ルオー財団秘蔵 ユビュ展&新収蔵作品

2010-05-16 00:00:16 | 美術館・博物館・工芸品
なかなかの展覧会だった。汐留のパナソニックミュージアムで6月13日まで。

コストパフォーマンスもgood。500円で、さらにコーヒー割引券付きである。



ルオーと言えば、ややこどもっぽい画法で肖像画ばかり描いているようだが、実は別の題材も手掛けていた。版画集『ユビュおやじの再生』に多数の挿絵を制作している。版画は白黒の世界なのだが、原版にはフルカラーの肉筆画が用いられる。だから、現代的にいえば、版画よりも下絵の方が人気が高い。

いつものルオーと決定的に違うのが、登場人物の肌の色。つまり、黒人である。

もともとユビュはフランスの作家アルフレッド・ジャリの作になるナンセンス劇『ユビュ王』の主人公。フランスがアフリカに持つ植民地で、白人支配者であるユビュの滑稽な所作を劇にしたてていた。

これを、当時の大画商であるアンブローズ・ヴォラールがジャリ没後に劇の権利を買い取り、版画集にする。その挿絵を描かせたのがルオーである。年齢を計算するとルオーが50歳頃の請負仕事である。

しかし、当初、ルオーはこの仕事をやりたくなかったらしい。理由はわからないが、遅々として筆は進まずということだったようだ。何らかの理由で50歳になっておカネが入用になって、嫌いなタイプの仕事を請け負ったのだろうか。(顔以外描きたくないなあ、とか)

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ところが、そのうちルオーらしい生き生きとした生命力にあふれた下絵が量産されていく。アフリカにしばしば行っては、数多くの黒人画をしたためる。どうして、急に態度が変わったかは不明なのだが、当時の作品の中に、黒人娼婦が登場する絵がある。案外、そういうことだったのかもしれない。

ところで、このユビュシリーズだが欧州ではほとんど表に出ないそうだ。特異性が原因とのことだが、黒人を描くことが問題というよりも、植民地化政策を今さら公表されるのが問題なのか、よくわからない。

切腹申し渡されたような・・

2010-05-15 00:00:04 | しょうぎ
名人戦第3戦は5月6、7日に千葉県野田市で行われた。中盤から羽生名人が優位を築き、最終盤で僅かなミスを犯し、その唯一の勝利のチャンスを取り逃がした三浦八段が、投了。



名人の3勝0敗となった。

終局の瞬間を、衛星放送で解説していた渡辺竜王は、「最後に何かを指そうとしたが、秒読みに追われ、腕が伸びずに、投了した」というように表現していた。

録画していた画像を、何度も確認したが、羽生名人が△3三銀と縛りの銀を打った後、指す手が見当たらずに、最後の数秒で、ついにあきらめるしかなかった、というように見えた。



投了前数秒から落胆の気持ちが体全体から発せられ、そのまま、顔に手を当て、文字通り崩れ落ちてしまった。

何か、浅野内匠頭長矩が、江戸城内で乱暴狼藉を働き、その日のうちに、「切腹、お家取りつぶし」を幕府の使者に申しつけられた瞬間のような取り乱しようである。テレビカメラの前でちょっとした悲劇を演じる。



それでは、向かい合う名人は、吉良上野介あるいは、幕府からの使者ということになり、ただの悪役と化す。控える立会人や記録係は、これからおこなわれる切腹の後始末としての首斬介錯人ということになる。

ここまで打ちひしがれれば、第四局の行方も、見えたも同然で、5月18、19日の第四局でシリーズは終了ということになるだろう。これで名人も心ゆくまで熟考の末、5月26日の運命の棋士総会に臨めるというものだろうか。

忠臣蔵だと、敵討がやってくるのは2年近く先であるのだが、名人戦は1年後である。7番勝負が得意なのは言うまでもなく渡辺竜王。

「竜王、名人の二冠王になったら、タイトルを持ち出して新団体を設立する!」とか、究極のビッグマウスになれば、この一年間の順位戦も大いに盛り上がるのだが、小沢批判を突如封印した横粂議員のように「餌に釣られて犬になった狼」ではみっともないから、余計なことは言わない(書かない)方がいいだろう。


さて、5月1日出題作の解答。



▲2一銀 △同玉 ▲5一竜 △3一桂(途中図1) ▲同竜 △同玉 ▲2三桂 △2一玉 ▲1一桂成 △3一玉 ▲2一成桂 △同玉 ▲2三香 △1二玉 ▲2二香成 △1三玉 ▲2三歩成 △1四玉 ▲2四と △1五玉 ▲3六玉(途中図2) △1六玉 ▲1五飛 △同玉 ▲2五と △1六玉 ▲2六と △1七玉 ▲2七とまで29手詰

最初に注意が必要なのは、4手目。桂以外の合駒では、▲2三香から本譜と同じコースになる。桂合だと▲2三歩成が逆王手になる仕組みである。

次の関門は▲3六玉と王将が動いて開き王手をかけた瞬間。△4五香と根元の飛車を抜くと、短手数になる。

動く将棋盤は、こちら

今週の問題。



ごくごく普通の詰将棋である。大駒を不自由に使うといったところかな。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と手数と酷評を記していただければ、正誤判断。

