあるが、エッセイか小説かわからないということは虚実混沌といったところだ。

なんというか、小川さんの特徴である中性的で理性的な主人公が現実と狂気の間を行ったりきたりしているようだ。

秀逸なのが、盗作をテーマとしたミニ小説。最近は、特にそういうのが多いが、小説の中で盗作する小説家が登場。

海外の一都市で、世界的に有名な作家が近くにあらわれ、その何度も読んだことのある作家の名前が度忘れで出てこない。そして、声をかけようか思案中に作家を見失ってしまうのだが、日本に帰国後、その一字一句まで愛読していた書籍が本棚にみつからない。

知人や編集者に聞いても要領を得ない。

それでは、ということで、一字一句まで覚えているその有名作家の小説をそのまま自作のように書き直してみる。

もし、盗作騒ぎになれば、その海外の一都市で見失った作家の名前が報道され、記憶の森に彷徨わなくてもよくなる。ただし、小説家としては盗作小説家ということになり、どこかの偽作曲家と同じ運命となる。

しかし、それでも元の作家があらわれる気配はないし、作家(つまり私=小川洋子?)はたぶん作家があらわれないだろうということを予感しているわけだ。

2015年の100冊目である。

最近の警察の役割?

2015-12-01 00:00:33 | 市民A
先週、大きな病院に行った。皮膚の一部に黒色の班が発生し、ちょっと隆起がある。

母親がそういう方向の病気により最終的には亡くなったこともあり、よくわからないものは病院で白黒つけることにしている。病院と言っても皮膚科の場合、軽度なものは医師がそのまま処置を行うことが多いため、切ったり縫ったりすると時間がかかるため、予約時間を大幅に超えても自分の番にならない。

といっても待合室の椅子から動くこともできないわけで、こういうのが一番不安が募る状況だ。本を読む気にもなれない。

すると、隣の内科の待合室で若い母親が、きちんと静かにできない少女を怒っている声が聞こえてきて、ちょっと驚く。

「静かにできないなら、警察に電話して連れていってもらいますよ!」

娘が言うことを聞かないからって、警察に連絡して檻の中に入れてしまおうということだ。

要約すると、

1.娘を犯罪者の仲間入りさせること。
2.警察は、無実の人を捕まえて家に帰してくれないこと。

欧州の童話に出てくる「魔法使いの家」「狼の餌」といったところだ。


何か、そちらの家族もフェータルな病状を抱えていたのだろうか。


私の方は、結局、一行で終わる。

「イボです。○○じゃありません。液体窒素で取りましょう。」

たぶん、通院2回ということだろうか。