墓じまい(2/4)

2015-12-15 00:00:04 | 市民A
実際に、墓じまいの各段階を進んでいくと、現状の条件の差、特に寺院墓地かどうかによってかなり手間や費用が違うことがわかる。また、火葬ではなく土葬を行っていた場合、遺骨について、どうやって考えるかという点も大きい。

おおた家の場合は、菩提寺の檀家ではあるものの墓地は地区の共同墓地で、かつ六代目までは土葬を行っていたという状況だった。また、共同墓地の中でも日当たりが悪く、全面に苔が生えてきているという結構まずい状況だった。

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そこで、墓をAからBへ移すということで、とりあえずやるべきことをAとBの両側で書き出してみた。

A1:菩提寺の了解
A2:共同墓地の管理者の了解
A3:遺骨及び骨壷の取り出し
A4:墓地の片づけ

B1:墓地探し
B2:墓地購入
B3:墓石購入
B4:納骨

それで、進める順番だが、Bの方は、1から順に進むことはわかるが、Aの状況とBの進行速度とは関係があることが予想される。墓地に金額を投入してもAが超高額となったら取り止めるかもしれないし、長期交渉となるかもしれない。ただし、墓地を探すだけだったら、なんら責任は発生しないのだし、近い場所にすぐに見つからないならAのスタートだって遅らせなければならない。

ということで、A1とB1をほぼ同時に開始することにする。

A1の方は一周忌の際、およその話をご住職と詰めたのだが、よく言われる離壇料などは不要との温かいコトバをもらう。もっとも寺院墓地の場合は、そういうわけにはいかないだろう。知人で寺を所有している男がいるが、自分ではサラリーマンやって、親戚の住職に貸しているが、その価値は檀家の数や質によるらしい。なにしろ住職になるのも大変な苦労がいるそうで、割が合わなければ、いずれ宗教は成り立たなくなるらしい。

さらにご住職は、墓地が集落の住民の共同所有であることを教えてくれ、実際の墓の工事は石材店が行うことなど教授いただく。

ということで、A1が済んだので、A2の管理者、つまり地区長と相談することにしたのだが、難題が始まる。地区長からの困った話の1は、「墓の改葬なんてやったことがないのでわからない」ということと、「その住職の一家は後から来た人だから、過去帳があるとしたら偽造だ」とのこと。いきなり困る。

しかたがないので、今度は地元市役所に問い合わせて、墓地の権利を確認しているうちに、再度、地区長から、「地元の古老に墓をみてもらったが、やはり過去帳の人は全部知っているから正しい」とのこと。そして、「墓地の管理は輪番制でやっているので、その人に聞いてほしい」と電話がある。いくら古老でも1700年代のことを知っているとは思えないが、輪番制の管理者の人と話せばいいということに問題は一歩進む。とほぼ同時に、市役所の方からも共同体の問題という見解が出るが、「改葬証明書」が必要かもしれないと、新たな難問が提示されたがその時はまだ実感はなかった。