映画「おくりびと」

2010-05-14 00:00:15 | 映画・演劇・Video
録画装置入れ替えに付き。ビデオやDVDに焼かれた映画類を少しずつ消化していて、ついに終了。最後は、



「おくりびと」。

いわゆる納棺師の映画である。初任給月額50万円。ご遺体をきれいにきよめ、棺に納めるお仕事である。もともとは、家族の手で行われていたものの、最近は葬儀屋側の仕事に移った。とはいえ、葬儀屋側でも納棺の専門家を置くわけにもいかず、結構、「納棺」の部分だけに特化したスキマ産業になっているとのこと。

ご遺体は、それぞれの事情でそれぞれの状況を呈しているわけで、その理由の如何にかかわらず、ご遺族の心に安らぎを与えることを目指さなければならないわけだ。(とはいえ、映画では触れられてはいないが、このお仕事は葬儀屋の下請け仕事であり、霊柩車の運転手なら期待できるチップ収入も期待できない。)

映画は、取り上げている内容の重さに反し、シリアスであればあるほど喜劇の様相を呈する。まあ、人間の生って、そういうもので、個々の人生は、未来に対する必死の決意の連続であるのに反し、終わってしまった人生を他人が眺めれば、ただの喜劇ということなのだろう。苦悩の果ての喜劇に乾杯。

そして、本物のアカデミー賞の外国映画賞を受賞。主演の本木雅弘氏は、会場で、受賞のアナウンスを聞くや、レディファーストの原則を忘れ、助演の広末涼子さんを置き去りにし、さらに監督の滝田洋二郎氏をないがしろにし、喜び勇んで一人で壇上に向かい、その後、日本で顰蹙を買う。


舞台を海外に移し、全部、外国の話としてリメークすると、さらに名作になるような気がする。ウディ・アレン監督。が、絶対、3D化には向いていないだろう。ホラー映画になる。

サワーなカツ重、新味は不評だった

2010-05-13 00:00:30 | あじ
スーパーでカツ重を買ったところ、酸っぱかったら・・・。

肉が発酵していたのだろうから、たいていの人の舌には合わないだろう。(しかし、まれに、新商品は、こういうところから始まる。)

hamos


NIKKEI NETから。

客「すっぱい」…売れ残り豚肉でカツ重 コープかながわ、保健所が調査
2010.5.7 12:18

神奈川県内に121店舗を展開する生活協同組合「コープかながわ」のハーモス○○店で、その日のうちに廃棄すべき売れ残りの生トンカツを冷凍してカツ重などに再加工していたことが分かった。横浜市食品衛生課が、再利用が日常的に行われていなかったかを調査している。

同課によると、4月24日にハーモス○○店から「客が、うちで購入したかつ重がすっぱいと言ってきたがどう対応したらいいか」と報告と相談があった。福祉保健センターが店側に製造・販売数量や他の販売客から苦情がないかなどを報告するよう指示。店側が同センターに報告したが、店の内規で廃棄処分するはずの衣付き生トンカツを再利用していたことは報告しなかったという。

コープかながわが加入するユーコープ事業連合によると、問題の生トンカツは、冷蔵状態で3月28日に入荷し、店先で揚げたものを当日限りで販売。売れ残った330枚を総菜部門の責任者が「もったいない」と冷凍保管し、4月24日までに250枚分を調理し、カツ重とカツ丼として販売した。

店の決まりでは、売れ残った商品は廃棄することになっており、4月25日に店内調理を行っている64店舗の立ち入り調査を行ったが、再利用した事例はハーモス○○以外にはなかったという。

横浜市食品衛生課は「最初に内規を適切に守っていなかったことを報告していたら、市側も適切な指導ができた。再発防止を指導し、場合によっては改善報告書の提出を求める」としている。


この事件は、当初の報道のあと、さらに、カツ重に「食品添加物・アレルゲン表示」がなされていなかったという食品衛生法違反が発覚した。また、他店には起きていないということでもなく神奈川県内の別の2店、静岡県の3店でも同様の再調理が起きていたことが判明した。
神奈川新聞より、

廃棄すべき豚カツ用豚肉を調理し販売、別の横浜市内2店舗も/コープかながわ
2010年5月8日

生活協同組合「コープかながわ」のハーモス○○店で、本来は廃棄するカツ(国産豚肉)を使いカツ重などにして販売していた問題で、ユーコープ事業連合は8日、新たに横浜市内2店舗も売れ残った豚カツ用豚肉を調理し、計207枚販売していたと発表した。

コープかながわのほか、静岡、山梨両県の生協が加盟する同事業連合の内部調査で分かった。「コープしずおか」の3店舗でも同様に計173枚販売していたという。

横浜市内で新たに問題が発覚したのは○○店と○○店。2店とも3月28日のセール「大感謝祭」で売れ残り、廃棄すべき豚カツ用豚肉を冷蔵保存し、翌29日に調理して店頭に並べた。○○店は合計175枚、竹山店では32枚を販売したという。

コープかながわは、具体的な再発防止策が決まるまで、店内調理を行っている県内42店舗の総菜コーナーの営業を自粛する。


この他、当該店の店頭掲示による「お詫び」などを総合すると、

問題の3月28日は、「大感謝祭」ということでコープ全店で「茶美豚のロースかつ」の特売を企画した。豚肉には既にパン粉がついていて、冷蔵品として各店に納入される。

しかし、総菜コーナーの担当者が通常より多く仕入れたため、当該店では、330枚が売れ残ってしまう。他の店でも同様の売れ残りが発生していた。

総菜コーナーの担当者は、規則ではそのまま廃棄すべきところ、もったいないと思ってまだ揚げていないパン粉のついた豚肉を店の冷蔵庫で冷凍にしてしまう。

他の店では問題がなかったのは、売れ残りの計380枚を翌日3月29日に売りきってしまったからだ。

ところが、当該店は、その後、約1ヵ月をかけ、4月23日まで少しずつ調理して、売り続けていたわけだ。330枚のうち250枚を売ったところでクレームとなる。

その間、商品名が「茶美豚のトロトロかつ重」と「茶美豚のトロトロかつ丼」という聞き慣れない名称をつけられていた。(少し味が変わっていても『トロトロ』というコトバでかわそうと思ったかどうかは不明)

想像ではあるが、店の冷蔵庫の冷凍能力が弱く、カツの表面は凍っても、肉の中の方が凍っていなかったのではないだろうか。ゆっくりと発酵が進み、サワーな豚肉になったのだろう。

スーパーの中で総菜コーナーから精肉コーナーに転送して、パン粉を落として挽肉にするとかギョーザに変えるとかそういうのは、難しいのだろうか。

サワーなトンかつの苦情電話が届いた段階で、総菜係は、「いつ真実がばれるのだろう」と、針のむしろだったのだろうと、ちょっと同情するのだが、人生、ちょっとしたことで、運が尽きる。


幸か不幸か、コープ利用者は、表向きは「会員」に限定されていて、ポイント制のカードを提示することになっていたため、多くのトロトロかつの購買者が特定されたそうだが、一部はカード提示なしで販売されていたそうである。会員以外に売られていた可能性も高いが、そこまで文句をつける人はいないようだ。

23人。

2010-05-12 00:00:58 | スポーツ
たまたま夕方の仕事に向かう途中、新橋駅の前で『号外』が配られていた。



決定!!

日本代表23名が発表になったわけだが、

決定!!とは、見出しとしては、最低だ。何も意味しない。


そこの部分に何かセンセーショナルなワードを入れようとしていたのだろうが、書くことがなくなった。だから「決定!!」になったのだろう

「●●落選!」とか「WHO? ○○」とか、そういうサプライズがない。


「第三のGK、川口が唯一のサプライズ」との声があるが、「第三」とは何を根拠にしているのかよくわからない。第二かもしれないし、第一かもしれない

もともと、ベスト4が目標と公約しているのだが、そうなると3位決定戦を含め、7試合もある。第三のGKといっても、重要な役目である。もちろん3試合で終われば出る幕はないだろうが。

川口には、チームがばらばらにならないようなリーダーシップを求めているようだが、なんとなく、監督が本来の仕事の一部から逃避しているようにも見える。

7試合もあれば、出場停止やケガ人やら、作戦の見直しとか、いろいろな要因があって、結局は全員参加型になってチーム内の不和は解消されるのだろうし、予選で負ければ、様々な不都合が発生して、結局はゴミのような話が後で噴き出して終わる。

まあ、負けチームは、そういうものだ。それがワールドカップだ。


少し感じたのは、7試合戦うなら、大型バックスの数が不足しているような感じもある。

GK3人、DF7人、MF8人、FW7人。DFとFWが奇数というのもちょっと不安感が漂う。11人のセットを2つ用意して、第三のGKを追加すれば、人選終わり、というようなものじゃないようだ。

さらに、気になるのが、監督のインタビューでの発言。

いよいよ戦いに行くんだというすっきりした気持ちだ。勝つためにいろいろなシチュエーションを想定してきて選んだ。単純に力のある選手を23名選んだわけではない。最終的には今日の朝に決めた。朝起きて問いかけて。見直しでコレでいこうと。何人かの候補の中で悩んだ。どの選手が上か下かは決められない。感覚的なもので『コイツでいこうと』決断した。・・・


どうも色々と悩んだのは、選手ではなく、シチュエーション、つまり、「作戦」のことのように思える。結局、感覚的に「コイツでいこう」ということか。

さらに疑問は、『朝起きて、問いかけて』の件。誰に問いかけたのだろう。「神」?

絵にかいたような内弁慶の監督なので、これから徐々に無口になるような気もするが、現首相と似ているような気もする。

無理な公約→むきになって固執→無口になる→?

結果が出なければ、帰国後、参議院選挙の候補者にはなれないだろう。

日本辺境論(内田樹著)

2010-05-11 00:00:24 | 書評
まず、「新書大賞2010」。

ただ、ちょっと引っかかるのは、「新書」というのは、書物の内容としてのカテゴリーではなく、本の大きさや表紙の素材といった物理的な分類によるものだからだ。ハードカバーや文庫サイズであったら、そもそも受賞外というのも妙なものだが、「出版社の企画」が選の対象になっている、ということなのだろう。新潮社製品である。



そして、書物の批評となればAMAZONを覗くと、これが酷評の嵐である。どうも普天間の問題を見ても、自分と少しでも意見が異なる人物には寛容ではない、というのが最近の流行なのだろう。政党乱立も同根。

特に、内田先生の本著は、文体が「ですます型」であることから、尖った意見の人はアレコレ言いたくなるのだろうが、最初から、そういう人は読まない方がいい。別に内田樹は神でもなければ教祖でもなければ全知全能とはほど遠い、ただの大学教授なのである。

単に、よく本が売れる「社会科学者」というか「社会人類学者」といったところだろう。

個人的には、戦後の日本人の特徴として「ねたみ」「おねだり」「横取り」という悪しき風潮が蔓延していると思うが、AMAZONでの批判を読むと、悪口を並べる方に、そんな感じが漂う。


さて、長くなったが、日本辺境論の核心は「世界の辺境に位置した利点」として、大国である中国の影響を受け流す方法として、朝貢外交ではなく、「技巧的肩透かし戦略」を展開していたと主張している。中国の王朝毎のしきたりを知らないがための無礼という言い訳を用意しながら朝鮮半島国家と一線を引き、朝貢外交を免れ独立国を展開していた、というようなこと。

戦後65年間の歴史も、憲法9条と自衛隊、非核三原則と核密約といった一見矛盾した政策も、米国の傘の下で慇懃無礼に立ち回って果実を得る方法は、同じ歴史的系譜の中にある、とする。


また、オバマ大統領の就任演説を引き合いに出し、米国人には、いつでも帰るべきところとして「建国の精神」があり、同様にフランス人の英国人にも、他の多くの国民にも、「ナショナル・アイデンティティ」が国家の基本であるのに、日本にはそれがなく、常に自国の進むべき道を、他国との比較において考えると言う。

学力はノルウェーと比較し、構造改革は米国と比べるし、中国や、韓国とは、分野別に勝ったり負けたりしているわけだが、そこには目標としての絶対値はない。簡単にいうと、その相対関係で考えるというのも日本人の特徴ということらしい。


まあ、内田先生じゃないので、そういう話を新書1冊まで膨らませることができないが、そういうことが数多く書いてあり、ある部分は陳腐であり、ある部分は新鮮である。

知る人は知っているらしいが、「日本」という国名。これがまったく日本的らしい。

つまり、「日本」というコトバの一つ前は「日ノ本(ヒノモト)」というコトバになる。これに漢数字の「一」を付けると、よく講談師が使う「ヒノモトイチ」というコトバになる。

「ヒノモトイチの吉備団子を猿雉犬に与えて、家来にした」とか使うわけだ。

この「日ノ本」というコトバは、言うまでもなく「太陽が昇る国」ということであり、ある超大国から見て東側にあるということ。例の「日の出ずる国」という空威張りである。

しかし、考えてみれば、それこそ中国に対して相対的表現になっているわけで、中国がなければ有りえない表現である。もっと地球科学的に言えば、地球が北極からみて左回りであるから成り立つ論理で、右回りだったら「夕陽の美しい国」というだけの話だ(銚子犬吠埼から太平洋に沈む夕陽をのぞむ、というのも神秘的だが)。

ということで、そういう従属的な国名である「日本」を改名すべし、という論は、結構古くからあったそうだ。

もっともではあるが、では何が相応しいのかということになると、それが思いつかないのが、日本の特徴ということなのだろうか。(君が代論争もそういうところがある。)

まあ、そういうような、玉石混交の新書である、というのが私なりの結論。こういう気安い本を読むことができるのも、辺境国家に住む楽しみの一つなのだろう。

スロープレーに、早帰りに、

2010-05-10 00:00:52 | スポーツ
女子ゴルフの国内今季メジャー第1戦、サロンパス杯は茨城CC西コースで9日に4日間の競技が終わったが、プレー以外に色々あった。どうも冬季五輪の腰パン男のように、色々あるというのはろくなことじゃないことが多い。

まず、1日目に起きたのが、スロープレーに対する2ペナに逆切れして、2日目の競技に参加しないで帰った三塚優子選手。前の組から2ホールも離れたため、競技委員が秒測をしたところ、パットの規定時間の60秒をオーバーして75秒で打つことが2回あったそうだ。

2ペナの宣告に対して、「コースやグリーンが難しい」とか「遅れたのは自分だけのせいじゃなく、同組の他の2人のせいでもあるのに、自分だけペナではおかしい」といったことらしい。

ただ、どちらの理由も、あまり有効な抗弁とは思えないわけだ。アメリカのLPGAよりは、甘いルールだ。

結局、女帝といわれるJLPGAの樋口会長から、大目玉を喰らうことになる。確かに、スロープレーの影響はテレビ中継にあらわれる。だいたい最後の組の選手が優勝争いすることが多いのだから、それより前の組は、早くプレーしないと、テレビ放送の時間枠に入らなくなる。


さらに二番目の事件は、小閑美保選手。二日目の速い組で回った段階で不調。予選失格と思いこみ、茨城から自宅の熊本に向かって帰途についてしまう。ところが他の選手も難コースにスコアを崩し、最低ラインの50位タイでギリギリ予選を通過。

実際に彼女ほどの実力があれば、最下位で低空飛行し、超低額賞金をもらわなくても次の大会で頑張ればいいのだろうが、何しろ前日の事件とその後の女帝によるご立腹を思えば、いかなる方法でもカムバックするしかなかったのだろう。3日目も4日目も、さらに墜落寸前の超低空飛行を続ける。

一体、どこまでUターンしていたのだろう。都内?、羽田?、機中?、熊本?。UターンじゃなくWターンになる。

そして、話は戻ってスロープレー。

ほとんどのプロは、打つ前に「ルーティン」と呼ばれる自分だけの儀式的な作業を行うわけだ。例えば、まず、風もないのに芝生の一部をつまみ、風向きを計測する。次に、ボールの後ろに立って、横向きに軽くクラブを(無意味に)振って、次にボールの横で素振りを二回して、さらにボールを打とうとアドレスに入った後、クラブヘッドを横ではなく縦に神経質に3回上下させてから「ついに、本気で打つ」とかだ。

たぶん、スロープレーになるのは、この「ルーティン」が長いはずである。つまり、いつも遅いはず。たまたま、同伴プレーヤーに早い人がいると、Aさんの遅れをBさんが取り戻すことになり、問題は表面化しない。

たぶん、三塚選手の組は、この「取り戻す人」がいなかったのだろう。


これが、アマチュアだとさらに状況が複雑になる。何しろ下手でプロよりも多く打つわけだ。それに遅れの原因をつかんでないことが多い。数日前にも4人で回ったのだが、一人遅いのがいた。「下手なので、みなさんに迷惑をかけます」とか勘違いトークをしていた。

別に下手なプレーヤーが迷惑をかけることは少ない。むしろ諸般の事情から、下手な方が好まれる。遅いのは、打つときだけじゃなく、ボールの間の移動の時がほとんどだ。だいたいミスショットを打つと、がっくりして、ボールの行方を最後までみない。どうせ探さなければならないのだから、「あの三本松の右はじをかすめて、右の山の中に入った、とか記号的に覚えてくべき情報である。

何人かで回るのだから、自分が打つまでには長い時間が必要である。考えたり悩むのはその隙間の時間に行えばいい。

さらに、アマチュアには賞金を出すスポンサーがいないから、カネを稼ぐなら自分で同伴プレーヤーから巻き上げるしかないため、一打一打慎重になる。


ところで、自分のルーティンは何秒なのだろうか。気になるので計測してみた。28秒である。結構、ギリギリだ。どういうことをやるかだが、既に20行ほど前に書いたとおりである。

歌舞伎座が終わった

2010-05-09 00:00:09 | 美術館・博物館・工芸品
東銀座にあり、松竹が経営する民間の劇場である歌舞伎座が、121年の歴史にとりあえずの終止符を打った。3年間を経て、立て直すことになるが、高層ビルの一角にその屋根の様式を残すことで、手を打ったようだ。

しょせんは、建物じゃなく芸を売るものだから、というならば屋根のお造りなど不要という考え方もあるようだが、折衷案なのだろう。日本的あいまいさ。鳩山的。

3年の間、本拠地を失った歌舞伎界というのも質的変化が興味深いが、どうなるのだろう。江戸の時代から役者の本分は遊芸道楽と決まったもの。ちょっと心配。


ところで、クローズしてから見に行くのも変だが、GW中、予定していた甲府のワイナリーへのワイン買い漁りツアーを取りやめ。イタリアワインが送られてきたためだ。折衷案として銀座に遊びに行く。お手軽だ。

まず、東銀座の駅で降りて元歌舞伎座を見て・・と思ったのだが、地上への階段が大渋滞。やっと外に出ると立つ場所もないほどの混雑。なんだ、なんだ、である。



ちょうど、祭りだった。神輿が歌舞伎座に到着するところ。さらに、右翼の街頭宣伝車が集まってきた。そう、憲法記念日なのだ。どこかで護憲集会があるのだろうか。その街宣車を挟むようにして、警察の覆面パトカー。さらに道路には山車やら神輿が東銀座交差点でUターンを敢行。歩道を自転車で走っていて、ニッチもサッチもいかなくなったオジサンやオバサンたちも多数。

カメラを持っていたが、歌舞伎座の玄関の前にいては歌舞伎座の写真は撮影できない。道路の反対側まで再び地下鉄の通路に潜って、再び地上へ。



いきなり、やれやれだ。

そして、閉鎖した建物の印象。やはり、「建物は生き物であって、閉じた瞬間に、生気を失う」という感じだ。壁面の汚れや細かなヒビでも、その建物が使われている間は、肌に残る傷跡のような、意味のある符号であるのだが、もはや、なんの意味も感じられない。

建物の亡骸。


そのあと、日産のショールームで、電気自動車「リーフ」の実物を点検。だんだん、買いたくなってきたが、何と言っても「走行距離160キロ」というところがネックだ。「200キロ」ならいいのだが・・

H&Mに行き、ドイツレストランに行き、アップルストア銀座に行き、木村屋でアンパンを購入し、田中貴金属で金価格の確認をして、終わり。

日めくりカレンダー2011に応募

2010-05-08 00:00:19 | しょうぎ
日めくりカレンダーも4年目になる。LPSAの企画の一つである。来年用の問題の応募用紙が届いた。


現存する二つのプロ棋士(将棋)の組織のうち、将棋連盟の方は機関誌の中で詰将棋を募集しているが、投稿ルールが保守的過ぎるので、ちょっとなじめない。

LPSAの方は、「日めくりカレンダー」ということで、ちょっと刹那(せつな)的である。解いて、破って、捨てる(いや、紙資源か)。

来年用は、7手以下、一人投稿数5題まで、ということで、新作を数点と在庫品の改良?作を用意。あまり短編が(特に捨駒系が)得意じゃないので、見栄えのいいものができない。一応、7手×2、5手×1、3手×2ということになった。

有名作家は7手詰で覇を競うのだろうけど、ちょっと自作は線が細いかな。まあ、選考の基準は、色々ともっともらしく書かれているが、一言でいうと「華やかさ」や「粋」ということなのだろうと感じているので、そういう観点で揃えてみた(というか、いつものまんまだが)。

8月中に当落判明とのこと。

ところで、この日めくりカレンダーの形態だが、一枚ずつめくる方式なのだが、どちらかというと数秒で解ける問題も多いので、2~3題ずつ1ページに収められないだろうか。

さて、4月24日の出題作の解答は、こちら。(表示されてから5秒待つこと)


今週の問題。



何か、既に取り逃がした後のような図である。ヒト汗、フタ汗、・・と頑張るのか・・あるいは。

わかった、と思われた方は、コメント欄に最終手と手数と酷評を記していただければ正誤判断。

念のための注意だが、この問題を盗作の上、LPSAの日めくりカレンダー2011に応募してしまうと、大笑いされるはずである。今年の日めくりの4月27日のページになっているからである。

野菜、全滅!

2010-05-07 00:00:43 | 市民A
オクラとキウリの苗、各85円を植えたのだが、苗の状態から1センチも成長せず、無残にも、そのまま立ち枯れとなった。



原因は、異常気象とか、苗が弱かったとか、土地が合わなかった、ということにしておく。



隣に植えたペパーミントやブルーベリーは育っているのだが、やはり神奈川の造成地は、もともとが富士山の火山灰地だから、酸性すぎて野菜類をいきなり植えるのは無理なのかな。

農地を購入したり、小作人を雇わなくてよかった。

メキシコ湾BP海底油田漏洩で、何が始まる?

2010-05-06 00:00:38 | MBAの意見
海底油田からの漏洩は、とりあえずコンクリート・キャップで蓋を閉めることに成功したようだ(注:どうも、結局、失敗したようだ)。実際に、蓋をすることが困難な場合、大変まずいことになりそうだったが、今後は、後始末に長い時間と多くの費用がかかるということになるのだろう。(もちろん、コンクリキャップが吹き飛ぶ可能性はあるだろうが)幸い、1989年のエクソンのアラスカでのタンカー座礁事故とは異なり、気温が高いために、1年程度で油分は蒸発ないし、分解されるのではないだろうか。



タンカー輸送中の事故については、石油会社が油濁保険をかけているが、油田からの漏洩には保険があるのだろうか。世界三大メジャーの一つであるBP社の株価が急落して時価総額が数兆円減ったという報道もある。保険が有効であっても、保険会社は再保険を掛けあっているために、世界中の保険料率が上がる可能性はないのだろうか???

そして、今回の事故は、オフショア油田の開発に許可を与えようとしていたオバマ政権にとって、再度方向転換を余儀なくさせるとともに、原発、風力、太陽熱などへの過度の傾斜と、脱ガソリン依存社会への急ハンドルという結果になることが予想される。

背景としては、弊ブログ2008年11月20日「World Energy Outlook
で記したように、既に地球上の陸上大型油田の生産量はピークを打っていること。そして、今後の新興国を中心として、大幅なエネルギー転換が困難なこと。これにより、新規油田の開発がかなり進むと思われているが、そのほとんどが海上(海底)油田であることだ。

つまり、原油価格は高コストに推移すると思われる一方、それによって最大の利益を得るのが、皮肉なことに既存の油田を持っている中東各国ということになる。そして、それらの国は必ずしも米国と同じ方向の政治性を持っているわけじゃないわけだ。



前述の弊エントリから1年半が経っているのだが、その間に起きたいくつかのエポックをまとめると、

1.原油需要はリーマンショックを吸収し、2年前の水準を追い越している。

2.中東産油国はイランに限らず、原発に熱心であるが、一方で火力発電を増やしている。

3.ロシアは、将来に向けて秘蔵すると思われていた東シベリア原油の開発を促進し、市場に登場させた。

4.原油価格は、投機的水準の直前といわれるバレル当り85ドルに達したところである。

5.海上油田の弱点がBPという巨大メジャーによってしても、明確になった。

このうち、問題は2と3。一説では、産油国が火力発電(それも原油をそのまま燃やす方式)と原子力発電と二系列を確保するのは、原油価格が下がる時に(あるいは上昇させたい時に)国内で消費してしまって、市場をタイトにするためともいわれる。何しろ、彼らは、この原油価格をいくらにするかというのが数十年間もっとも重要な政策だったのだから、巧妙である。

そして、東シベリア原油。以前は、質が悪いといわれていたが、現在、市場に出てきたものは高品質である。主に中国や日本が購入している。いまのところ、極東パイプラインが完全には完成していないため、量的制限があるが、何となく前の戦争の最終局面のように、石油時代の最後のどさくさに慌てて登場したような嫌な雰囲気だ。


これらから、もっともありうるシナリオを予測するなら、

A.原油価格は、すぐに投機相場となる。100ドルを超えれば200ドルが次のターゲットになるだろう。

B.そして、需要減退をもたらし、一転して、一挙に暴落へ向かう。

C.そして、中東地域全体が政治的に不安定化していく。

そこから先は、よくわからない。

ワイン、忘れたころに到着

2010-05-05 00:00:36 | あじ
ワインを注文していた。イタリアのワイン。赤と白で6本ずつ。すっかり忘れていた。



GW中に甲府のワイナリーに行って買い込もうと思っていたのだが、どうしよう。

何しろ、5月中旬には人間ドックの予約済み。

とりあえず、赤と白と1本ずつ飲んで、それから考えようかなと日和見主義にする。

でも、不味かったら困るなあ・・

その場合に限り、オークションをするので、よろしく

最低価格1万円からスタートで、

1本でも1万円、2本でも1万円、3本でも4本でも5本でも1万円と大変お得です。

とか。

ブルーレイを購入

2010-05-04 00:00:42 | マーケティング
自宅テレビのデジタル化が終わっても、DVD+HDDレコーダーはアナログのままだった。しかし、それでは来年になると録画できなくなる(テレビの出力を取り込んで録画するという方法はあるが)。

しかし、デジタル化完了後はアナログチューナーなしのテレビやレコーダーが発売されるだろうが、現在の製品では、両方対応できるようになっている。

それなら、チューナーが一種類になってから購入すれば安くなりそうだが、商品の値段は、短期的には原価の積み上げじゃない。

それに、もうすぐワールドカップである。いつもの大会では全64試合をテレビ観戦していた。もちろん録画機器フル出場である。

ということで、近くのヤマダに行く。一応、T社製品かPa社製品を狙っていた。

もちろん、価格的にはT社が安いが、デザイン的にはPa社だろう。なぜT社が安いのかよくわからないのは、元々、T社は反ブルーレイ派だったからだ。案外、開発費を背負ってないので安いという東アジア方式の証明なのか、もっと単純に、やけっぱちになっているのか不明。価格戦争に持ち込んで、ライバル各社を弱らせようとしているのか。いや、それはないな。結構、裏では仲がいいはず。

横に話が飛ぶが、電機メーカー各社が、談合とか価格協定とか生産調整とか行わないようにするための同業者協会がある。彼らの行きつけの溜り場に出入りしていたことがあったが、協会自体が違反行為をしないように、内閣府に所属する公正な取引が行われているか監視するある委員会からこの協会へ行くことになったあるOBの方の歓迎会なんかやっていた。技巧的だ。「これからは、立場をかえて・・」とか聞こえた。

そして、価格的には高いPa社製品を安く買うために、売り場で色々と時間つぶし。そう、Pa社のハッピを着たPa社から派遣された社員が売り場近くに来るのを待っていた。

しかし、いつまでたってもブルーレイ売場には来ない。たぶん、人気殺到なのだろう。ついにあきらめて、ヤマダ社員と交渉したが1000円しか値引けなかった。



まあ、『先月は、株で50万円稼いだからいいかな』と思って、Pa社製にする。50万円の6割は同業のH製作所で残りはABCマートなのだが、H社の製品は見当たらない。ゴメン。

で、これが簡単なようで難しい。テレビとブルーレイ(&HDD)だけなら簡単だが、ケーブルテレビのPa社製のセットトップボックスと3点を組み合わせなければならない。コードも何種類もある。それぞれ画質に影響するようだ。とりあえず、何とか数時間の試行錯誤で完成。実験録画成功。

一つだけ気になるのは、最近買ったSh社のテレビは、テレビのチューナーで見るよりもPa社のレコーダーのチューナーで見る方が鮮明に見えるのだが、メイド・イン・チャイナとジャパンの違いなのだろうか??

イチゴ狩り

2010-05-03 00:00:26 | The room of Sora
イチゴ狩りの季節は、ちょっと過ぎてしまったが、鉢植えのイチゴがまだ実をつけている。

しかし、・・・

なかなかそのイチゴを口にすることができないわけだ。

しょっちゅうイチゴ狩りをしている動物がいるから。

犬である。



イチゴの実は、最初は緑色をしている。

そのうち、大きくなると白くなる。そして、少しずつ赤く色付いてきて、徐々に赤い色が深くなる。そして、数センチになったら収穫する。

ところが、犬にとっては、そこまで待ちきれないわけだ。

といっても、緑や白のイチゴを食べることはないわけだ。少し赤みがついてくると、ぺろぺろと舌で舐めて、占有権を主張するわけだ。

普通、散歩のときに自分の散歩コースの占有権を主張するには、別の方法をとるのが犬の特徴だが、食べ物の場合は、その方法はとらない。



鉢の中には、あちこちにイチゴの実が大きくなるのだが、自分で管理しているわけだ。そして、人間が収穫しようと思う前日に、イチゴ狩りを行うわけだ。

ある時、収穫直前まで舐めまわしていた大粒のイチゴが、野鳥にさらわれていたのを発見した時は、「怒った、怒った」。

機嫌をとるために市販のイチゴ一粒を手品のようにイチゴの鉢の中に忍ばせて、なんとかごまかす。

犬がバカなのか、犬をだまして喜ぶ人間の方がバカなのか。(カネをバラまく政治家と。それを受け取る有権者のたとえではないから。念のため。)

GWは「細川家の至宝展」へ行くしかない

2010-05-02 00:00:44 | 美術館・博物館・工芸品
6月6日まで、上野の東京国立博物館平成館で大公開中の「細川家の至宝」。

展示されているのは、日本を代表する名家である「細川家」が700年もの間に集めた「お宝」である。現在は永青文庫という名称で目白の住宅地の中に小ぶりな美術館を構えている。細川家の江戸屋敷があった場所である。理事長は元首相である細川 護熙氏。



永青美術館のことは、2009年12月27日「黄庭堅・伏波神祠詩巻 永青文庫にて」に書いたが、世界に例を見ない巨大なアーカイブを形成しているのではないだろうか。量だけではなく質的にも歴史的価値、美術的価値、能や茶、そして和歌といった日本文化のコレクションとして超一級である。

大きくわければ、足利時代の自家に伝わる文化財、江戸時代に収集した骨董、そして明治以降、中国、朝鮮方面の書や陶器、そして江戸初期の白隠作品の発見など。

さらに今回の目玉が、武家としての細川家。戦国時代から関ヶ原へ至る細川家の活躍が、資料や武具でよくわかる。

さらには、この名家の歴史を彩る、さまざまな人物。

例えば、ガラシア夫人、宮本武蔵。ある意味で「元首相の陶芸家」というのも歴史の一こまなのかもしれない(彼の作品は展示されていない)。


まず、歴史シリーズ。

圧巻は黒糸威二枚道具足。細川忠興が関ヶ原の戦いを東軍重要メンバーとして戦った時に着用していたもの。まるで新品の輝きだ。この関ヶ原の戦いでは、前哨戦として田辺城で忠興は籠城戦を戦う。100倍の敵に包囲されるも耐え抜く。

一方で、忠興は和歌の道で古今伝授を極めていた。古今和歌集の解釈を、師から弟子に伝えるしきたりだったのだが、受けた古今集の解釈を皇族の弟子に引継ぎ中に関ヶ原の戦いになる。死を覚悟した忠興は、ここで弟子に、早めの卒業証書を渡してしまう。

実際に図ったわけじゃないだろうが、その皇族が動き回って和睦にこぎつける。関ヶ原の裏面史である。そうした資料もある。

歴史上のイベントとしては、ガラシア夫人は明智光秀の娘。信長の紹介で忠興の正妻になっていた。光秀は本能寺で信長を謀殺した時に、ひそかに忠興の力をあてにしていたらしい。しかし、忠興とその親である藤孝は、その気がないことを髪をおろして表明する。

がっかりした光秀は、なんとか細川父子のご機嫌をとるために、領地バラマキレターを郵送している。光秀自筆のメモランダムが見られる。

つまり、ここにも裏面史がある。

さらに織田信長の自筆と証明された唯一の書状や千利休の手紙や利休作の竹製の花立。家康の自筆もある。全部本物だ。

そして、歴史一般シリーズでは、本物の「錦の御旗」がある。御旗の上部には金色の日の丸が飾られているのは、日の丸の源流なのだろうか。

戦場(関ヶ原)で使われた『馬印』もある。

歴史シリーズでもこんなにあるわけで、さらに文化シリーズでも大変だ。茶道の各種道具立てやらあふれるばかりの様々な能面。掛軸や屏風や・・・

そして、近代細川家の収集王は細川護立氏。元首相の祖父。東アジアの文物を集めたが、そのきっかけになったのが江戸初期の奇想画家であり高僧であった「白隠」。ほぼ一部屋が白隠作のコレクションになっている。護立は白隠の書物を読み感銘したというのだが、GWが終わって1Q84を読み終わったら挑戦してみようかな。

と、今まで書いた分量の100倍のお宝に、1500円で会えるはずだ。